腱板損傷の4つの原因とは!?最大の原因は「体幹の硬さ」だ!

投稿日:2017年7月22日 更新日:

腱板損傷原因アイキャッチ

肩の痛み

この記事で分かる2つの事

 

 

  1. 「腱板損傷」が発生する原因について
  2. 体幹の硬さが「腱板損傷」最大の原因である理由

 

肩は体の中で傷がつきやすい場所である。

特に40歳を超えると発生しやすいのが「腱板損傷」だ。

何気ない動作で肩の内部にある腱板が傷つくことによって発症する。

『腱板損傷』を簡単に言えば、「肩のインナーマッスルの損傷」の事である。

今回の記事では腱板損傷が起きていしまう原因について詳しく解説していく。

※長野市のSeitai Zen繕が動画内にて「腱板損傷の原因」について詳しく解説しております。読むお時間が取れない際はぜひ動画をご覧下さい。

 

腱板損傷が起きてしまう4つの原因について

腱板損傷が起きる主な原因

 

  • 腱板自体の劣化
  • 50歳以上の方なら4人に1人の割合で発生する。
  • 上腕骨の前方への変位
  • インピンジメント症候群
  • 体幹の硬さ

 

腱板損傷の原因の中で一番の原因となるものが『体幹の硬さ』である。

なぜ腱板損傷なのに「体幹」なのか?

それには色々な理由があるので文献を踏まえて解説していく。

まず腱板について理解しよう

まずは腱板損傷の原因について解説する前に、腱板の解剖学について簡単にご紹介する。

腱板とはこの4つの筋肉の共同の腱のことである。

『腱板』を構成する4つの筋肉

 

  • 棘上筋
  • 棘下筋
  • 小円筋
  • 肩甲下筋

 

棘上筋・棘下筋・小円筋
肩甲下筋

この4つの筋肉が肩甲骨と上腕骨を引き寄せ、肩を安定させている。

その事で肩はたくさんの動きを可能としている。

しかし、その可動域の反面、肩という構造物は『神様が人間を作った時に生じた唯一の過ち部分』と言われるほど不安定な構造をしている。

似たような関節に股関節があるがこれはカップと球体が完全にはまっている構造をしているので安定している。

股関節のカップは深い

しかし、肩はカップと球体の関係をみるとカップが小さい分不安定な構造になっている。

上腕骨頭と肩甲骨関節窩

そのため、日常生活の中で損傷がおきやすいのだ。

腱板損傷がおきるとどうなるのか?

これは腱板の機能を理解していると分かりやすい。

『腱板』の機能

 

  • 「肩甲骨」に「上腕骨」を引きよせ、肩の安定性を作る。
  • 「三角筋」と呼ばれる筋肉と協同して肩を動かす働きをする。(フォースカップル)

 

腱板の作用
フォースカップル

特に重要な役割が「肩甲骨」に「上腕骨」を引きよせ、肩の安定性を作ることである。

つまり、腱板が損傷してしまうと肩を安定させることが困難となり、

  • 挙げる時に痛みを出す『挙上障害』
  • 90°付近で痛みをだす『インピンジメント症候群』
  • 腕を保持する事が困難になる『ドロップアームサイン』

が生じてしまう。

これらの説明に関してはこちらの『腱板損傷の特徴的な症状』という記事をご参考にしていただきたい。

アイキャッチ
40歳以上の方必見!『腱板損傷』の特徴的な症状は動かす時の痛みだけではない!

40歳を過ぎると肩を挙げる時に痛みが出てしまう方がチラホラ出てくる。 その多くが腱板に何かしら傷をつけ損傷していることが ...

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腱板損傷は「腱板の劣化」と「インピンジメント」が原因!?

