同じ肩の痛みでも「四十肩」と「腱板損傷」は何が違うの?

投稿日:2020年3月6日 更新日:

四十肩と腱板損傷の違いを比較

四十肩・五十肩

年齢を重ねていくと自然と身体の節々に痛みが出てきます。

特に40歳以降になると上半身の筋力が低下すると言われている為、その影響で肩まわりのトラブルが非常に多いです。

その代表的なものが、四十肩や五十肩です。また「腱板損傷」と呼ばれるものも耳にする事が多いかもしれません。

腱板断裂はスポーツ特に投擲種目を行なっている若年層にも起きてしまうのですが、四十肩や五十肩、腱板損傷は圧倒的に中年世代つまり40歳以降に発生しやすくなっております。

では、四十肩・五十肩や腱板損傷は一体何が違うのか?

症状に違いはあるのか?

そのような疑問をお持ちな方もいらっしゃると思います。

また、それを理解されていな医療従事者の方もいるかもしれません。

その為、今回の記事では四十肩・五十肩いわゆる「肩関節周囲炎」と「腱板損傷」の病態と症状の違いについて一般の方にも分かりやすいように解説していきます。

※柔YAWARAがこちらの動画内で腱板損傷と四十肩・五十肩の違いについて分かりやすく解説しております。記事を読む時間が取れない肩は是非ご覧下さい。またYouTubeでは柔YAWARAによく寄せられるお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズを定期的に配信しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。



四十肩・五十肩とはどのような症状なのか?

まず四十肩や五十肩とはどのような病態で、どのような症状を呈するのかを解説していきます。

40歳以降に肩の痛みを呈する事から日本では四十肩や五十肩と呼ばれる俗称が広く認知されております。

実は「肩関節周囲炎」と呼ばれる病名が正式名称です。

文字通り肩の周囲の組織に炎症が起きてしまうという列記とした病気です。

症状としては、広く認知されている通り、

  • 肩の痛み
  • 肩の可動域の制限

などが発生してしまいます。

ですが、これだけでは本当に四十肩や五十肩いわゆる「肩関節周囲炎」を理解したことにはなりません。

これらの病態や症状についてもう少し詳しく解説していきます。

四十肩や五十肩の病態について

四十肩・五十肩は肩関節包と呼ばれる組織(これ手についてはまた下記に解説する)を中心にその周辺に炎症が生じた状態です。

痛みに関してはこのような文献で説明がありました。

五十肩の炎症の程度は様々であり、24%が激しい痛み、67%が軽い痛み、9%が痛みがなかっ たとの報告があります。

引用:五十肩と腱板断裂

つまり、四十肩や五十肩になってしまうと2割強の方が激しい痛みに苦しみ、7割近くの方が軽い痛みに悩まれているとのことです。

また同文献にて、

40 歳以上で肩に痛みがあ る人の中で、整形外科を受診する人は 20%程 度と少なく、特に 40 歳・50 歳代の受診率は低 いと報告されています。この時期に肩の痛みを 生じた人は、「五十肩でしばらくしたら治るだろう」と考え放置していることが多いと思われ ます。しかし、五十肩の 40%に肩関節拘縮を 認めたという報告もあり、リハビリテーション(運動療法)を必要とすることが多々あります。

引用:五十肩と腱板断裂

と書かれています。

これはやはり7割近くの方は軽い痛みの症状で済んでいるので、四十肩・五十肩いわゆる肩関節周囲炎を軽視しているということになります。

実はこの軽視している実態こそが治りを遅くし、重症化を招く要因となってしまいます。

文献に書いてあるように軽視したことによって「拘縮」、つまり関節自体が硬くなってしまい動かなくなってしまっている現状を物語っているのです。

四十肩や五十肩の症状について

四十肩や五十肩の症状については大きく二つ挙げられます。

  1. 安静時痛
  2. 動作時痛

①安静時痛に関しては、文字通り動かしてなくても痛みが出る様子のことを指しています。この状態は炎症状が酷い初期に見られ、何もしていない時だけでなく、就寝時にも痛みが生じて睡眠障害を招いてしまう場合が多いです。

②動作時痛に関しては、肩内部の関節包周囲の炎症が起きている為、正常な動きが行えないことによって痛みが発生してしまうケースがあります。痛みを我慢しながら動かし続ければ、炎症症状は悪化しますます安静時痛や動作時痛および肩の可動域制限を招いてしまう要因となります。

※四十肩や五十肩の原因部位となる上腕二頭筋長頭腱などの筋肉を可視化して解説しております。肩の痛みでお困りの方は是非ご参考にしてください。

アイキャッチ
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腱板損傷とはどのような症状なのか?

