- 足首捻挫の原因について
- 足首捻挫後のリハビリ方法について
- 捻挫癖を予防する為の方法について
多くの方が足首を捻じった経験をされているはずである。
いわゆる足首の捻挫である。
文献によれば学童期でバスケットなどの競技をされている方では、3割が捻挫の経験をされているそうだ。
一般的に足首の捻挫は非常に安易に考えられており、大抵の方がサポーターで固定して痛みが引けば良しとしている。
実はこの考えは非常に怖いことである。
足関節の捻挫をしっかりと治さなければ、『捻挫癖』と呼ばれる捻挫の再受傷や腰痛、肩こりにもつながる恐れがあるからだ。
そんな安易に考えられている足首の捻挫に対する考え方を変えていただきたい、リハビリ方法を知っていただきたいという想いでこちらの記事を作成した。
- 過去に捻挫をした経験がある。
- 現在捻挫のリハビリ中である。
という方はぜひこちらの記事をご参考にしていただきリハビリを進めていただけると幸いです。
足首捻挫が起きる原因は2つの骨の長さに違いがあるからだ
なぜ足関節の捻挫が起きてしまうのだろうか?
結論から言えば、腓骨(外くるぶし)が脛骨(内くるぶし)よりも長い為、内側に捻りやすい構造になっているからである。
これについては足の構造つまり解剖学を知っていれば、非常に理解しやすいので解説する。
足首の解剖学について
足首は、これらの骨がメインで構成されている。
- 距骨
- 脛骨
- 腓骨
下の写真で見ると左側が脛骨、右側が腓骨となる。
内くるぶし(内果)を構成する骨が脛骨、外くるぶし(外果)を構成する骨が腓骨と覚えよう。
またこれらの骨を安定させるために強靭な靭帯が付着している。
この4つの靭帯が足首の骨を強固に固定している。
- 前距腓靭帯
- 踵腓靭帯
- 後距腓靭帯
- 三角靭帯
以下に写真にて場所を示しておく。
前距腓靭帯
踵腓靭帯
後距腓靭帯
三角靭帯
これらの靭帯があることで、足首は捻挫しないように動くことができる。
足首の捻挫が起きる原因について
前述した通り足首の捻挫が起きてしまう原因は足首を構成している脛骨と腓骨の長さの違いにある。
構造上、脛骨(内くるぶし)と腓骨(外くるぶし)とでは腓骨のほうが長くなっている。
写真を見比べていただければ分かるはずだ。
明らかに腓骨(外くるぶし)の方が長くなっている。
普段では靭帯や筋肉の働きによって捻挫は起きないのだが、ふとした段差などに対応できないと、この構造が故に足首が内側に捻ってしまい捻挫を起こしてしまう。
足首が内側に捻ってしまうと外側についている『前距腓靭帯』が伸ばされ損傷をまねいてしまう。
これらから理由、足首の捻挫は内側に捻る事が多く、前距腓靭帯が一番損傷されやすい部位となっているのだ。
足首捻挫の主な症状は腫れと動かす時の痛み
足関節捻挫の症状としては、以下の通りである。
- 足首の腫れ。
- 足首に熱をおびる。
- 損傷した靭帯の部分を押すと痛みが出る。
- 内側に挫いて損傷した場合、足首を内側に捻ると痛みが出る。
- 外側に挫いて損傷した場合、足首を外側に捻ると痛みが出る。
このような捻挫の症状以外に捻挫直後、足に体重をかけて歩くことが困難な場合は骨にも異常がでている(骨折など)場合がある。
その場合は早急に医療機関への受診をオススメする。
捻挫で損傷した靭帯の修復はおよそ6週間以上
足首を捻挫してしまい、靭帯のいずれかを損傷してしまうと修復する期間としては以下の通りである。
足首の靭帯には身体の傾きを感じるセンサーがある。
本来ならバランスを崩して身体が傾いてしまうと足首の靭帯がそれを察知し、脳にその情報を伝達する事で倒れることなくバランスを保つ。
一度靭帯を損傷してしまうと、バランスを崩した際、身体の傾きの情報が靭帯から脳へ伝達しづらくなる。
その影響でかなりバランス能力が低下してしまうのだ。
下記の文献でも捻挫をした事がある人は、歩きなどで身体のバランスが低下し動揺性が現れる傾向があると報告している。
参考:健常群と足関節捻挫既往群における身体機能及びバランス能力の比較
その為、受傷後6週以降で靭帯が強固な組織へと置き換わったら、バランス能力の改善を行っていく事が大切となる。
バランスを改善しなければ腰痛や膝の痛みなどの2次的な痛みを引き起こす人が多いからだ。
足関節捻挫の重症度はこの3つ
今回の記事では内反捻挫(足首が内側へ捻ってしまう捻挫の事)の重症度の分類についてお伝えしていく。
- Ⅰ度:前距腓靭帯での部分断裂。
- Ⅱ度:前距腓靭帯の断裂。
- Ⅲ度:前距腓靭帯と踵腓靭帯の断裂。
どの重症度の捻挫であっても足首の靭帯の修復過程に応じてリハビリを進めていく事が大切となる。
どの時期も共通して言えることは、適切な時期に適切な負荷を与えていく事が重要である事。
そして、負荷のかけすぎによる足首の痛みや靭帯の治癒過程での過度な拘縮(足首が固まってしまう事)には注意すべきである。
足関節捻挫後2週までのリハビリはとにかく固定と足趾の動きの改善を
