肩のインピンジメント症候群とは?腱板の劣化と体幹の硬さが原因!?

投稿日:2019年8月26日 更新日:

インピンジメント症候群とは?アイキャッチ

肩の痛み

肩を痛めた人もしくは医療従事者なら『インピンジメント症候群』という言葉を聞いたことがあるだろう。

このインピンジメント症候群とはどのような症状で何が原因で生じてしまうのだろうか?

結論から言おう。

インピンジメント症候群とは『肩甲骨と上腕骨がぶつかることによって、腱板が損傷してしまい痛みが生じてしまう症状である。

インピンジメント症候群は、

  • 腱板の劣化によって肩が正常に動かなくなる。
  • 体幹の硬さによって肩がしっかり動かなくなる。

というのが主な原因である。

今回はこれらのインピンジメント症候群の症状と原因についてより詳しく解説していく。

※柔YAWARAが動画内にてインピンジメント症候群とは?どのような症状で何が原因なのか?について詳しく解説しております。YouTubeでは柔YAWARAによく寄せられるお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズを定期的に紹介しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。



肩のインピンジメント症候群とはどのような症状か?

まず言葉の意味から考えていこう。

インピンジメントという言葉の意味は、

衝突。激突。

引用:コトバンク

また症候群という言葉の意味としては、

同時に起きる一連の症候のこと。原因不明ながら共通の病態(自他覚症状・検査所見・画像所見など)を示す患者が多い場合に、そのような症状の集まりに名をつけ扱いやすくしたものである。

引用:ウィキペディア

つまり、インピンジメント症候群とは肩の骨と骨同士が衝突してしまうものであり、その原因が不明もしくは多くありすぎて特定できていない状態であるものである。

また、Neerは肩の『インピンジメント症候群』をこのように定義づけている。

肩のインピンジメント症候群とは、肩を挙げていく過程で引っ掛かる感じや痛みが生じてしまう症状である。

肩峰の前下面と大結節や腱板付着部が衝突する事で、その間にある腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)などにさまざまな障害をひき起こすとした。

棘上筋・棘下筋・小円筋

棘上筋・棘下筋・小円筋

肩甲下筋

肩甲下筋

また以下のような3つの時期に分類をしている。

  • 第1期:腱板の浮腫と出血
  • 第2期:繊維化と肥厚
  • 第3期:腱板断裂と骨変化

この考えによると肩峰下での摩擦による腱板障害の事をインピンジメント症候群と呼んでいる。

しかし、最も病態の進んだ第3期に値する腱板断裂であっても必ずしもインピンジメントが生じているわけではないそうだ。

その他、Biglianiは肩峰の形態を3つに分けており(平面型・弯曲型・フック型)、その中でフック型が一番腱板断裂が多いと報告している。

またEdelsonは肩峰の傾斜角度が緩いものに腱板断裂が多いと報告している。

これらの報告にたいして追試者が検討をしているが、現在ではインピンジメント症候群が腱板断裂の主な原因としては認められなくなっているそうだ。

その為、数多いインピンジメント症候群を引き起こしてしまう原因を特定して対処していくことが非常に大切となる。

参考:肩診療マニュアル 第3版 著者 橋本淳 信原 克哉 発行所 医歯薬出版株式会社 p29ー32、p95

参考:インピンジメント症候群

肩のインピンジメント症候群の主な原因とは!?

ここで気になるのがどうして肩のインピンジメント症候群になってしまうのか?と言う事だ。

肩のインピンジメント症候群の主な原因としては、

  1. 肩の内部にある腱板の劣化
  2. 体幹の可動域の低下

が考えられる。

これらについて以下に詳しく解説していく。

肩の内部にある腱板の劣化

肩関節は骨を見ればわかる通り非常に不安定な関節である。

肩甲骨にある肩甲骨関節窩に対して、上腕骨頭のサイズが大きい。

その為、小さなカップの上で上腕骨が動くので非常にトラブルが生じやすいのだ。

上腕骨頭と肩甲骨関節窩

また肩を動かす際に重要な役割をなしているのが『回旋筋腱板』と呼ばれる『棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋』の4つの筋肉である。

これらの筋肉は、肩が動く際スムーズな動きが出来るように、肩甲骨関節窩に上腕骨を押し付ける働きがある。

しかし、これらの回旋筋腱板は

  • 加齢による劣化
  • 野球などの投球による消耗

が起きやすい場所である。

劣化や消耗が起きてしまうと回旋筋腱板はうまく働くことが出来なくなる。

つまりは、肩のインピンジメントが生じやすくなってしまうのだ。

体幹の可動域の低下

上記で解説した回旋筋腱板の劣化や消耗以外にもインピンジメント症候群を引き起こしてしまう原因がある。

それが、体幹の可動域の低下である。

体幹の可動域が肩の動きと関係があるのか?と疑問に思われる方がいるかもしれないが、実は密接に関係している。

実際に試していただければわかるのだが、背中を丸めた状態で万歳するのと背中を伸ばした状態で万歳するのとでは肩の可動域が変わってくる。

体幹が動く挙上

体幹が動かない挙上

これは体幹の回旋動作でも同様である。

つまり、体幹がまず動かなければ肩を動かそうと思っても動かなくなるのだ。

その状態でより上にあるものもしくは後ろにあるものに手を伸ばしたらどうなるだろうか?