腱板損傷の原因について、大昔の偉大なる2人の学者がこのように述べています。

  • Codman:腱板自体が変性つまり劣化するから断裂する。
  • Neer:肩がインピンジメントを起こすから腱板が断裂してしまう。

と述べている。

現在でもその論争は続いているが、色々な文献と私の臨床で考えられる原因をご紹介する。

腱板損傷を招く原因の1つ目は『腱板の劣化』

これは前述したとおり、Colmanが述べている腱板損傷の原因である。

文献によれば、腱板の厚さは若年者よりも中高年の方が厚いといわれている。

腱板が厚くなる

つまり、腱が太くなれば肩甲骨と上腕骨との間が狭くなるので、挟まれやすくなり、傷がつきやすいというのは間違い無い。

また年齢を重ねることによって、腱板は劣化してしまい、物理的な負担(例:手を引っ張られるなど)に耐えられず『腱板損傷』を引き起こしやすくなっている可能性がある。

参考文献:中高齢者における腱板形態と肩峰下腔の特徴およびそれらの関連性

そのため、この『腱板の劣化』は腱板損傷の原因の一つと考えて良い。

腱板損傷を招く原因の2つ目は『上腕骨の位置の変位』

これは原因の1つ目である『鍵盤の劣化』に関係している。

劣化してしまうと腱板の機能は低下してしまう。

そのことによって上腕骨の位置が変わってしまうのだ。

特に多いのが上腕骨の前方や前上方への変位である。

腱板が前上方へ移動する

このような上腕骨の変位が起きてしまうと動きの中心が変わるので、肩甲骨と上腕骨が挟まれて腱板損傷が起きやすくなる。

腱板が機能しないと軸が安定しない

そのため、上腕骨の位置の変位も腱板損傷の原因の1つと考えてよい。

腱板損傷を招く原因の3つ目は『インピンジメント症候群』

これも先ほどお伝えしたようにNeerが提唱していた腱板損傷の原因である。

インピンジメント症候群というのは、肩甲骨と上腕骨がぶつかり、腱板を傷つけてしまう状態のことをさす。

この状態になると腱板が挟み込まれて痛みをだしてしまう。

以下にインピンジメント症候群について簡単に説明している。

※黒いテープが「腱板」だと思ってください。

腱板を再現

まず肩はこの肩甲骨のカップの上で動いている。

肩甲骨

そして、肩が動く時は「肩峰」と「上腕骨」がぶつからないように動いている。

肩の動き
スムーズな肩の動き

しかし、加齢による筋肉の劣化が生じていると肩は適切な動きができなくなる。

この状態だと「肩峰」と「上腕骨」がぶつかってしまう。

その為、その間にある「腱板」が損傷してしまうことになる。

腱板損傷の原因

これがインピンジメント症候群である。

また文献によれば、インピンジメント症候群が起きると、腱板が傷つき、機能低下が起きるとさらにインピンジメントをおこし、腱板断裂が起きてしまうとされている。

そのため、インピンジメントも腱板損傷の原因の1つ考えたほうがよさそうだ。

参考文献:肩インピンジメン ト症候群における肩峰下面及び鳥ロ肩峰靭帯の病理組織学的検討

腱板損傷の原因は肩峰の変形!?

いろいろな文献を調べて多く書いてあることが肩甲骨にある烏口突起や肩峰と呼ばれる部位が変形しているからという事だ。

特に肩峰と呼ばれる部位では「フラット型」「カーブ型」「ホーク型」の3タイプある。

肩峰のフラット型

肩峰のカーブ型

肩峰のホーク型

また「腱板損傷」が発生する重要な指標として「肩峰」と「烏口突起」の距離が密接に関わっているそうだ。

肩峰烏口突起間

特に「ホーク型」で腱板損傷が多いとの報告がある。

しかし、私が調べた文献ではホーク型だからと言って、必ずしも腱板が損傷する要因になるとは限らないという否定的な意見もある。

私もこれに関しては、同じ意見で、この肩峰の形態については色々な要因が重なった結果だと考えられる。

先ほど解説したインピンジメントが肩の内部で起き傷がつくとする。

人の身体は傷がつくとその部分が強くなろうと硬くなる。

つまり、インピンジメントにより肩峰への負担が大きくなれば、肩峰の形が変形してもおかしくはないのだ。

そのことにより、肩峰の形態に関しては元々の構造だけでなく、インピンジメントが起き続けた結果であるとも考えられる。

参考文献:腱板断裂例の肩峰下面の形態

参考文献:腱板損傷の発生要因に関する解剖学的検討

腱板損傷の1番の原因は『硬さ』だ!

体幹の役割

 

  • 体幹が動くから肩がしっかりと動く
  • 体幹が硬くなると肩の動きが必要以上に要求され腱板が損傷してしまう。

 

腱板損傷についての多くの文献では、肩にのみフォーカスを当てている。

そのため、なぜインピンジメントが起きて、腱板が傷つき、腱板の機能低下し断裂にいたるのかが書かれていない。

その一連の流れが重要ではないだろうか?

