日本国内で腰の痛みを自覚している人は非常に多い。
平成28年国民生活基礎調査で記載されている自覚症状の内、腰痛は男性が1位、女性が2位となっているほどである。
そんな腰痛で病院へ行き、レントゲンやMRIを撮り、診断をしてもらうと『腰椎椎間板ヘルニア』と診断されることが多い。
つまり、腰のヘルニアである。
腰のヘルニアとは腰骨である腰椎と腰椎の間にある『椎間板』と呼ばれるものが潰れ、飛び出てしまっている状態の事を指す。
実にたくさんの方がこの状態に陥っているのだが、軽症である場合は我慢できたり、軽い腰痛程度で済む。
しかし、一度悪化してしまうとどの様な症状が出てしまうのだろうか?
今回はもし「腰椎椎間板ヘルニア」が悪化してしまうとどの様な症状を出してしまうのかを解説していく。
腰椎椎間板ヘルニアの原因とは?
腰椎椎間板ヘルニアの原因としてはまず第1に加齢による組織の劣化が挙げられる。
椎間板というのは70〜90%が水分のゲル状の『髄核』とその周囲を『線維輪』と呼ばれる少し硬い組織からなっている。
この椎間板は骨よりも柔らかい為、衝撃吸収の役割と背骨の安定性を担っている。
この椎間板が加齢により劣化してしまうと椎間板が潰れやすくなり、中にある髄核が外に飛び出してしまいヘルニアを引き起こしやすくなってしまう。
第2に物理的な負荷である。
これは地球に住んでいる上では切っても切り離せない問題である。
何故なら、認知していなくとも人間には重力の影響を常に受けている。
その負荷だけでなく、動作によっても椎間板に負担をかけてしまう。
代表的なものとしては、前屈動作である。
これは椎間板の前方に負担かけ、椎間板が後方に飛びやすくしてしまう原因となってしまう。
また興味深いのは立っている時よりも『座っている』時の方が、椎間板への負担が1.3〜1.5倍まで増大してしまうという点だ。
つまり、長時間のデスクワークが腰に良くないというのはこのことが関係している。
参考文献:筋骨格系のキネシオロジー 監訳者 嶋田智明 p288-291
※詳しくは一般の方にも知っていただきた腰の椎間板ヘルニアの知識についてはこちらの記事で解説しておりますので是非ご覧ください。
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腰椎椎間板ヘルニアが悪化してしまうとどんな症状が出るのか?
さてここから本題に入っていこう。
もし腰椎椎間板ヘルニアが悪化してしまったらどのような症状が出てしまうのだろうか?
多くの方がご存知ではないはずだ。
まずは一般的なヘルニアの症状を解説してから、重症化した時の症状について詳しくお伝えしていくことにする。
腰椎椎間板ヘルニアの症状
腰の椎間板ヘルニアの一般的に知られている症状としては以下のものがある。
- 腰痛
- 下肢の痛みやしびれ、違和感
まず腰痛について解説していく。
腰痛自体には大きく2種類ある。
それは『①椎間板自体の痛みによる腰痛』と『②椎間関節の痛みによる腰痛』である。
『①椎間板自体の痛みによる腰痛』は文字通り椎間板が潰れてしまうことによって、椎間板自体に痛みを出したり、その周囲の組織が痛みを出してしまうものである。
椎間板自体の研究では、椎間板自体にも神経があり、痛みを出す要因の一つだと言われている。
参考文献:椎間板性腰痛の基礎
『②椎間関節の痛みによる腰痛』に関しては、腰の関節のトラブルによる腰痛という意味である。
腰の椎間板ヘルニアがあると、椎間板は潰れた状態になる。
つまり、腰骨と腰骨の距離が短くなり、関節が圧迫されこすれやすい状態になってしまうのだ。
こちらが正常な腰椎を左斜め後ろから見た写真である。
まだ関節の隙間があることが分かる。
こちらが椎間板を潰したモデルとなる。
関節の隙間が狭くなっていることがわかるはずだ。
この状況によって、腰の関節にトラブルが生じてしまうと腰痛になってしまうというものである。
※椎間関節性腰痛に関してはこちらの記事にて詳しくご紹介しておりますので是非ご参考にしてください。
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次に下肢の痛みやしびれ、違和感に関して解説する。
