この記事を読むと分かること
- 「腱板損傷」の改善方法の考え方
- 損傷した「腱板」の修復状況に応じた改善方法について
現在日本では、50歳以上の肩には約4人に1人が「腱板損傷」にかかっていると言われている。
それだけでなく、野球などの投てき種目をされている若い方も「腱板損傷」になるケースが多々ある。
「腱板損傷」は簡単に言えば、一種のケガである。
そのため、「腱板」とよばれる筋肉の腱に負担を与える原因を排除していく事で自分の「治癒力」によって改善していく。
逆に何もせずに、ストレッチなどで負担だけ加えていけば、『腱板断裂』へと発展して、手術が必要になるので注意が必要だ。
そんな「腱板損傷」の改善方法について改善させるための手順を詳しく解説していく。
「腱板損傷」は「腱板」の修復状況に応じてリハビリを行い改善させていこう!
「腱板損傷」は「腱板」の修復状況に応じて、順序立てて改善させていかなければならない。
「腱板損傷」改善の流れ
- 肩の痛みが強く出る「腱板損傷」後4週までは「安静」を保つ。
- 痛みが落ち着いてくる4~8週にかけて徐々に「肩の動き」を改善していく。
- 痛みがなくなる8週以降は「肩の筋力」を改善させていく。
痛みが強い時は、当然ながら「安静」にするのが原則だ。
「安静」=まったくなにもしないという意味ではない。
痛みがない範囲で日常的に使っていくということだ。
「腱板損傷」後4週以降は炎症が低下してきて、「肩の動き」を改善させていく時期になる。
肩の痛みが軽減してきたら、痛みのない範囲で肩の動きを改善していく事が大切となる。
「腱板損傷」後8週以降は「肩の動き」もかなり改善している時期である。
その為、再損傷やおちた筋力を回復する目的で痛みがない範囲で「筋力の強化」を行っていこう。
「腱板損傷」はあくまでも「ケガ」であるという事を認識して、「腱板」の回復状況に合わせて改善させていく必要があるので覚えておこう。
「腱板損傷」の原因とは?そもそもどうして損傷してしまうのか?
腱板損傷の原因
- 体幹の動きの低下
- 「腱板」自体の劣化
腱板損傷の原因には「体幹の動き」が低下することによって「腱板」に負荷がかかって損傷してしまうものと、「腱板」自体が劣化してしまい損傷してしまうものが主な原因となる。
そもそも「腱板」とは?どこの筋肉のことを指すのか?と疑問に思われる方もいるはずなので合わせて解説しておく。
「腱板」とは肩甲骨につく筋肉の共同腱のことだ。
一般的には「肩のインナーマッスル」とも呼ばれる。
「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つの筋肉の共同腱のことを「腱板」または「ローテーターカフ」と呼ぶ。
「腱板損傷」はこの共同腱のどこかの損傷の事を指している。
「腱板」に関してはこちらの写真を参考にしていただきたい。
※左肩を横から見ている。
「腱板」の構造と機能に関しては、以下に黒いテープで再現して説明してみた。
こちらの模型を見ていただければ、「腱板」が働いていると「肩甲骨」に「上腕骨」が吸い付くように安定して支えていることがわかる。
しかし、この腱板部分をハサミで切るとどうなるだろうか?
このように「肩甲骨」に「上腕骨」が離れ離れになり支えられなくなってしまう。
実際はこのような事はまずない。
しかし、簡単に言えばこのような不安定な状態が『腱板損傷』の初期の症状である。
つまり肩を動かすと非常に肩の痛みが出やすい状態だ。
この状態で無理に動かせば、さらに肩の内部に傷がついてしまう。
その為、「腱板損傷」の初期では無理に動かしたり、ストレッチを行なってはいけないことを覚えておこう。
腱板損傷後4週までの改善方法は『肩の安静』だ!
