『椎間関節性腰痛』という腰痛をご存知だろうか?
腰痛の中で腰椎(※腰骨の意味)の椎間関節(※腰骨の関節の意味)に痛みを出してしまうものである。
この椎間関節性腰痛が原因で腰痛を訴える人が非常に多い。
全腰痛の70~80%を締めていると言われている。
そのなかでも椎間関節由来の腰痛は頻度が高く,全体の 70 ~80%を占める 4).
引用:病期別の非特異的腰痛症3症例に対する大腿筋膜張筋へのダイレクト・ストレッチングと中殿筋への筋力強化運動による即時的効果─シングルケースによる検討─
よく腰痛で腰椎椎間板ヘルニアと診断された人にこの椎間関節性腰痛の症状が出ていることが多い。
今回はそんな椎間関節性腰痛の原因とその症状について一般の方でも分かりやすいように解説していく。
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椎間関節性腰痛になってしまう原因
椎間関節性腰痛になってしまう原因としては、大きく2つある。
- 腰椎椎間板ヘルニアがあるから
- 腰椎の構造的な問題があるから
腰椎の構造的な問題と日常生活の過ごし方によって椎間関節に負担がかかり、椎間関節性腰痛を引き起こしてしまう。
以下に腰椎と椎間関節の構造的な特徴を説明した上で、椎間関節性腰痛について解説していく。
腰椎と椎間関節の構造を確認
腰部は5つの腰椎が連結している構造になっている。
他の椎体(※背骨の骨のことである)に比べ、体重を支えるために大きくなっている。
この腰椎と腰椎のつなぎ目の事を『椎間関節』と呼ぶ。
分かりやすく図にしたものを以下にご紹介する。
赤丸のところが『椎間関節』である。
この関節部分でトラブルが発生してしまうがために、腰痛を引き起こしてしまうのだ。
※椎間関節性腰痛の特徴として、腰痛だけでなく臀部や大腿部に関連した痛みが生じる事があります。この痛みを関連痛と呼びます。この関連痛に関してはこちらの記事にて詳しく解説しておりますので腰痛だけでなく、臀部に痛みがある場合はぜひご覧ください。
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構造が理解できたところで以下に椎間関節性腰痛になってしまう原因について解説していく。
腰椎椎間板ヘルニアがあるから
腰椎椎間板ヘルニアがあると椎間関節性腰痛を引き起こしてしまう原因となってしまう。
下の図は正常な椎間板である。
水々しく厚みがあるのが特徴だ。
下の図は腰椎椎間板ヘルニアの図である。
椎間板がヘタって潰れている。
また腰椎と腰椎の間隔が狭いことが分かるだろう。
上記の2つの図から腰椎椎間板ヘルニアがあると腰椎の間の距離が短くなり、関節が擦れやすくなってしまう。
その為、椎間関節に傷がつきやすくなり、『椎間関節性腰痛』を招く原因となるのだ。
腰椎の構造的な問題があるから
腰椎の構造上「前屈」と「後屈」しか出来ない。
過度に『後屈』してしまうと腰椎の関節同士がぶつかってしまう。
また過度の『回旋動作』や『側屈動作』も同様に関節同士がぶつかってしまい、痛みを出す原因となってしまう。
つまり過度な後屈動作や、回旋動作、側屈動作を行ってしまうと腰痛になる可能性が高いのだ。
椎間関節性腰痛の症状とは?
主な原因を上記で説明したのだが、椎間関節性腰痛の症状はどうだろうか?
以下に列挙したのでぜひご覧ください。
- ピンポイントで片側の腰痛
- 腰を反ると痛みがでる。
- 下位腰椎の椎間関節性腰痛の場合、腰痛だけでなく臀部まで関連痛を出す。
片側のみの腰痛で、主に腰を反る動作にて痛みが出てしまう。
加えて前述した通り、臀部への関連痛が生じてしまうのが椎間関節性腰痛の症状である。
※椎間関節性腰痛を改善していく方法はこちらの記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひお試しください!
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参考文献
このような文献を参考にして、一般の方でも分かりやすいようにこのブログを書きました。
- 筋骨格系のキネシオロジー 第1版 監訳者 嶋田智明 発行者 大畑秀穂 発行所 医歯薬出版株式会社 p267〜p369
- 脊髄神経後枝内側枝の電気刺激 による腰椎椎間関節 性疼痛の分析
まとめ
今回は椎間関節性腰痛の原因とその症状についてご紹介した。
- 椎間関節性腰痛はヘルニアや腰の構造上の問題で痛みが生じてしまう。
- 椎間関節性腰痛の症状は主に次の通りだ。「片側でピンポイントの腰痛」「反ると痛みが出る」「お尻にも痛みが出ることがある」
腰痛を持っている人の多くは椎間関節性腰痛である事が多々ある。
ヘルニアがあるから腰痛が決して出るわけではない。
何が原因で腰に痛みを出しているのかをしっかり認識しない限りより良い身体のケアは行えない。
そんな情報の一つとして、この椎間関節性腰痛を頭に入れておかれると幸いだ。
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訂正:2020/05/20