なぜかデスクワーカーや立居仕事をされている方でぎっくり腰が多発している。
そんなに動いていないのになぜぎっくり腰になってしまうのか?
普通にしていただけなのになぜ急に腰痛になってしまったのか?
ぎっくり腰になってこのような疑問を持たれる方が非常に多い。
ぎっくり腰を簡単に言えば、動かなさ過ぎる事によっての腰椎(※腰骨のこと)の椎間関節(※腰骨の関節のこと)にトラブルが生じ、痛みを出してしまうものである。
今回はこのぎっくり腰についてわかりやすく解説していく。
ぎっくり腰を引き起こす3つの原因
ぎっくり腰というのはHexenschuss(魔女の一撃)などと呼ばれている。
突然の腰痛にて全く動けなくなってしまうのが特徴だ。
ぎっくり腰の原因として、色々なものが研究されている。
その主な原因としては以下のようなものがある。
- 腰椎椎間板ヘルニアがあるから。
- 長時間のデスクワークや立居仕事で関節の動きが悪くなってしまうから。
- 腰椎の椎間板の損傷がおきてしまうから。
これらについて詳しく説明していく。
腰椎椎間板ヘルニアがあるから
ぎっくり腰になってしまう原因の一つとして椎間板のヘルニアがあるからだ。
なぜならこちらの図を見比べて頂きたい。
こちらは正常な椎間板の図である。
こちらは腰椎椎間板ヘルニアがある腰部の図である。
正常な椎間板では水々しくて厚みがあるのが分かる。
それに加え、腰椎間の距離が広く椎間関節にゆとりがある。
しかし腰椎椎間板ヘルニアがある場合、腰椎間は距離が狭くなり椎間関節はぶつかりやすくなっている。
これ椎間関節に傷がつきやすくなってしまう。
つまり、腰椎椎間板ヘルニアが腰椎間を狭くし、椎間関節に負担を掛けることによって、ぎっくり腰を引き起こしてしまうのだ。
椎間関節によるトラブルがぎっくり腰の原因の一つとなる。
仕事によって腰椎椎間関節の動きが悪くなるから
動く関節は関節包と呼ばれるものに包まれている。
その中には滑液と呼ばれる液体が充満している。
この滑液は車でいう潤滑油の役割をしており、動きをスムーズにしてくれる役割を持っている。
しかし長時間のデスクワークや立居仕事などで固まってしまうとこの滑液がうまく潤滑できなくなってしまう。
そうなってしまうと関節に傷がつきやすくぎっくり腰になってしまう。
これは腰椎の椎間関節が動かないことによって発生するトラブルがぎっくり腰を引き起こすケースである。
つまり腰椎の椎間関節由来のぎっくり腰だ。
腰椎の椎間板が損傷してしまうから
上記は主に腰椎の椎間関節のトラブルによるぎっくり腰の原因を説明している。
その他にもぎっくり腰の原因として、椎間板が原因によるものがある。
この様な文献を見つけたのでご紹介する。
しかし今回,われわれが検討した「ぎっくり腰」の症例では,椎間板性のものが70%を占め,それ以外のものは 30%にすぎなかった.
つまり、ぎっくり腰の原因の70%は『腰椎の椎間板』によるものだと言っている。
残りの30%が「椎間関節」や「仙腸関節」などの問題だそうだ。
これに関しては、ぎっくり腰の60%は「椎間関節」によるものだ!と言っている文献もあるのでなんとも言えないが、腰椎の椎間板による影響もあるそうだ。
またこのようにも書かれている。
椎間板性「ぎっくり腰」が日常の何気ない動作で発症すること,繰り返し発症すること,さらにはブロック椎間の選定に造影MR像が有用であったことからも裏づけられる.
日常の何気ない動作で発症し、繰り返し発症してしまうぎっくり腰はこの「椎間板」のトラブルによるぎっくり腰の可能性が非常に高いとのことだ。
理由としては、椎間板の一番外側に侵害受容器(※痛みを感じる場所の意味)が存在しており、ぎっくり腰の多くは腰椎の椎間板の最外層まで亀裂が入っている事が多いとの研究があるからだ。
※こちらの動画では柔YAWARAがなぜぎっくり腰になってしまうか?その原因について解説しております。YouTubeでは柔YAWARAによく寄せられるお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズを定期的に紹介しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。
※ぎっくり腰の対処方法に関しては以下の記事が参考になります。ぎっくり腰になりやすい方は是非こちらを御覧ください。
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一般の人も知るべきぎっくり腰になった時の対処法【2018年版】
ぎっくり腰とは俗称であり、急性腰痛の事を指す。 何をしたわけでもなく、急な激痛が腰に生じてしまう。 時には痛みで歩けなくなる人がいるほどだ。 そうなってしまうと日常生活がままならなくなってしまう。 そ ...
※ぎっくり腰になって2週間経過したらこちらの記事の体操を行っていくと改善が早くなりますのでぜひ御参考にしてください。
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ぎっくり腰になって2週間以降に行ないたい改善体操
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腰部の構造について
上記ではぎっくり腰の原因について解説したが腰部、つまり腰椎や椎間板の構造も知っておいたほうが良いのでご紹介する。
腰椎は全部で5つある。
その腰椎の間に椎間板が存在している。
また腰椎が重なり合っているところで関節が出来ており、それを椎間関節と呼ぶ。
この一つ一つの腰椎が小さく動くことによって、身体は前屈や後屈を行なうことができるのだ。
※詳しい腰椎の構造についてはこちらから学ぶことが出来ます!詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
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もう覚えられないと言わせない!頚椎・胸椎・腰椎の解剖学の勉強法
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参考にした文献
- 関節内運動学 4D-CTで解き明かす 著者 片岡寿雄 発行所 株式会社南江堂
- 筋骨格系のキネシオロジー 監訳者 嶋田智明 発行者 大畑秀穂 発行所 医歯薬出版株式会社
- いわゆる「ぎっくり腰」は椎間板性疼痛か
上記の文献の内容を参考にぎっくり腰の原因についてまとめました。
まとめ
今回はぎっくり腰の原因について解説した。
- 腰椎椎間板ヘルニアがあると腰椎同士の距離が縮まり椎間関節が傷つきやすくなりぎっくり腰を引き起こす。
- 仕事によって固まってしまうと関節内の滑液がうまく潤滑出来なくなる。そのことによって腰椎の椎間関節が傷つきぎっくり腰を発生させてしまう。
- 腰椎の椎間板が損傷することによっても、ぎっくり腰を引き起こす。この椎間板性のぎっくり腰は繰り返し発症してしまう事がある。
意外に多くの方がぎっくり腰を経験されている。
そのほとんどが身体をあまり動かさない人達だ。
生活環境や仕事環境などで、身体を動かさないでいると関節の本来の機能が損なわれてしまう。
その事によってぎっくり腰などが発生してしまうのだ。
歳を重ねるにつれて、運動量が低下しないように心がけるのが大切であるので覚えておこう。
訂正:2019/04/11