捻挫後2週間までで重要な事は「固定」と「足趾」の機能を維持する事である。
最初の3日は腫れや痛みが非常に強い時期であり、2週間かけて徐々に腫れや痛みが落ち着いてくる。
足首捻挫後2週間までのリハビリは以下の通りとなる。
- サポーターによる足首の固定。
- 受傷後3日〜2週間の期間は痛みがないん範囲で足指や足首を動かす。
上記の手順で足首の靭帯の修復を促し、足首が固まらないうように愛護的にリハビリしていく事が最善となる。
足首の捻挫直後はサポーターによる固定・安静が必須
本来骨と骨が靭帯によって固定されている。
しかし捻挫によって靭帯を損傷してしまうとのが、固定できなくなりグラグラと不安定な感じになってしまう。
その為、不安定にならないようにサポーターで足関節を固定して損傷した靭帯の修復を促していく必要がある。
固定期間は捻挫の重症度の程度にもよって変わってくるが、前述した通り靭帯の修復には6週間前後かかるためその期間は固定しなければいけないという事を覚えておこう。
前述した通り足首捻挫直後に足がつけない状態なら骨折の疑いがああるので早急に病院へ受診してください。
※足首を捻挫した時下記のサポーターが非常に役に立つので是非ご参考にしていただきたい。
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足関節捻挫後3日〜2週間までのリハビリ方法
足首捻挫直後〜3日目まではひどい炎症状態であり、2週間にわたって炎症が徐々に落ち着いてくる。
そのため、引き続き足首のサポーターで固定をしながら安静に保つ必要がある。
豆知識として覚えておいてほしい。
捻挫直後から出てくる足首の腫れは、周りの組織をくっつけてしまう作用がある。
その為、捻挫をして3日過ぎたら痛くない範囲で「足首」と「足趾」を動かしていくことが大事だ。
そうする事で、無駄な拘縮(足首が硬くなってしまう現象)が起きづらくなるからである。
特に動かす際の注意点は痛くない範囲で動かす事である。
痛みが伴うなら、固定して安静に保つ事を優先にしていただきたい。
以下の注意事項を良くお読みの上、エクササイズを行なっていこう。
- 靭帯の修復途中である為、痛みがない範囲で行う。
- 痛みが出てしまうと症状が悪化し、治癒が遅くなってしまうので要注意。
- 腫れを軽減させる。
- 足首の動きの改善させる。
- 足の指の動きの改善させる。
※柔YAWARAが動画内にて足首捻挫後2週間までのリハビリ方法について解説しております。
つま先上げ
方法
- 座った状態で行う。
- かかとを着いたままつま先を挙げる。
- 10回行う。
踵上げ
方法
- 座った状態で行う。
- つま先を着いたまま踵を挙げる。
- 10回行う。
足趾の体操
方法
- 座った状態で行う。
- かかとを着いたまま指を開いて閉じるを交互に行う。
- 10回行う。
捻挫後2〜6週目までのリハビリは体重をかけたトレーニングを行おう
前述でも述べたが、2〜6週目に関してもまだ足首の靭帯の修復期間である。
この時期も基本無理なことをせずに愛護的にリハビリを進めていく事が大切だ。
その為、以下のPOINTをご参考にしていただきたい。
- 足首の固定は続けること。
- 体重をかけたトレーニングや体操を行なっていく。
これらについて詳しく解説していこう。
足関節の固定は継続しよう!
捻挫後2〜6週にかけて腫れが引き、靭帯が徐々に修復してくる。
足首の靭帯の修復が進んでくる反面、この時期になってくると動けるようになるため再度捻挫が起こりやすい時期でもある。
そのため、足首のサポーターを使用して固定は続けていかなければならない。
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体重をかけたトレーニングを行なっていく
靭帯の修復に伴って、体重をかけた体操を行なっていける時期である。
もちろん、痛みが無い範囲で行うのが原則だ。
いつまでも、体重をかけないようにかばってしまうと足関節の動きが悪くなってしまったり、足全体の筋肉が落ちてしまうという2次災害が起きてしまうので注意が必要だ。
それだけでなく、足関節についている靭帯の機能の一つであるバランス感覚も損なわれてしまう。
一番怖いのは再度捻挫をしてしまったり、その他の身体の部位に負担をかけて痛みを出してしまうことである。
これらの注意点を踏まえて捻挫後2〜6週で行うリハビリ方法を解説していく。
- 体重をかけてトレーニングする際、痛みがない範囲で行おう。
- 痛みが出現または、悪化してしまう場合は行わないでください。
※動画内にて捻挫後2〜6週目までのリハビリ方法を解説しております。
踵上げ
方法
- 母指球を中心につま先立ちを行う。
- 痛みがある時は座って行う。
- 10回行おう。
ハーフスクワット
方法
- 膝が内側に入らないように、まっすぐ腰を下ろしていく。
- 太ももが地面と平行な位置になるまで腰を落とす。
- 10回行おう。
ランジ
方法
- サポーター着用で行っていこう!