次に腱板損傷について解説していきます。

腱板損傷は「腱板」(下の項で解説しております)を構成する棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋と呼ばれる筋肉の共同腱の部分が損傷している状態を指します。

四十肩や五十肩と同様、

  • 肩の痛み
  • 肩の可動域の制限

が生じてしまいます。

腱板損傷の程度がひどい場合、腱板断裂という診断名がつけられます。

腱板断裂まで発展してしまうと手術が必要になってきます。

この腱板断裂について、病態と症状について以下に簡単に解説していきます。

腱板損傷の病態について

腱板損傷は前述した通り、腱板と呼ばれる関節包を取り巻く筋肉の腱の損傷のことを指します。

また四十肩・五十肩では痛みに関しては程度にかかわらず90%前後の人が出てしまうのに対して、腱板損傷や腱板断裂では4割が無症状であるとされています。

文献では、

五十肩と診断されている患者の約 20% が実は腱板断裂であったという報告もあり、腱 板断裂は好発年齢、症状が五十肩とよく似てい るため五十肩と診断され放置されてしまう場合 があります。しかも、腱板断裂は保存的治療で は修復しないため、手術を要することがありま す。ところが、長い間、腱板断裂を放置すると 断裂を生じた筋肉が萎縮し腱板断裂を修復する手術が出来なくなってしまいます。

引用:五十肩と腱板断裂

と書かれています。

つまり、診断されていても腱板断裂が根底にあり、中々経過が良くない場合があるようです。私もこのような方のリハビリを経験した事がありますが、やはり長期間の炎症が続き、肩周囲の筋肉も萎縮しており、かつ肩の拘縮まで発生しておりどう仕様もない状態に陥っている状態でした。

軽度の腱板損傷ならばそこまで必要はないとおもいますが、やはり完全に断裂している場合は自然治癒が見込めず早期に手術をしてよい構造に戻してあげる事が大切だと考えられます。

また医師ですら見落としがちになるという事は、炎症による痛みがあり、可動域の制限が出ている場合の診断が以下に難しいかを物語っております。

腱板損傷の症状について

腱板損傷・腱板断裂の症状としては、

  1. 無症状
  2. 安静時痛
  3. 動作時痛

があります。

①無症状に関しては、前述した通り、例え腱板の一部が損傷していたり、断裂が生じていても何も起きてないかのように使えている状態です。この状態に関しては、損傷の割合が小さいのか、もくはその他の筋肉が代償して動きを補填している為日常生活では気にならないのかなどが考えられます。

②安静時痛に関しては、四十肩や五十肩と同様、何もしていなくても痛みが出てしまいます。これはやはり初期で多く、損傷の程度によっては寝る時の痛みも出現する事があります。

③動作時痛に関しても、四十肩や五十肩と同様に、肩を動かした時に痛みが出現してしまいます。その為、痛みが出ている初期は動きの制限が出てしまいます。しかし、四十肩や五十肩と比べると初期の痛みが過ぎると可動域の制限はなくなる傾向(強い拘縮でない)があります。

四十肩と腱板損傷を比較する前に肩の構造を勉強しよう!

