夜間痛の原因と改善方法アイキャッチ

腱板損傷・四十肩

腱板損傷で夜間痛はなぜおきるのか?3つの原因と改善方法を解説

この記事で分かること

  • 腱板損傷で夜間痛が起きてしまう3つの原因について
  • 腱板損傷に伴う夜間痛の改善方法および改善体操について

腱板損傷を患った時、一番苦しまれるのが「夜間痛」である。

夜間痛は睡眠障害だけでなく、うつ病などの精神疾患を引き起こしてしまう。

加えて、腱板の修復も遅くなってしまうのでなるべく出ない方が良い症状である。

ではなぜ、腱板損傷に伴う「夜間痛」が生じてしまうのだろうか?

結論から言えば、

  • 肩甲骨と上腕骨の隙間が狭くなってしまうから
  • 糖尿病などの内科的疾患が合併しているから

などが考えられます。

今回は腱板損傷に伴う夜間痛の原因と改善方法について詳しく解説していく。

※動画内でSeitai Zen繕が腱板損傷に伴う夜間痛の原因について詳しく解説しておりますので是非ご覧ください

夜間痛の原因は大きく分けて3つある

腱板損傷に伴う夜間痛の原因はこの3つに分けられる。

  • 1つ目は肩甲骨と上腕骨間の隙間が狭くなりの圧力がたかくなるから。
  • 2つ目は肩甲骨と上腕骨の間にある組織が硬くなるから。
  • 3つ目は糖尿病などの内科的な要因で炎症が起こりやすいから。

特に1つ目と2つ目の原因はポジショニングや簡単な体操で改善を促すことが可能である。

しかし、3つ目に関しては、内科の医師の指導のもとの管理が必要になってくる。

肩甲骨と上腕骨の間が狭くなることで生じる夜間痛の原因と改善方法

夜間痛を引き起こす原因

  1. 腱板と三角筋のバランスの崩れ

肩甲骨と上腕骨の間には腱板だけでなく、肩峰下滑液包と呼ばれる組織がある。

肩峰下滑液包というのは、肩甲骨の肩峰と腱板を構成する棘上筋・棘下筋の間にある袋だと考えよう。

肩峰下滑液包

この袋があるおかげで、腱板と肩甲骨の肩峰がぶつからずに肩がスムーズに動くことができる。

肩がスムーズに動く

実はこの肩峰下滑液包の圧力が、夜間痛と密接に関わっているという文献の報告がある。

腱板の最大の機能は上腕骨と肩甲骨を引き寄せる働きだ。

腱板の作用

引き付ける作用

しかし、腱板損傷が起きてしまうとこの引き寄せる作用が低下してしまう。

その影響で、立っていたり、座っていたりすると、重力によって上腕骨が下に下がってしまう。

このことで、「インピンジメント」など、肩の動きに問題が発生してしまう。

腱板が機能しないと軸が安定しない

肩の動きだけでなく、夜間痛も生じやすくなる。

本来は寝ていても、腱板が上腕骨と肩甲骨を引き寄せているので上腕骨がその位置でとどまっててくれる。

腱板の機能で正常な位置を保つ

しかし、腱板損傷が起きると、腱板の上にある三角筋の働きで、上腕骨が上に移動してしまう。

三角筋の働きで上腕骨が持ち上がる

そのことで肩甲骨と上腕骨の間が狭くなり、肩峰下滑液包が圧迫され、圧力が高まる。

滑液包がつぶれ圧力UP

高まった圧力によって肩に痛みを出してしまうのだ。

簡単に例えれば、パンパンに膨らんだ風船を思いっきりつぶして、破裂寸前にしているのと同じだ。

この時の痛みの出現部位はほとんどが肩の前や外側部に現れる。

痛みが出る姿勢としては、横向きで42%、仰向けで35%というデータもある。

また、腱板損傷の初期は肩の内部が腫れてしまい、肩峰下滑液包が圧迫され夜間痛を引き起こしてしまう場合もある。

※腱板損傷になってしまう詳しい原因についてはこちらの記事にて解説しておりますので是非ご覧下さい。

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肩甲骨と上腕骨の間が狭くなっていることによる夜間痛の改善方法としては、寝る姿勢を工夫して、安静に保ち、肩内部の腫れを減少させることだ。

※腱板損傷で夜間痛が出ている時の寝方で適切な安静方法の取り方を解説しておりますので是非ご参考にしてください。

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特に上記の記事内で解説しているリクライニングを行うと、重力の影響で上腕骨が下に移動して、肩甲骨と上腕骨の隙間が開きやすくなる。

