当店にお越しになれるお客様は40代の方が非常に多い。
その多くがデスクワークでパソコンやスマートフォンを常に見たり、立ち仕事で細かいものを組み立てたりして、目を酷使されている方がほとんどである。
デスクワークや立ち居仕事による不良姿勢から肩こりや首こりが生じてしまうだけでなく、『眼精疲労』までもが起きてしまう。
もちろん逆にパソコンやスマートフォン、細かいものを見ることによって生じる『眼精疲労』から肩こりを招いしてしまう事がある。
『眼精疲労』が先か?
不良姿勢が先か?
それは鶏と卵の関係と同じでどちらが先かはなんとも言えない部分がある。
しかし、お客様の多くが目の周囲を触っていないにもかかわらず、首や肩周りのケアを行い肩こりを解消するだけで、「眼精疲労が軽減した」「目が開くようになった」「視野が広がった」という声をよくいただく。
そのため、眼精疲労と肩こりには密接な関係があると考えられる。
今回は『眼精疲労』を引き起こしてしまう原因とそのメカニズムについて解説していく。
眼精疲労を引き起こす原因とは?
そもそも眼精疲労とはどのような事をさすのだろうか?
目を酷使し続けると、疲れ目以外にも、首や肩のこり、頭痛、イライラ感などの症状が起こってきます。このように目の使いすぎで、全身に疲れを感じる状態のことを眼精疲労といいます。
引用:パソコンと目
この様に目の酷使によって、疲れ目以外にも様々な症状を『眼精疲労』と呼ぶそうだ。
また最近ではIT眼症と呼ばれる病気も出てきているようだ。
IT眼症とは、「IT機器を長時間あるいは不適切に使用することによって生じる目の病気、およびその状態が誘引となって発症する全身症状」をいいます。
引用:子供のIT眼症
パソコンやスマートフォンは既に生活に溶け込み、必要不可欠な存在となっている。
もはや切っても切り離すことのできないツールであり、そのツールから『眼精疲労』や「IT眼症」、「肩こり」などの症状を引き起こすことになった。
※主な3つの肩こりの原因についてはこちらの記事にて詳しく解説しております。
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本題に戻って、『眼精疲労』の原因をご存知だろうか?
眼精疲労にはこの5つの分類がある。
- 調節性
- 筋性
- 症候性
- 不等像性
- 神経性
今回の記事では特にこの中の『調節性』にフォーカスを当てて、肩こりとの因果関係ついて解説していくとする。
ちなみに眼精疲労についてこの様な研究がされている。
逆に眼位ずれのない群では40歳以上の者が多く,体力低下の起こる年齢であること,また他科領域の疾患を有している者が多いことから全身状態が眼精疲労症状の発現に関与していると推察される.
引用:眼精疲労の検討
眼位のずれとは『斜視』や『斜位』と呼ばれる症状のことを指す。
眼位ずれがある郡では、40歳以下に眼精疲労の症状が多く出ており、それらの人たちは手術などで斜視や斜位に対する治療をすると「眼精疲労」の症状が軽快に解消したとされている。
また眼位ずれが無い郡だと、引用文のように40歳上の方に多く、他の疾患が由来して「眼精疲労」を引き起こしている可能性があるとされている。
そのため、眼精疲労と一言で言っても様々な問題から生じていることが理解できるだろう。
結論から行ってしまえば、肩こりによっても、眼精疲労は確実に引き起こされる。
またその逆も存在する。
なぜなら肩こりになってしまうと不良姿勢になり、頭部の不安定性が増すことにより、目を動かす外眼筋※1に多大な負担をかけてしまうからだ。
※1:外眼筋とは目を動かす6本の筋肉の総称のことである。
これらのメカニズムについて、まずは身体の構造をしる解剖学をお伝えしてから解説していく。
目の構造:周囲にある外眼筋と内部の毛様体筋
実は目には6つの筋肉がついているのをご存知だろうか?