- 半歩前に足を出す。
- 左右10回行おう。
捻挫後6週以降はバランスの改善をメインとしたリハビリを
足首捻挫後、6週間ほどで靭帯が強固になり痛みも軽減してくる。
しかし、前述した通り足首の靭帯が損傷してしまうと身体のバランス感覚が著しく低下する。
その事によって腰痛や肩こりなどの2次災害も起きてしまう。
足は地面と一番近くで接しているため、人間にとっての土台となる関節である。
田んぼの上に良い家が建てられないのと同じで、土台部分の問題を解決しないと、足首が原因による捻挫癖や腰痛などのさまざまな症状が起きてしまうので気を付ける必要がある。
以下に捻挫後6週以降のリハビリ方法を解説しいく。
※動画内にて捻挫後6週以降に行うハビリ方法を解説しております。
- 片足立ち
- 片足立ち+バンザイ
- タオルの上で片足立ち
- タオルの上で片足立ち+バンザイ
- 横に置いたタオルへサイドステップ
これらは難易度別になっている。
徐々に難易度を上げていけるようにリハビリを行っていこう。
片足立ち
これは一番難易度が低いものとなる。
まずは片足立ちにてバランスを取れるようにするのが重要だ!
- 捻挫した方の足を軸にして、片足立ちを行う。
- 反対側の足はなるべく高くあげる。
- 10秒キープしよう!
片足立ち+バンザイ
次に片足立ちにて、バンザイを行うことで体幹が不安定になる。
この不安定さを足首でバランスを取れるようにエクササイズを行なっていこう!
- 捻挫した方の足を軸にして、片足立ちを行う。
- 反対側の足はなるべく高くあげる。
- そのままバンザイをする。
- 10回行おう!
タオルの上で片足立ち
タオルを重ねてその上に乗ることで、より不安定な環境にできる。
片足立ち+バンザイが行えるようになったら、次は接地面を不安定にさせてトレーニングを行なっていこう!
- タオルの上で捻挫した方の足を軸にして、片足立ちを行う。
- 反対側の足はなるべく高くあげる。
- 10秒キープしよう!
タオルの上で片足立ち+バンザイ
タオルの上で片足立ちが安定するようになったら、次はバンザイを行なっていこう。
接地面と体幹が不安定な状態でもバランスが取れるように行なっていこう!
難易度が上がるので、足首の痛みがまだある人は注意が必要だ!
- タオルの上で捻挫した方の足を軸にして、片足立ちを行う。
- 反対側の足はなるべく高くあげる。
- そのままバンザイをする。
- 10回行おう!
タオルへサイドステップ
上記の片足立ちのバランスエクササイズが完璧になったら、今度は動作を行なってからそこでしっかり安定出来るように行なっていこう!
動作→止まる→安定というのは非常に難しいのでしっかり行えるようになれば、足首からのトラブルは激減する。
- 歩横においたタオルへサイドステップをする。(捻挫した方の足から)
- そのまま、片足立ちをする。
- 10回行おう!
足首捻挫後一番怖い捻挫癖はバランス機能を高めることで予防を!
前述した通り、多くの方が足首捻挫を甘く見ている。
損傷した足首の靭帯は自然と修復し痛みが軽減するがそれで良しにしてはいけない。
何度も言うように足首の機能が低下することによって、捻挫癖などの2次災害が起きてしまうからだ。
多くの方が捻挫を軽視した故にリハビリ不足を引き起こし、バランス機能の低下している。
そのことにより、何度も捻挫を繰り返してしまう方が多い。
これを防ぐためにも足首の損傷した靭帯の修復に合わせたリハビリと、修復後のバランス機能を改善するリハビリをしっかり行っていく事が大切となる。
それが『捻挫癖』を防ぐ唯一の方法となるのだ。
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まとめ
今回は足首捻挫全期間のリハビリの考え方やその方法、また捻挫癖の予防方法について解説した。
- 足首捻挫のリハビリは靭帯の修復過程に応じて行っていく必要がある。
- 足首捻挫後2週間は炎症が強いため、サポーターによる固定と患部以外の機能低下を防ぐリハビリを行っていく。
- 足首捻挫後2~6週は靭帯が徐々に修復してくる機関である為、痛みに注意しながら荷重をかけたリハビリを行っていく。
- 足首捻挫後6週以降は靭帯損傷で低下したバランス能力の改善をメインに捻挫癖の予防を行っていく。
多くの方が足関節を捻挫した時、痛みが軽減すれば良しと考えがちである。
しかし、それだけでは不十分である場合が多く、後々大きなトラブルを招くことが多い。
たかが捻挫だと侮らず、しっかりと改善させていく事が大切なので覚えておいてほしい。
※捻挫した時はこのサポーターが非常に役に立つので是非試していただきたい。
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