腱板損傷とはインナーマッスルの損傷!原因は「劣化」と「体幹の硬さ」にあった!

投稿日:2017年7月22日 更新日:

腱板損傷の原因アイキャッチ

肩の痛み

この記事で分かる2つの事

  1. 「腱板損傷」とはどのような病気と症状なのか?について
  2. 「腱板損傷」の原因が「腱板の劣化」と「体幹の硬さ」である理由について

肩は体の中で傷がつきやすい場所である。

有名なのが40歳を超えると発生しやすい「四十肩や五十肩」だ。

そしてもう一つ。

今回の記事でご紹介する『腱板損傷』である。

『腱板損傷』を簡単に言えば、「肩のインナーマッスルの損傷」の事だ。

また原因として、「腱板の劣化」や「体幹の硬さ」によって発症してしまう事が多い。

なぜ「腱板の劣化」や「体幹の硬さ」によって発症してしまうのだろうか?

どのような症状がおきるのか?

多くの方が疑問に感じている事だと思う。

今回の記事ではそれらを解決するために、『腱板損傷の概要』『発生メカニズムを踏まえた原因』について詳しく解説していく。

『腱板損傷』とは?原因の多くは「腱板の劣化」と「体幹の硬さ」だ!

そもそも『腱板損傷』とは「棘上筋(きょくじょうきん)」「棘下筋(きょくかきん)」「小円筋(しょうえんきん)」「肩甲下筋(けんこうかきん)」と呼ばれる筋肉の共同腱(腱板)の損傷のことを指す。

『腱板損傷』の特徴が以下の通りだ。

『腱板損傷』の特徴

  • 野球をされている若年者に多い。
  • 50歳以上の方なら4人に1人の割合で発生する。
  • 腱板が「上腕骨」と「肩甲骨の肩峰」と呼ばれる部位にはさまれて損傷するもの。
  • 『腱板損傷』で痛みがでる人は約35%。痛みがでない人は約65%。

また『腱板損傷』の原因はこの2つが多い。

『腱板損傷』の原因

  • 加齢にともなう『腱板』の劣化。
  • 体幹の動きが悪くなることによる肩への負担増。

以下に『腱板損傷』の概要や原因について一般の方にも分かりやすくもう少し掘り下げていく。

※こちらの動画内にて柔YAWARAが腱板損傷の概要について解説しておりますのでぜひご覧になっていただきたい。

腱板損傷とは?YouTubeアイキャッチ

そもそも腱板って何?

肩の『腱板』は4つの筋肉の腱から構成されている。

『腱板』を構成する4つの筋肉

  • 棘上筋
  • 棘下筋
  • 小円筋
  • 肩甲下筋

棘上筋・棘下筋・小円筋

肩甲下筋

この4つの筋肉から構成される共同の腱が『腱板』だ。

『腱板』は肩にとって非常に重要な筋肉となる。

肩を動かすにおいて、まず『腱板』が機能しないと肩は動かせない。

腱板は以下のような働きをする。

『腱板』の機能

  • 「肩甲骨」に「上腕骨」を引きよせ、肩の安定性を作る。
  • 「三角筋」と呼ばれる筋肉と協同して肩を動かす働きをする。(フォースカップル)

腱板の作用

フォースカップル

『腱板損傷』になるとどのような症状をきたすの?

前述した通り、もしも『腱板』が損傷してしまうと、力のバランスが崩れ、まともに肩を動かすことが出来なくなる

『腱板損傷』の主な症状が以下の通りとなる。

『腱板損傷』の症状

  • 肩が痛くてあがらない。
  • 肩周りが腫れぼったくなってしまう。
  • 腕を横から挙げた状態で保持が出来ない。(ドロップアームサイン)
  • 腕を横から挙げると80°~120°の付近で痛みが出てしまう。(painful arc sign)
  • 夜中の痛みで眠れれない。
  • 野球などの投擲動作をすると肩が痛む。

『腱板損傷』の有名な症状は腕を横から挙げて、90°の位置に保持できない『ドロップアームサイン』である。

また腕を横から上げると80°~120°の付近で痛みが出てしまう「painful arc sign(ペインフルアークサイン)」も『腱板損傷』の代表的な症状だ。

painful arc sign

日本整形外科学会でも腱板断裂(腱板損傷)の症状についてこのように謳っている。

40歳以上の男性(男62%、女38%)、右肩に好発します。発症年齢のピークは60代です。
肩の運動障害・運動痛・夜間痛を訴えますが、夜間痛で睡眠がとれないことが受診する一番の理由です。

引用:日本整形外科学会 腱板断裂

つまり、肩の痛みを主体とした症状であり、中高年の方がかかってしまうと日常生活がかなり困難になってしまう。

加えて、野球などの投げる種目のスポーツをされている方が『腱板損傷』になってしまうと非常に致命的なトラブルとなってしまう病気である。

『腱板損傷』の症状が出たら重症度についても知っておこう!