これらの筋肉が上手に協調しあい働くことによって、目が自由に動くのだ。
- 上直筋
- 下直筋
- 内直筋
- 外直筋
- 上斜筋
- 下斜筋
またこれらの6つの筋肉だけでなく、目の中のレンズである「水晶体」を調整する毛様体筋も存在している。
詳しくはこちらの図を御覧ください。
外眼筋はこの様についている。
毛様体筋はこの様な場所にある。
参考:疲れ目の原因
肩こりがあると『眼精疲労』を引き起こしやすくなる!そのメカニズムとは?
そもそも目で物を見る時、「水晶体」によってピントを合わせている。
これは前述した毛様体筋が作用しなければならないのだが、そもそも眼球がしっかり固定されて安定していなければ毛様体筋は上手に働くことが出来ない。
それは外眼筋にも同じことが言える。
頭部がしっかり固定されていなければ、目を動かそうと思ってもうまく動かすことが出来ないのである。
例えば、このように考えてみよう!
外眼筋の働きによって右を向くとする。
これは頭部がしっかり固定できているから目だけが動く事ができる。
しかし、頭部が固定できていなかったらどうだろうか?!
目だけが残って頭が左を向いてしまう。
これは少し難しいのだがリバースアクションと呼ぶ。
筋肉が作用するためにはどこかが固定されて安定しなければならないのだ。
しかし慢性的に肩こりを引き起こしてしまっている人は十分に頭部を固定するのが難しくなってしまう。
つまり目を動かそうとしても、安定した土台ではないので『外眼筋』に多大な負担がかかってしまうのだ。
これはアスファルトで走るよりも、砂浜で走るほうが疲れるのと同じ原理である。
そうなってしまうと目の中にある水晶体のピントを調整する毛様体筋も十分に活動することが出来ないのだ。
これらの理由から、『眼精疲労』の有名な症状である疲れ眼を引き起こしてしまうことになるのだ。
目の酷使による眼精疲労によっても肩こりが生じる!
上記では肩こりによって、頭部が安定した土台として機能せず、外眼筋に多大な負担をかけ『眼精疲労』を招くと解説したが、その逆もある。
パソコンやスマートフォンを直視することによって、水晶体のピントは固定されたままとなる。
また、外眼筋も同じ方向で固まってしまう。
つまり、筋肉が固まることによってうまく機能できなくなるのだ。
目で右をむこうとしてもそれが難しくなってしまう。
目を動かす代わりに首を動かすことによって、右を向くことになる。
これを長期間続けていれば、「塵も積もれば山となる」ではないが首や肩に負担がかかってきてしまうのだ。
よって、眼精疲労から生じた目の周囲にある外眼筋の機能不全によって『肩こり』が引き起こされることとなる。
このように、『肩こり』が『眼精疲労』を招き、『眼精疲労』もまた『肩こり』を招いてしまうという負のスパイラルに陥ってしまうのだ。
それらを断ち切るためには『肩こり』を解消するか、『目』にかかる負担を軽減させていかなければならないのだ。
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まとめ
今回は『肩こり』が招く『眼精疲労』について詳しく解説した。
- 眼精疲労の原因としては調節性、筋性、症候性、不等像性、神経性などがある。
- 調節性に関しては、肩こりの影響により外眼筋に多大な負担を与え、結果水晶体のピント調節機能が低下することによって『眼精疲労』が悪化してしまう。
- 逆に『眼精疲労』の影響によって首や肩に負担がかかりすぎてしまい、『肩こり』を悪化させてしまう原因となる。
現代社会にとって『眼精疲労』は国民病になってきているのではないだろうか?
スマートフォンやパソコンの見過ぎが原因と言われているが、分かっていてもやめることが出来ない。
ましてや子供のときから触れることが多いため、その中毒性は半端ないはずだ。
眼精疲労を改善するためにはやはりIT機器から遠ざかるのが一番である。
また眼精疲労を修飾して悪化させてしまう肩こりなどの要因を解消してあげることが大切である。
たかだか『眼精疲労』とは思わず、一つの症状として深刻に受け止めよう!
眼精疲労から様々な症状が引き起こされてしまうので、改善の為に努めていくことは非常に大切である。