この記事で分かること
- 腱板損傷のリハビリの考え方は「残存した腱板の機能を最大限にする」ということ。
- 腱板損傷で痛みが強い時期のリハビリ方法は、肩の安静と体幹の柔軟性改善、痛みがない範囲で肩を動かすこと。
- 腱板損傷で痛みが軽減してきた時期に行うリハビリは、徐々に肩の硬さをとり、動きを改善していくこと。
腱板損傷をしたとき、軽度な場合はリハビリを中心とした保存療法が選択される。
中にはその保存療法を行えば、切れてしまった腱板が修復すると勘違いしている人がいる。
軽度な腱板損傷のリハビリはあくまでも、切れていない腱板の機能を最大限にして、日常生活の問題をなくしていくことが目的だ。
そんな腱板損傷のリハビリの考え方や7つのリハビリ方法を解説していく。
※動画にて腱板損傷のリハビリの考え方や7つのリハビリ方法について詳しく解説しております。読む時間がない方は是非動画をご覧下さい。
そもそも腱板損傷とは?
そもそも腱板損傷とは腱板がはがれたり、穴が空いている状態のことをさす。
はがれた場所や穴が空いている場所は中々修復しづらい。
軽度な腱板損傷の場合は修復する事もあるが、ひどいと悪化する一方だと言われている。
軽度な腱板損傷だとしても1年で約5mm穴が広がっていくという報告がある。
だいたい穴が5cmに達すると手術でもどうにもならないケースとなる。
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腱板損傷のリハビリの考え方について
結論
- 腱板損傷のリハビリは時期に応じて適切な安静や肩の動きを改善していくリハビリを行う事が大切。
リハビリの役割というのはなんのか?と説明すると、3つの役割がある。
- 残存している腱板の機能の回復
- 腱板以外の筋肉の活動を高める
- 肩の動きの改善
役割1:残存している腱板の機能の回復
腱板損傷で穴が空いたとしても、つながっている部分があるので、その部分は機能する。
機能している腱板の機能を最大限まで回復させるのがリハビリの役割だ。
役割2:腱板以外の筋肉の活動を高める
腱板が切れて機能が低下したとしても、ある程度腱板が残っていれば、他の筋肉を使って腕を挙げることは可能である。
その筋肉を使えるようにしていくのがリハビリの2つ目の役割だ。
役割3:肩の動きを改善させること。
ある程度腱板が切れていたとしても、炎症がおさまり、硬さが取れれば、肩は動くようになる。
つまり、肩を動かす時に邪魔している硬さを排除していくのがリハビリの3つ目の役割となる。
リハビリをやれば腱板がくっつくと考えている方がいらっしゃるのですが、それは間違えだ。
むしろやり方次第では、腱板の穴がより広がるリスクがあることを理解してほしい。
あくまでも残存している機能を最大限に高めるという事がリハビリの役割である。
リハビリは決して腱板をくっつけるために行うものではないと覚えておこう。
肩の動きを改善する7つの腱板損傷のリハビリ方法
POINT
- 痛みが強い時は肩を大きく動かしてはいけない。
- 痛みが軽減してきたら肩の硬さをとっていく。
腱板損傷のリハビリをする時、大きく2つの時期に分かれる。
1つ目は痛みが強く肩を大きく動かしてはいけない時期だ。
軽度な腱板損傷の場合だいたい痛みが出てから2~3か月程度になる。
※腱板損傷の治療期間についてはこちらの記事にて詳しく解説しております。
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軽度な腱板損傷の治療期間・リハビリ期間は3か月だ!
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この時期は肩をしっかりと動かすための基礎作りの時期である。
そのため、
といった時期となる。
もし3か月過ぎても、肩の痛みが強く残っていれば、「肩を大きく動かしてはいけない時期」だと思おう。
2つ目は痛みが軽減して、肩の硬さをとっていく時期である。
これは軽度な腱板損傷の場合は3か月過ぎてからだ。
中等度の腱板損傷の場合は6ヶ月過ぎてからになる。
個人差があるので痛みを基準にして考えよう。
肩の硬さをとっていく時期は比較的肩を大きく動かしていく。
加えて腱板のトレーニングも行える時期だ。
しかし、この時期も肩に痛みがでないように注意して行って必要がある。
それではそれぞれの時期に行っていく肩のリハビリ方法を解説していく。
※注意点として、肩を動かしている時に痛みがでてしまったり、動かした後にだるさや重さが増す場合は、大きく動かしすぎて腱板を傷つけている可能性がある。そのため、痛みが出ない範囲、伸びた感じが出ない範囲でおこなっていこう。
※なぜストレッチを行ってはいけないのか?その理由についてはこちらの記事にて解説しております。
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痛みがある時期に行う肩のリハビリ方法
肘を曲げて90°までバンザイ
リハビリ方法
- 肘をまげる
- 肩を90°まで前からバンザイする
- 10回行おう
POIT
- てこの原理で肘を伸ばしてバンザイするよりも肘を曲げてバンザイしたほうが肩への負担が減少する
肘を曲げて斜め45°へバンザイ
リハビリ方法
- 肘をまげる
- 斜め45°方向へ肩をバンザイする
- 高さは90°まで
- 10回行おう
肩関節の内外旋
リハビリ方法
- 握りこぶしを脇に挟む
- 外側へ肩を捻る
- 内側へ肩を捻る
- 肩甲骨を固定した状態で行おう
- 10回行おう
痛みが軽減して肩を大きく動かしていく時期のリハビリ方法
肘で円を描く
リハビリ方法
- 肘を曲げて、内側から肘を回す
- 肘で円を描くイメージで行おう
- 最初は肘の高さは90度までで行おう
- 痛みがなければ、徐々に肘で描く円を大きくしていこう
- 10回行おう
肩関節適合エクササイズ
リハビリ方法
- 肘を伸ばした状態で90度まで挙げる
- その位置で親指を下にして上まで挙げる
- そのまま掌を下にして横からおろす
- 10回行おう
肩の内外旋ワイパーエクササイズ
リハビリ方法
- タオルを机の上に置き、タオルの上に手を置く
- 少し体重をかけて肩を内外旋するそのまま掌を下にして横からおろす
- 内外旋を10回ずつ行おう
バンザイで肩の内外旋
リハビリ方法
- 斜め45°方向に肩を120°挙げる
- その状態で肩の内外旋を行う
- 痛みがない範囲で10回行おう
※痛みがある場合は絶対に行わないでください。
痛みが落ち着いてきた時期では、チューブを使った腱板のトレーニングも行う事が可能である。
※詳しくはこちらの記事にて解説しているので是非ご覧下さい。
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まとめ
今回は腱板損傷のリハビリの考え方と7つのリハビリ方法を解説した
POINT
- 腱板損傷のリハビリの考え方は「残存した腱板の機能を最大限にする」ということだ。
- 腱板損傷で痛みが強い時期のリハビリ方法は、肩の安静と体幹の柔軟性改善、痛みがない範囲で肩を動かす事である。
- 腱板損傷で痛みが軽減してきた時期に行うリハビリは、徐々に肩の硬さをとり、動きを改善していく事である。
何度でもいうが、腱板損傷のリハビリは残存している機能を最大限に回復させるために行うものだ。
決して腱板損傷でできた穴をふさぐために行うものではない。
また暴力的なリハビリや痛みを伴うリハビリは腱板損傷で出来た穴をより広げてしまう可能性がある。
リハビリはやればよいというものではない。
大切なのは適切な時期に適切なリハビリを行うことなので覚えておこう。