もう少し、フォーカスを当てる場所を広げて体幹も考えていかなければいけない。

そのため、体幹を踏まえて腱板損傷の原因を解説していく。

まず肩の動きについて考えていく。

上まで肩を挙げた時の角度を180°とする。

この180度の内訳は

  • 120°が肩甲骨と上腕骨
  • 60°が体幹と肩甲骨

で動きが作り出されている。

肩の可動域180°の内訳

何が言いたいかというと、体幹の動きが硬くなると肩甲骨と上腕骨の関節に負担が強いられてしまうのだ。

実際に行っていただければ分かる。

背中をまるめると肩は上まであがらなくなる。

しかし、背中が反れると肩は上まで動いてくれる。

これは体幹の反る動きが肩の動きに必要だという証明となる。

体幹が丸まっていると肩が挙がらない

また体が回旋しなければ手を後ろに伸ばすことが困難になる。

身体が回旋しないと後ろに伸ばせない

つまり、体幹が硬い人は肩甲骨と上腕骨の動きが必要以上に要求されて、インピンジメントが起きてしまう。

そのことで「腱板」に負担をかけ『腱板損傷』を招いてしまう。

腱板が傷つき、機能が低下すると、上腕骨は前方または前上方へ変位する。

そうなるとさらにインピンジメントを引き起こして、しまいには腱板断裂にいたる。

このような考えもできるのではないだろうか?

確かに年齢ともに、腱板が厚くなることで、インピンジメントを引き起こし腱板損傷や腱板断裂にいたる例もありますが、その原因の根底には加齢とともに体幹自体の動きが不足することで肩に負担をかけ、腱板損傷にいたっていると考えられる。

※腱板損傷を改善するために絶対にやってはいけない事があります。ある3つのことを行うと改善が遅くなる恐れがあるのです。詳しくは下記の記事にまとめましたので是非ご参考にしてください。

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『腱板損傷』の予後は比較的良い!しかし断裂は手術が必要

私の現場での経験では、『腱板損傷』の予後は以下の通りだ。

『腱板損傷』の予後

 

  • 50歳以下でかつ炎症が長引かなければ、『四十肩・五十肩』よりも肩の動きが早く改善するケースが多い。
  • 痛みが強い炎症期から、適切に管理していけば痛みは落ち着きやすい。
  • 高齢になるにつれて、肩の組織の変性(劣化)が強くなるため、回復に時間がかかる。

 

軽度な『腱板損傷』であれば比較的予後は良いとされている。

ただ注意していただきたいのは『腱板断裂』へと進行してしまったときだ。

『腱板断裂』に進行してしまうと切れた腱板を手術でつなげるしかなくなってしまう。

もし『腱板断裂』になり放置していると、1年経っても肩の痛みや筋力が回復しないケースがある。

その点だけは注意していただきたい。

参考文献:腱板完全断裂放置例の予後調査のPDF

※腱板損傷の改善方法についてはこちらの記事にて詳しく解説しているので是非ご覧下さい。

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まとめ

今回は『腱板損傷の原因』について解説した。

この記事で分かること

  • 腱板は年齢を重ねると厚くなり、インピンジメントが生じやすい。
  • 腱板損傷の原因はインピンジメント症候群や腱板の劣化と言われている。
  • 腱板損傷の最大の原因は体幹が硬くなることで肩への負担が大きくなり、腱板損傷を招いてしまう。

腱板損傷だからといって、肩にだけフォーカスを当てすぎると本当の原因がわからなくなる。

肩の土台は肩甲骨ではなく体幹だ。

その体幹が動かなければ、必然と肩に負担がかかるのは言うまでもない。

そして、腱板損傷は色々な原因が重なって生じてしまうものなので、しっかりと原因を把握する事は大切だ。

その事だけはしっかり覚えておこう。

※その他の参考文献はこちらになります。

参考文献:棘上筋腱の退行性変化は腱板損傷メカニズムの一因になり得るか~コラーゲンに着目した免疫組織学的,分子生物学的分析~

長尾 龍男
この記事を書いた人 : 長尾 龍男

長野県長野市在住。2015年8月愛知県岡崎市にて整体院「柔YAWARA」を設立。2021年6月に長野県長野市にて『Seitai Zen繕』を設立した理学療法士。Zen繕にて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

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