『腱板損傷』には損傷の程度によって重症度が分類されている。

『腱板損傷』の分類

  1. 不全断裂
  2. 完全断裂

『不全断裂』は20~30歳代の若い人に多い。

『完全断裂』は60歳以上でに多く、そのほとんどが加齢による劣化(腱板の変性)によって生じるものが多いとされている。

一般の方はこの二つの分類だけ覚えていれば大丈夫だ。

もう少し詳しく知りたい方の為に、小難しい分類も記載しておくので興味があればご覧下さい。

『腱板損傷不全断裂』の分類

  • 滑液包面の断裂(表面断裂)
  • 関節包面の断裂(深層断裂)
  • 腱内の断裂

不全断裂滑液包面断裂

不全断裂関節包断裂

不全断裂腱内断裂

『腱板損傷完全断裂』の分類

  • 小断裂:直径1cm未満
  • 中断裂:直径1cm以上3cm未満
  • 大断裂:直径3cm以上5cm未満
  • 広範囲断裂:直径5cm以上

完全断裂

参考文献:関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹

腱板損傷の程度によっては、手術が適応となる場合があるので、肩の痛み強い場合は注意が必要だ。

『腱板損傷』を引き起こす2つの原因を徹底解説

『腱板損傷』は色々な原因が重なり合って発生してしまう。

主な原因が冒頭でも説明したこの2つである。

『腱板損傷』の原因

  • 加齢にともなう『腱板』の劣化。
  • 体幹の動きが悪くなることによる肩への負担増。

『肩の構造の問題』と『構造の問題からくる肩の動きのトラブル』『体幹が肩に与える影響』という3つの観点から『腱板損傷』が発生するメカニズムを以下に解説していく。

※こちらの動画にて『腱板損傷』を引き起こしてしまう2つの原因について解説しておりますのでぜひご覧下さい。

腱板損傷の原因とは?YouTubeアイキャッチ

肩自体の構造の問題が原因で『腱板損傷』を引き起こす

『腱板損傷』を引き起こす原因が肩にある場合以下の2つの問題が発生している。

肩の構造的な問題

  • 腱板の変性(劣化)
  • 肩甲骨の肩峰の形の問題

ある文献によれば、このように書かれている。
※文献は難しく書かれているのですぐ後に簡単に説明していますので、一般の方はそちらをご参考にしてください。

加齢がコラーゲン量や力学的要素に影響を与えていることで腱板損傷を惹起させる一因である可能性を示唆する。

引用:棘上筋腱の退行性変化は腱板損傷メカニズムの一因になり得るか~コラーゲンに着目した免疫組織学的,分子生物学的分析~

この文献を簡単に説明すると、

年齢を重ねることによって、腱板は劣化してしまい、物理的な負担(例:手を引っ張られるなど)に耐えられず『腱板損傷』を引き起こしやすくなっている可能性がある

という内容になる。

また肩甲骨の肩峰の形の問題に関する文献ではこのように書かれている。
※こちらも難しく書かれているのですぐ後に簡単に説明いるので、一般の方はそちらをご参考にしてください。

腱板損傷の発生にはcoraco-acromialarchの形態が重要であり,特に肩峰の先端部分と鳥口突起の3次元的位置関係が重要であることを示唆する.