損傷後4週までの改善POINT
とにかく痛みがでないように『安静』に保つこと。
「腱板損傷」後4週までは肩の「炎症」が強い時期である。
特に2週間までは「痛み」がつよく伴う場合が多い。
その為、「腱板損傷」後4週までは肩の「安静を保つ」事が重要となる。
なぜなら、安静を保つことによって「損傷した腱板」が修復してくるからだ。
だが、勘違いしてはいけない。
安静=肩を全く動かさない。
という事ではない。
「痛みがない範囲で日常生活で使っていくこと」「痛めた肩に負担をかけないこと」が「安静」の定義である。
※腱板損傷の方に向けて損傷後4週までの改善方法および安静方法を動画にて詳しく解説しております。腱板損傷になりたての方や、未だに肩の痛みひかない方にとって非常に重要な内容ですので是非ご覧下さい
肩を「安静」に保つ方法として『腕の重さ』を取り除こう
腱板損傷の4週までは、肩への負担をなくすために「服をつかむ」「ポケットに手を入れる」などを行い、うでの重さを軽減させることが最重要となる。
これらの対策によってうでの重さによる肩への負担がなくなり、「腱板」の修復が促進していく。
※このような「アームスリング」を使用して、腕の重さを除去してあげるとさらに安静に保ちやすくなる。「服をつかむ」「ポケットに手を入れる」よりもよほど効果的なので、「腱板損傷」の痛みで困っている方は痛みが引くまで是非使用していただきたい。
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また「腱板損傷」がひどい場合は「寝ている時」でも肩の痛みがつらい場合がある。
俗に言う『夜間痛』とよばれるものだ。
『夜間痛』は「睡眠障害」を引き起こす原因ともなるので早期に対策をうちたい。
なぜなら十分に睡眠が取れなければ、回復する「腱板」も回復してこないからだ。
その為、抱きまくら、肩の下に枕をおくという方法で、夜間の痛みを軽減させなければならない。
損傷後4週までは肩は痛くない範囲で動かすことがPOINT
腱板に損傷があるとは言え、肩全体が傷ついているわけではない。
痛みが出てから3日ほど過ぎたら、痛みが出ない範囲で動かすのが大切だ。
あくまでも、痛みが出ない範囲が重要となる。
なざなら、肩をまったく動かさなければ、逆に固まってしまうリスクがあり、また痛みが出る範囲まで動かしてしまうと症状が悪化してしまうからである。
肩を痛みがない範囲で動かす方法は以下の通りだ。
方法
- 痛い側の肘を持ち、肩の重さを軽減させる。
- ゆっくり、前にかがむ。
- 同時に肩も前に垂らしていく。
10回を目安に行おう!
※このようにする事で肩への重力の影響がなくなり、動かしやすくなる!
体幹の柔軟性を改善することで「腱板」への負担も軽減する
「腱板損傷の原因」の記事でも解説した通り、腱板損傷の最大の原因は「体幹の動きの硬さ」にある。
実は体幹は肩の動きに密接に関連している。
写真を見ていただくと一目瞭然だ。
身体が丸まって固まっていると肩の動きまで悪くなってしまう。
つまり、体幹が硬ければ、「腱板」が修復したとしても、後々また肩の痛みをひきおこしてしまうのだ。
その為、肩の痛みが強い「腱板損傷」後4週までの時期に、身体の動きを柔らかくしていこう。
※こちらの動画内にて腱板損傷の方が必要な『体幹の動きの改善方法』について詳しく解説しておりますので是非ご覧下さい。
身体を丸める体操で「体幹の動き」改善を
方法
- 手を前で組む。
- 腰を反らせながら骨盤を立てる。
- 背中を丸めながら、骨盤を寝かせる。
前後10回ずつ行おう!
側屈体操で「体幹の動き」改善を
方法
- 手を前で組む。
- 腰を左右に倒す。
左右10回ずつ行おう!
