この記事で分かること
- 石灰沈着性腱板炎について
- 石灰沈着性腱板炎の痛みが2週間以上続いてしまう原因について
肩の痛みがあり、レントゲンを撮ると肩に「石灰」ができていると診断される方が多い。
肩に石灰!?と思われる方がいらっしゃると思うが、実は珍しいことではない。
石灰による肩の痛みが出た場合、2週間は非常に痛みが強い時期となってしまう。
しかし、2週間過ぎても肩の痛みが続く場合は、石灰以外の問題を考えなければならない。
今回は、肩に石灰ができてしまい、痛みが長引いていしまう理由について解説していく。
※長野市の整体Zen繕が動画内にて石灰沈着性腱板炎の痛みが長引く原因について詳しく解説しておりますので是非ご参考にしてください。
「石灰沈着性腱板炎」の痛みが長引く3つの原因とは!?
石灰による肩の痛みが長引く原因で考えられるのが以下の3つのことだ。
- 石灰がインピンジメントを引き起こしているから
- 腱板損傷・腱板断裂があるから
- 四十肩・五十肩の症状があるから
これらについて詳しく解説していく。
まず「石灰沈着性腱板炎」について解説
POINT
- 「石灰沈着性腱板炎」は肩への負担によって、腱板が損傷した時に発生する化学物質によって肩の内部に石灰が生じたもの
「石灰沈着性腱板炎」は肩甲骨の肩峰と腱板の間にできる石灰による炎症のことを指す。
特徴は以下の通りだ。
- 40~60代の女性に多い
- 腕を横に広げる動作をする方に多い
- 急に発症して、肩の激痛を伴う
肩の激痛によって、自分で動かすのも、他人に動かされるのもつらい状態になる。
この激痛の原因は、石灰が吸収されるときの炎症反応だと言われている。
つまり、体内が石灰を「異物」だと判断して、吸収する時の痛みだと考えよう。
もちろん肩に石灰の沈着があったとしても、肩に痛みがでていない無症状の方もたくさんいる。
これは身体がまだ石灰を「異物」と認識していないからだ。
ところで、なぜこのような石灰が発生してしまうのか?
発生してしまう原因はまだはっきりと分からないとされている。
しかし、文献を読み漁っていると、加齢による腱板の劣化や長年動かしていることによる腱板の劣化の際、生じる化学物質が石灰をつくっているという報告もあった。
参考文献:肩関節石灰沈着性腱板炎の病態に関する研究-特に石灰化結晶の微細構造について-
そのため、肩に石灰ができるかたの多くは年齢が高い人もしくは野球などで肩に負担をかけていた人に多い。
※純粋な腱板損傷の原因に関してはこちらの記事を是非ご覧下さい。
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石灰沈着性腱板炎の見分け方について
POINT
- 夜間の激痛で発症
- 肩の外側を押すと痛む
見分け方➀:夜中の激痛
どのように「石灰沈着性腱板炎」を見分けるのかというと、まず夜中寝ている時に激痛が起きたかどうかをチェックしよう。
たいていが夜に発症することが多いとされている。
※もし夜間の激痛がある場合はこちらの記事で紹介している寝方をお試しください。
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見分け方➁:肩が腫れているかどうか
また肩を触ってみて、良い方と比べ、ぽよぽよした感じや熱を持っている感じがないかをみてみる。
ぽよぽよした感じや熱をもっていれば、肩に炎症が起きている可能性がある。
見分け方➂:肩の外側を触る
大結節を押してみよう。
触り方は、肩をうえから触った時、肩甲骨を触れることができる。
そこから指1本下の部分に大結節がある。
この部分には腱板がくっついているので押して痛みがあれば石灰による炎症が考えられる。
見分け方④:レントゲンを撮影する
一番確実なのがやはりレントゲンだ。
石灰が存在していれば、確実に画像としてうつる。
画像で石灰が確認されなければ、肩の痛みは石灰による腱板炎では無いという証拠になる。
石灰沈着性腱板炎の治療期間
POINT
- 石灰による腱板の炎症は約2週間で治まる
石灰沈着性腱板炎の治療期間はおよそ2週間だ。
石灰による肩の痛みは、石灰を吸収しようとするときの炎症反応である為、この2週間はとても痛い期間となる。
痛みが強い期間のため、病院でステロイド剤など打つのが一番有効とされている。
ここで抑えておきたいのが、「石灰による腱板の炎症は約2週間で治まる」ということだ。
2週間以上激痛ではないにせよ、にぶい痛みが続いている場合は別の原因が考えられる。
それが
- 石灰によるインピンジメント症候群
- 腱板損傷・腱板断裂の存在
- 四十肩や五十肩の存在
である。
肩痛が長引く原因が「石灰によるインピンジメント症候群」の場合
POINT
- 石灰と肩峰までの距離が6mmより短い場合、インピンジメントが発生しやすい
石灰が確認されていてかつ2週間以上肩の痛みがある原因の一つ目が「石灰によるインピンジメント」が発生しているからだ。