引用:腱板損傷の発生要因に関する解剖学的検討

この文献を簡単に説明すると、

『腱板損傷』が発生するのに重要な指標は「肩甲骨の肩峰」と「肩甲骨の烏口突起」と呼ばれる部位の距離が密接に関わっている。

との内容になる。

肩峰烏口突起間

特に「肩峰」は人によって様々な形をしているので、『腱板損傷』を引き起こす原因として着目されている。

問題がある構造が肩の動きを悪くすることで『腱板損傷』を引き起こす

次に『腱板損傷』が発生するメカニズムを模型を使って説明していく。

※黒いテープが「腱板」だと思ってください。

腱板を再現

まず肩はこの肩甲骨のカップの上で動いている。

肩甲骨

そして、肩が動く時は「肩峰」と「上腕骨」がぶつからないように動いている。

肩の動き

スムーズな肩の動き

しかし、加齢による筋肉の劣化が生じていると肩は適切な動きができなくなる。

この状態だと「肩峰」と「上腕骨」がぶつかってしまう。

その為、その間にある「腱板」が損傷してしまうことになる。

腱板損傷の原因

これは「肩だけ」に着目した時の理論である。

以下に体幹が肩に与える影響についても解説していく。

体幹の硬さが肩に負担をかけ『腱板損傷』の原因となる

体幹の硬さが原因で『腱板損傷』を引き起こしている場合は以下の動きが低下している場合が多い。

腱板損傷の原因が体幹の硬さの場合

  • 体幹の回旋の動きが低下している。
  • 体幹の伸展(反る動作)の動きが低下している。

体幹は肩や肩甲骨の土台となる。

その為、体幹がうまく反ったり回旋することが出来なければ肩への負担が増大する。

その動きの低下が原因で『腱板損傷』を引き起こしてしまうことがある。

例えば体が反らなければ、肩は上に挙がらない。

体幹が丸まっていると肩が挙がらない

また体が回旋しなければ手を後ろに伸ばすことが困難になる。

身体が回旋しないと後ろに伸ばせない

むしろ無理に動かしてしまうことで「腱板」に負担をかけ『腱板損傷』を招いてしまう。

つまり、身体と肩の動きは密接な関係があるのだ。

体幹の動きが悪ければ、必然と肩に負担をかけてしまう。

そうなると、肩だけに着目した理論のように上腕骨と肩甲骨の肩峰がぶつかり、腱板を損傷させてしまう。

実は若年者に多い『野球肩』でも同じことが言える。

体幹の動きが悪い状態で投球を行ってしまうと、肩に負担をかけてしまい、『腱板損傷』を招いてしまうのだ。

まとめると『腱板損傷』を引き起こしてしまう原因は、「肩の腱板の劣化」と、「体幹の動きが悪くなってしまう」からである。

『腱板損傷』の予後は比較的良い!しかし断裂は手術が必要

私の現場での経験では、『腱板損傷』の予後は以下の通りだ。

『腱板損傷』の予後

  • 50歳以下でかつ炎症が長引かなければ、『四十肩・五十肩』よりも肩の動きが早く改善するケースが多い。
  • 痛みが強い炎症期から、適切に管理していけば痛みは落ち着きやすい。
  • 高齢になるにつれて、肩の組織の変性(劣化)が強くなるため、回復に時間がかかる。

軽度な『腱板損傷』であれば比較的予後は良いとされている。

ただ注意していただきたいのは『腱板断裂』へと進行してしまったときだ。

『腱板断裂』に進行してしまうと切れた腱板を手術でつなげるしかなくなってしまう。

もし『腱板断裂』になり放置していると、1年経っても肩の痛みや筋力が回復しないケースがある。

その点だけは注意していただきたい。

参考文献:腱板完全断裂放置例の予後調査のPDF

腱板損傷の治し方の概要

『腱板損傷』を改善していく流れ

  1. 基本痛みが強い時は安静を取り、傷ついた腱板を休ませる。
  2. 2~4週程度でひどい炎症が落ち着き痛みが落ち着いてくる。
  3. 4~8週にかけて肩の動きも改善していく。
  4. 8週以降には肩の筋力を改善していく。

上記の流れで『腱板損傷』を改善していくことが大切となる。

※腱板損傷の治し方についてはこちらの記事にて詳しく解説しているので是非ご覧下さい。

腱板損傷アイキャッチ
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まとめ

今回は腱板損傷の「概要」と「原因」について詳しく解説した。

POINT

  • 「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つの筋肉の共同の腱をまとめて『腱板』と呼ぶ。
  • 『腱板損傷』を引き起こす原因は①『肩の構造の劣化』や②『体幹の動きの低下』によって「腱板」に負担がかかるからだ。
  • 『腱板損傷』の予後は比較的良いとされているが、『腱板断裂』まで進行してしまうと手術が必要になる。

中・高生の野球の投手や30代・40代の働き盛りの人など、年代にかかわらず『腱板損傷』になる可能性はある。

その原因としては「腱板の劣化」や「体幹の動きの低下」が挙げられる。

世の中が便利になった反面、身体を十分に動かさなくなってきたことによって「体幹の動き」が著しく低下している。

その弊害として肩への負担が増し、『腱板損傷』をまねく人も多くなっているのも事実だ。

『腱板損傷』に関しては原因を理解してどう向き合うかが大切になるので覚えておこう。

長尾 龍男
この記事を書いた人 : 長尾 龍男

愛知県岡崎市在住。整体院柔YAWARAを設立した理学療法士。柔YAWARAにて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

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