腱板損傷後4~8週の改善方法は痛み無く「肩の動き」を改善することだ
4~8週の改善POINT
肩の痛みが軽減してくる時期のため、痛みがない範囲で「肩の動き」を改善していくこと
腱板損傷後4~8週の時期になってくると、「肩の痛み」は徐々に良くなってくる。
しかし、腱板の損傷が改善しきっているわけではない。
いわゆるカサブタ状態だ。
つまり、暴力的なストレッチや無理な範囲まで動かすなどの強い刺激を肩にあたえてしまうと再び「腱板」を傷めてしまうことになる。
その為、痛みがない範囲で「肩の動き」を改善していく事が大切になるのだ。
腱板損傷後4~8週に行うべき肩の体操が以下のとおりである。
順手のバンザイ体操で「肩の前方挙上」の改善を
方法
- 順手で棒を持つ。
- ゆっくりと痛くない範囲で前からバンザイをしよう!
10回を目安に行おう!
逆手のバンザイ体操で「横側への挙上」の動き改善を
方法
- 痛い側の手は逆手で棒を持つ。
- ゆっくりと痛くない範囲で外側に動かそう!
10回を目安に行おう!
腱板損傷8週以降の改善方法は『筋力の改善』が大切だ
8週以降の改善POINT
腱板損傷8週以降は「肩の痛み」や「肩の動き」が改善してくる時期のため、筋力を徐々に回復させていこう。
腱板損傷8週以降は「肩の痛み」が軽減し、「肩の動き」もよくなってくる時期だ。
その為、多くの人が日常生活の動作で困ることが少なくなってくる。
しかし「肩の筋力」に関しては腱板が損傷している分、絶対に弱くなっている。
その為、「再発予防」や「そのほかの肩の痛み」の予防目的に「肩の筋力」を回復させておいたほうが良い。
腱板損傷8週以降に行うべき体操は以下の通りだ。
タオルを使った肩回旋体操で「肩の回旋の動き」改善の強化を
方法
- タオルを机に置き、手をのせる。
- ゆっくりと痛くない範囲で左右に肩から捻る!
左右10回ずつ行おう!
肩回旋体操で「腱板」の強化を
方法
- 手を前にあげる。
- 痛くない範囲でバイバイをするように左右に肩を捻る!
左右10回ずつ行おう!
肩ぐるぐる体操
方法
- 手を前にあげる。
- 痛くない範囲で円を描くように手を回す!
左右10回ずつ行おう!
『cat&dog体操』で「体幹の動き改善」と「肩甲骨周りの筋力強化」を
方法
- 四つ這いになる。
- 背中を丸めながら、肩甲骨を離す。
- 胸を張りながら、肩甲骨を寄せる。
10回を目安に行おう!
斜め腕立て伏せで肩回りの筋力強化を
方法
- 膝をついて台に手をつく。
- 痛みがない範囲で腕立て伏せを行う。
10回を目安に行おう!
※特に腱板損傷になってから8週以降は腱板自体を鍛えていく事も非常に大切です。腱板を作っている筋肉の鍛え方についてはこちらの記事にて詳しく解説しました。腱板損傷でお困りの方は是非ご覧下さい。
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腱板損傷の方のための「4種類×3つ」の腱板トレーニング - ZENLOG|60代以上の膝痛解決ブログ
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まとめ
今回は「腱板」の回復状況に応じた『腱板損傷』の改善方法について解説した。
この記事を読むと分かること
- 「腱板損傷」の初期(4週まで)は肩の痛みが強いので「安静」が大切となる。
- 「腱板損傷」後4〜8週にかけて損傷した腱板が修復されるため、「肩の動き」が改善してくる。
- 「腱板損傷」後8週以降で「肩の痛み」が改善したら、損傷した「腱板」の力を補うために肩周囲の筋力強化を行おう!
『腱板損傷』はケガである事を認識しよう。
つまり、損傷した「腱板」の修復過程に応じて、改善させていく事が大切だ。
とくに最初の4週までは「肩の炎症」が強い時期なので「安静」のとり方がネックとなる。
決して行ってはいけないのが、「ストレッチ」や「暴力的に動かす」ことだ。
これを行ってしまえば、『腱板断裂』に発展してしまい、手術を要することになるからだ。
『腱板損傷』の改善方法のカギは「損傷した腱板の修復過程」に応じて行っていく事である。
このことを肝に銘じておこう。