もちろん肩に負担がかかってしまう。

つまり、肩のインピンジメントを引き起こして腱板を傷つけてしまう要因となってしまうのだ。

肩のインピンジメント症候群の治し方とは?

肩のインピンジメント症候群の治し方としては、Neerが定義した3つの時期に応じた治療が必要である。

3つの時期とは先程解説した

  • 第1期:腱板の浮腫と出血
  • 第2期:繊維化と肥厚
  • 第3期:腱板断裂と骨変化

である。

この時期に応じた治し方を今回は簡単にご紹介する。

詳しくはまた後日ブログ内にて配信していきます。

第1期:腱板の浮腫と出血の治し方

この時期は炎症が非常に強い時期である。

出血や浮腫が出ている時点で腱板に何かしらの傷が付いている。

組織の損傷

ようは腕に切り傷ができているのと同じである。

つまり、この時期はこの傷が癒えるまで『安静』を保つことが大切である。

よくこの時期に無闇矢鱈に動かしてしまう人がいるのだが、腱板の傷が癒えてない状態では腱板も正常に機能しない。

また浮腫や出血の影響で関節内が正常な動きができない状態である。

この状態で無理に動かしたり、ストレッチをしてしまうと肩のインピンジメントを助長することになり、よりインピンジメント症候群の症状が悪化してしまうのだ。

その為、この時期は浮腫や出血が治る2〜3週間は『安静に保つ』という事が非常に重要なのである。

※インピンジメント症候群の第1期:腱板の浮腫と出血の改善方法はこちらの記事にてより詳しく解説していますので是非ご参考にしてください。

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第2期:繊維化と肥厚の治し方

この時期は傷ついた腱板が組織的に修復が生じる時期である。

人の傷ついた組織が修復するときはやぶれた紙をノリでくっつけるイメージを持っていただければ分かりやすい。

やぶれた紙をノリでくっつける時は必ずのりしろ部分ができるはずだ。

肩のインピンジメントで傷ついた腱板の修復も同様である。

こののりしろ部分が出来て修復する。

このことを繊維化と肥厚と呼ぶ。

線維化と肥厚

ここで着目して頂きたいのは、のりしろ部分が出来ると組織自体の長さが短くなってしまうという事だ。

正常な組織の長さ

組織が短くなる

加えて修復最中の組織は非常に脆い為、暴力的な動かし方をしてしまえば、肩のインピンジメントが助長され症状が悪化してしまう。

短くなった組織は、組織の修復とともに正常な組織の長さに戻っていく。

つまり、繊維化と肥厚が起きた組織は時間経過とともに正常化していくのだ。

その為、この時期は愛護的に痛みがない範囲で動かしていく事が非常に大切なのである。

※インピンジメント症候群第2期:線維化と肥厚の改善方法はこちらの記事にて詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

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第3期:腱板断裂と骨変化の治し方

Neerの考えによるとこの時期はほぼ末期である。

肩のインピンジメントを繰り返し過ぎたことにより、腱板が断裂を起こしてしまう。

また肩甲骨と上腕骨が衝突を続ける事によって、骨の変形が生じてしまう。

この状態を理学療法などで徒手療法を用いて可動域などを改善していくことは非常に難しくなってしまう。

つまり、外科的な手術が適応になってしまうのだ。

この第3期に移行する前にしっかり肩のケアを行い、正しく管理していく事が大切なのである。

※肩のインピンジメント症候群についての改善方法はこちらの記事にて以前詳しくまとめましたのでぜひご覧ください。

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肩のインピンジメント症候群とは?についてのまとめ

今回は肩のインピンジメント症候群とは?について、その症状と原因をメインにまとめた。

POINT

  • 肩のインピンジメント症候群とは、肩を挙げていく過程で引っ掛かる感じや痛みが生じてしまう症状である。
  • 肩のインピンジメント症候群の原因に関しては、未だはっきりとしたものが発表されているわけではないが、筆者の臨床経験により肩の内部にある腱板の劣化や体幹の可動域の低下によるものが多い。
  • 肩のインピンジメント症候群の治し方については、Neerが定義した3つの時期に応じた対策が必要である。

肩は構造的に非常にトラブルが生じやすい関節である。

インピンジメント症候群の多くは関節や筋肉の劣化によるトラブルによるものだが、投擲種目を行なっている若年者でも発症してしまう。

初期のインピンジメント症候群であれば、しっかり管理していけば、高確率で改善が見られる事が多い。

しかし、多くの方が『痛くても動かせば治る』などと言った間違った考えを持っているが故に症状を悪化させてしまう人が後を絶えない。

原因は未だ確立されていないが、大まかな法則や管理方法がわかってきている。

もしインピンジメント症候群になってしまったら、無理をして動かさず、適切な時期に適切に管理を行なっていく事が非常に大切なのである。

訂正:2019/09/03

長尾 龍男
この記事を書いた人 : 長尾 龍男

愛知県岡崎市在住。整体院柔YAWARAを設立した理学療法士。柔YAWARAにて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

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