通常肩が動く際、肩甲骨と上腕骨はぶつからずにスムーズに動く。
しかし、石灰がある場合、肩胛骨と上腕骨の隙間が狭くなるのでその分衝突が発生しやすくなる。
いわゆる「インピンジメント症候群」と呼ばれるものです。
文献によれば、肩峰と石灰までの距離が6mmより小さい場合、インピンジメントによる痛みが発生しやすい。
参考文献:石灰沈着性腱板炎における予後予測の検討─ X 線画像を用いた一考案─
理由は、肩が動く際、実は上腕骨は肩甲骨に対して6mm上に上がる。
つまり、肩甲骨と石灰までの距離が6mmより広ければ、インピンジメントがおきずに済む。
治療期間
肩甲骨と石灰までの距離が6mmより広い場合の治療期間は、9日前後という報告がある。
これはインピンジメントが起こらず、「石灰による炎症反応の治療期間」と類似する結果となる。
6mmより狭い場合の治療期間は、約32日前後と言われている。
これは石灰による炎症反応だけでなく、インピンジメントによる腱板の炎症も起きているので、改善が長引くものだと考えられる。
検査方法
肩甲骨と石灰の距離の確かめ方は、以下の通りだ。
検査方法➀:肩の内旋+バンザイ
肩を90度の高さで内旋して抵抗を加える。
痛みが出るかどうかをチェックする。
痛みがでれば、肩峰と石灰までの距離が6mmより小さい可能性がある。
検査方法➁:レントゲン撮影
検査方法➀では肩に負担をかけてしまうため、レントゲンを撮影して距離を図ってもらうのが一番リスクが少ない方法だ。
改善方法
もし6mmより距離が短く、インピンジメントが発生している場合は、内視鏡手術などで石灰をとりだす方法がある。
もしくは、超音波でくだく装置(超音波破砕機)で肩内部の石灰を砕いてもらうことで改善させていく必要がある。
肩痛が長引く原因が「腱板損傷・腱板断裂」の存在
POINT
POINT
- 軽度な腱板損傷の場合治療期間は3か月前後
- 重度になると治療期間は1年以上
石灰が確認されていてかつ2週間以上肩の痛みがある原因の2つ目が腱板損傷や腱板断裂があるからだ。
非常に多いのがレントゲンで石灰を確認されてから、肩の痛みの原因を「石灰」だと決めつけているパターンだ。
先ほども解説した通り、石灰による炎症は「2週間」程度で落ち着く。
しかし、石灰ではなく腱板自体に問題がでていれば、2週間より長くなってしまう。
軽度なら3か月は肩が痛い状態である。
完全断裂の場合は、1年以上かかる場合もある。
そうなると、石灰による痛みと判断するのはおかしい話だ。
そのため、腱板損傷や腱板の完全断裂も疑った方が賢明である。
改善方法は軽度なら3か月は痛みがでるのでスリングやアームホルダーを用いて安静を保血ながら、無理なく動かしていく事である。
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※肩の痛みが落ち着いてきたらこちらの記事で解説している改善方法を実践してみて下さい。
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肩痛が長引く原因が「四十肩・五十肩」の存在
POINT
- 四十肩・五十肩の治療期間は半年以上
石灰が確認されていてかつ2週間以上肩の痛みがある原因の3つ目が四十肩や五十肩があるからだ。
四十肩や五十肩、これは肩の関節包と呼ばれる組織の炎症となる。
関節包の炎症は関節自体の炎症になるため、炎症が引くと関節の動きが非常に悪くなるといった特徴がある。
そのため、石灰が確認されて、肩が全く動かない。
加えて、2週間以上痛みがおさまらない場合は、四十肩や五十肩を疑ってもよい。
四十肩や五十肩は軽度な腱板損傷よりも治療期間が長く、短くて半年以上はかかってしまう。
理由としては、関節包が炎症をおこし、炎症がおさまっても関節包自体がとても硬くなってしまうからだ。
その硬くなった関節包を徐々にもとの柔らかさにするのに半年以上かかってしまう。
※四十肩・五十肩の改善方法に関してはこちらの記事にて詳しく解説しているのでぜひご覧下さい。
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まとめ
今回は「石灰沈着性腱板炎」の痛みが長引く3つの原因について詳しく解説した。
POINT
- 石灰沈着性腱板炎の痛みは2週間程度。
- 2週間以上痛みが続く場合は石灰によるインピンジメント、「腱板損傷・腱板断裂」、「四十肩・五十肩」が背景に存在している場合が多い。
石灰による肩の炎症であれば、約2週間程度で痛みがおさまってくる。
しかし、注射などの治療をおこなっても、2週間以上肩の痛みが続いている場合は問題が違うという事を考えよう。
肩の痛みでお悩みの方は是非一度当店にて施術を!
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