リクライニングすると重力の影響で上腕骨が下がる

その事で肩峰下滑液包への圧迫が減少されるので、夜間痛が起きづらくなるのだ。

その他にも腱板損傷に対する手術を行うと、夜間痛が改善傾向になる報告もある。

これは、腱板の機能が改善されることによって、寝ている時、三角筋の作用で上腕骨が上にあがらなくなるからだ。

肩甲骨と上腕骨の間にある組織が硬くなることで生じる夜間痛の原因

肩甲骨と上腕骨の間にある組織、厳密に言えば、肩峰下滑液包と腱板(棘上筋や棘下筋)が癒着している状態のことを指す。

癒着というのは、くっついて固まってしまう状態だ。

肩峰下滑液包と腱板の癒着

腱板損傷がおきると、先ほど説明したように肩内部が腫れる。

腫れの成分は組織をくっつける働きがあるので、夜間痛が長期間続くと棘上筋や棘下筋と肩峰下滑液包がくっついて固まってしまう。

現に夜間痛が3か月以上続く場合はこ肩を外へ捻る動きが硬くなる。

もしくは外転拘縮と呼ばれる状態になる。

外転拘縮

上記の状態になると肩甲骨と上腕骨の間の組織が固まっているので、寝ている時に伸ばされる刺激が加わりやすくなる。

外転拘縮が起きると

その事で腫れが起き、より肩峰下滑液包への圧力を高め、夜間痛を引き起こしてしまうのだ。

肩峰下滑液包と腱板の癒着による夜間痛の改善方法

小刻みに斜め45°の方向へ持ち上げる

方法

  1. 寝た状態で肘を曲げる
  2. 肘を斜め45°の方向へ持ち上げる。
  3. 持ち上げる角度は45度程度にとどめる。
  4. 痛みがない範囲・伸びない範囲で10回行う

肩外転エクササイズ

期待できる効果

  1. 棘上筋を単独で動かせるため肩峰下滑液包と癒着している部分が徐々に除去できる。
  2. 拘縮改善による夜間痛軽減効果。

肩の外旋+肩甲骨挙上エクササイズ

方法

  1. 寝た状態で行う。(画像は分かりやすくするために立って行っています)
  2. 掌を外へ向けるように肩を外旋させる。
  3. 肩を外旋させると同時に肩をすくめる。
  4. 痛みがない範囲・伸びない範囲で10回行う

拘縮除去エクササイズ

期待できる効果

  1. 腱板と肩峰下滑液包が癒着している部分を徐々に動かすことで除去できる。
  2. 拘縮改善による夜間痛軽減効果。

肩の内旋+肩甲骨挙上エクササイズ

方法

  1. 寝た状態で行う。(画像は分かりやすくするために立って行っています)
  2. 掌を後ろへ向けるように肩を内旋させる。
  3. 肩を内旋させると同時に肩をすくめる。
  4. 痛みがない範囲・伸びない範囲で10回行う

拘縮除去エクササイズ2

期待できる効果

  1. 腱板と肩峰下滑液包が癒着している部分を徐々に動かすことで除去できる。
  2. 拘縮改善による夜間痛軽減効果。

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腱板損傷に伴う夜間痛の原因が糖尿病による炎症物質の増加

糖尿病はメタボリックシンドロームとの関連が強く、体内の脂肪組織が多いことが考えられる。

文献によれば、内臓脂肪が多いと炎症物質が多く作られ、抗炎症物質は少なくなってしまうことで、炎症が起きやすくなると言われている。

また2型糖尿病を合併する腱板損傷では、肩峰下滑液包と腱板が癒着しやすくなり肩が動きが悪くなるとの報告がある。

これらのことから糖尿病を合併している腱板損傷の方は内臓脂肪から炎症物質が作られ、肩峰下滑液包と腱板を癒着させ、二次的な夜間痛を引き起こしていることが考えられる。

糖尿病による夜間痛の改善方法

糖尿病などの内観的な因子が原因による夜間痛を改善させるためには、内科の医師の指導のもと糖尿病をしっかりと管理していく必要がある。

また糖尿病では無いにせよ、体格が良い人は、夜に糖質を取りすぎないことや、体重コントールをしっかりするといったことが夜間痛をコントロールする上で非常に重要だ。

参考文献

肩関節周囲炎による夜間痛の持続期間が及ぼす影響

肩関節周囲炎における夜間痛の発生に関わる背景因子について

腱板断裂患者の夜間痛について - 術前・術後の肩峰下滑液包圧の変化-

まとめ

今回は腱板損傷に伴う夜間痛の原因と改善方法について詳しく解説した。

POINT

  • 腱板損傷に伴う夜間痛の原因の一つ目は、腱板が機能しなくなることによって肩甲骨と上腕骨の距離が狭くなり圧力が高くなるから
  • 腱板損傷に伴う夜間痛の原因の二つ目は夜間痛が長引けば長引くほど腱板と肩峰下滑液包が癒着することで、肩の外旋・外転拘縮が起きるから。
  • 糖尿病や体重コントロールができないことによって炎症が起きやすい環境になっているから。
  • 腱板損傷に伴う夜間痛の改善方法としては、適切な寝方を行う。肩の拘縮を除去する。糖尿病などの内科的な疾患の管理をしっかり行う事である。

このように腱板損傷に伴う夜間痛にもしっかりとした原因が存在する。

そのため、自分の夜間痛がどんな原因で生じているのか?を調べ、適切に管理していく事が大切になるので覚えておこう。

※腱板損傷の改善方法に関してはぜひこちらの記事をご覧下さい。

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