四十肩と腱板損傷についての概要をお伝えした所で、肩の構造をお伝えしていきます。

四十肩や五十肩のメインに生じてしまう痛みの部位としては下の写真の関節包と呼ばれる部位とその周囲の筋肉や組織です。

関節包

腱板損傷や腱板断裂が生じる腱板とは棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉によって構成される共同腱です。下の写真が腱板で、ここを傷つけてしまったり、加齢による劣化が生じて断裂が起きると6割の方が痛みを出してしまいます。

腱板

棘下筋

四十肩・五十肩の初期は下の写真の烏口突起や結節間溝の部分に痛みが生じやすい。

烏口突起と結節間溝

鎖骨と烏口突起

四十肩・五十肩の慢性期では下の写真のクアドリラテラルスペースに痛みが生じやすい。

クアドリラテラルスペース

クアドリラテラルスペース

腱板損傷の初期は下の写真の肩峰外側部分と三角筋外側部分に痛みが生じやすい。

棘上筋と三角筋

三角筋下滑液包

四十肩・五十肩と腱板損傷の大きな違いとは?

さて四十肩・五十肩と腱板損傷・腱板断裂の概要と解剖学的な部位が分かった所で

  • 病態
  • 症状

について簡単に比較して解説していきます。

四十肩・五十肩と腱板損傷の病態比較

四十肩・五十肩

  • 24%は激しい痛み、67%が軽い痛みが生じる。
  • 関節の拘縮が生じやすい。
腱板損傷・腱板損傷

  • 40%は無症状。
  • 四十肩・五十肩と比べて関節拘縮をきたすことが少ない。

※四十肩や腱板損傷になった時にストレッチをやりすぎて症状を悪化させてしまわれる方がいらっしゃいます。四十肩や腱板損傷がなかなか改善されない方は『ストレッチ』自体が問題かもしれません。詳しくはこちらの記事をご参考にしてください。

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四十肩・五十肩と腱板損傷の症状比較

四十肩・五十肩

  • 安静時痛と動作時痛がある。
  • 初期は烏口突起や結節間溝の部分に痛みが生じやすい。
  • 慢性期ではクアドリラテラルスペースに痛みが生じやすい。
  • 腱板損傷・腱板損傷

  • 安静時痛と動作時痛がある。
  • 初期は下の写真の肩峰外側部分と三角筋外側部分に痛みが生じやすい。
  • もし肩に痛みが出て、自分で管理する方法が分からないようなら、症状が軽いからと軽視せずにすぐに専門機関への受診をお勧めします。

    前述したように、四十肩・五十肩だと思い、長期間放置した結果、実は腱板の完全断裂が生じていたという事もなきしもあらずだからです。腱板断裂が生じていて、長期間の不動を余儀なくされると肩の可動域が悪くなるだけでなく、腱板やそのほかの筋肉の萎縮が強くなってしまいます。その状態になれば手術も不可能であり、かといって保存でリハビリを行っても結果が良くない場合が多いからです。

    その為セルフジャッジをせずに、痛い時は専門家に診せましょう!

    四十肩・五十肩や腱板損傷でお悩みの方は是非一度当店にて施術を!

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    ※こちらの記事にて四十肩や五十肩いわゆる肩関節周囲炎のリハビリ方法について詳しく解説しております。四十肩や五十肩でお悩みの方はこちらの記事をご参考にしてみてはいかがでしょうか?

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    まとめ

    今夏は四十肩・五十肩と腱板損傷・腱板断裂の病態と症状の比較を一般の方にも分かりやすいように解説しました。

    POINT

  • 四十肩・五十肩の場合は痛みの大小にかかわらず90%の確率で痛みが出る。
  • 腱板損傷・腱板断裂は40%が無症状。
  • 四十肩・五十肩の痛みの初期は肩の前のほうが痛くなる。
  • 腱板断裂の初期は肩の横のほうが痛くなる。
  • 腱板損傷・腱板断裂は四十肩・五十肩に比べて関節の拘縮が起こりづらい。
  • 前述したように専門家でないのであれば、本当にセルフジャッジはしないほうが良い。

    自己判断する人ほど自分の身体に対する認識が低く、より症状を悪化させてしまう傾向があるからです。

    痛みがあって、おかしいと感じたらすぐに病院で診断してもらうことが大切です。

    そして何より、医療機関に勤めている人も、四十肩・五十肩や腱板損傷・腱板断裂の違いを見極める力を持つように努力していただきたい。

    長尾 龍男
    この記事を書いた人 : 長尾 龍男

    愛知県岡崎市在住。整体院柔YAWARAを設立した理学療法士。柔YAWARAにて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

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