腰のヘルニアによって、重症度によっては神経を圧迫してしまう状態になる。
この状態になると、神経が損傷してしまい痺れが生じてしまう。
その痺れの位置は圧迫されている神経によって出現する場所が変わってくる。
代表的なのが、4番と5番の腰椎のヘルニアの場合、脛から足の内側に痛みやしびれなどの違和感を出してしまう。
※腰のヘルニアによる痺れに関しては、こちらの記事にて詳しく解説しておりますので是非ご覧ください。
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腰椎椎間板ヘルニアが悪化した時の症状
上記は比較的軽症〜中等度の腰椎椎間板ヘルニアの症状である。
もし重症化してしまうと、足の『筋力低下』が生じてしまうのだ。
筋力低下といっても、神経の圧迫の程度によって変わってくるが、ひどい場合は、全く力が入らないが故に動かなくなってしまうという症状が出てしまう。
具体的にはどの部位で筋力低下が起きるのか?について解説していく。
3番と4番の椎間板ヘルニアによって『大腿四頭筋』の筋力低下が起きてしまう。
つまり、以下の膝を伸ばす力が低下してしまう。
4番と5番の椎間板ヘルニアによって『長趾伸筋』の筋力低下が起きてしまう。
つまり、以下の足の指を伸ばす力が低下してしまう。
5番と仙骨の椎間板ヘルニアによって『長・短腓骨筋』の筋力低下が起きてしまう。
つまり、以下の足を外側へ向ける力が低下してしまう。
参考文献:腰椎椎間板ヘルニアのための診察・検査
このような筋力低下が生じている場合は、ヘルニアによってひどく神経を圧迫していることが予想される。
その為、早急に医療機関へ受診する必要がある。
場合によっては、手術も適応になってしまうので気をつけよう。
どうして悪化するのか?
なぜ腰椎椎間板ヘルニアが悪化してしまうのか?
これに関しては、前述した通り「加齢による組織の変化」や「日常生活での動作の仕方」が深く関わってくる。
特に日常生活での過ごし方が一番の要因である。
デスクワークや立ち居仕事を長時間行なって全く動かない人や日頃から運動を行なっていない人などは特に重症化しやすい。
動くと心肺機能に関してはつらいのだが、筋肉や関節にとってはとても大事なことになる。
つまり、身体に必要な運動量が足りていない場合はヘルニアのリスクも高くなってしまう。
また痛みがあるのに我慢をして、運動を続けていたり、痛み止めで誤魔化して安静を保たずに動いている人も重症化しやすい。
痛みがあるというのは、腰の内部で傷があるということである。
薬を使っても良いが、痛みが消えたからといって腰の内部の傷が薬によって消えているわけではない。
その為、痛みがある時は安静に保つことが非常に大事なのである。
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まとめ
今回は腰椎椎間板ヘルニアが悪化してしまうとどのような症状が出るのか?について詳しく解説した。
- 腰椎椎間板ヘルニアの症状としては、「腰痛」「足の痛み」「しびれ」「違和感」がある。
- 症状が悪化してしまうと、「筋力低下」が圧迫している神経の部分で生じる。
- あまりにも症状がひどい場合は、手術を行うケースがある。
痛みがある事が美徳となっているのが日本人である。
多少痛くても頑張れると思いがちだが、痛みが出ている時点で身体は悲鳴を上げてしまっている。
それは腰でも同じだ。
少し腰痛があるけれど、我慢すればそのうち治ると思われている人がどれほど多い事だろうか。
若いうちはそれで通用するが、年齢を重ねていくとそれでは通用しなくなる。
何故なら、傷の修復速度が若い頃と比べて明らかに遅くなるからだ。
少しでも痛みや違和感を感じたら、ましてや足にしびれなどを感じているようならすぐに身体のメンテナンスを行っていくことをオススメする。
身体も車と同じ消耗品であり、メンテナンスが必要であるという事を忘れてはいけない。
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訂正:2020/05/20