この記事で分かること
- 変形性膝関節症で痛みが出てしまう3つの理由が詳しく分かります
- 変化性膝関節症で膝が痛い時の対処方法についても解説しています
こんにちは!理学療法士の長尾です。今日は変形性膝関節症はなぜ痛くなってしまうのか?について勉強していきましょう!
多くの方が変形性膝関節症は軟骨が潰れてしまうから、膝に痛みがでてしまうと考えられております。
ですが、実は正常な軟骨には神経や血管がないのです。
もちろん、半月板にも体重がかかるところには神経や血管は存在しておりません。
つまり、軟骨自体がつぶれるだけでは、神経がないので痛みがでないという事になります。
では、なぜ変形性膝関節症になってしまうと膝が痛くなってしまうのでしょうか?
早速ですが、皆様に結論をお伝えします。
結論
変形性膝関節症で痛みが出てしまう理由は、傷ついた軟骨に血管や知覚神経が侵入してくるから
その他2つ、変形性膝関節症で痛みが出てしまう理由を詳しく解説していきますので是非最後までご視聴ください。
この記事の目次
【関連動画】変形性膝関節症➂なぜ痛くなるのか?実は丸まるが原因だった!
記事の内容はこちらの動画でも解説しておりますのでぜひご覧ください。
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変形性膝関節症で痛くなる理由➀:神経・血管の侵入
変形性膝関節症になると痛みが出てしまう理由の1つ目が関節の軟骨に血管や知覚神経が侵入してくるからです。
理由を説明する前に、まず膝の構造について簡単に解説していきます。
という部分からできています。
先ほども解説しましたが、実は正常な軟骨には神経や血管が存在しておりません。
そのため、正常な膝の軟骨では痛みが出ないんです。
しかし、加齢や体重増加などで関節の軟骨に負担がかかり、傷がついてしまうと、知覚神経や血管が軟骨の内部に潜り込んでくるそうです。
(文献によれば、人工膝関節の置換術を行った人の膝の関節軟骨を調べると血管が通ったトンネルがあったという報告があります。)
イメージとしてはこのような形になります。
加齢や体重増加などで関節の軟骨に傷がつくと、関節軟骨に血管や神経が潜り込みます。
関節軟骨に血管を伸ばすことで、壊れた軟骨に栄養を与え、修復を促します。
そして、神経をのばしてその部分に痛みが出やすくすることで、余計な負担をかけないようにする働きがあると考えられています。
つまり、まとめると加齢や体重増加などで膝の軟骨に負担をかけて傷つけてしまうと、軟骨に血管や神経が侵入していきます。
血管は軟骨を修復するため、神経はその部分に負担をかけないように痛みを感じやすくするためだと考えられております。
これらのことから、変形性膝関節症になっている方の膝には痛みがでやすくなってしまうのです。
変形性膝関節症で痛くなる理由➁:滑膜の炎症がおきるから
変形性膝関節症になると痛みが出てしまう理由の2つ目が滑膜に炎症が起きてしまうからです。
この理由を説明する前にまず変形性膝関節症の分類をご紹介していきます。
変形性膝関節症の分類は大きく5つに分ける事ができます。
具体的には
※特にグレード3から変形性膝関節症の特徴的な症状であるO脚変形が起きてくると言われております。
先ほども解説しましたが、加齢や体重増加などで関節の軟骨に負担がかかると傷がついてこわてしまいます。
壊れた関節軟骨は関節の中を浮遊します。
浮遊している関節軟骨は滑膜に吸収されてきれいに掃除されます。
ですが、壊れた関節軟骨を吸収することで滑膜は炎症を引き起こしてしまうんです。
これが滑膜炎です。
滑膜炎が起きてしまうと膝の曲げ伸ばしで痛みがでやすくなります。
それだけでなく、膝に水がたまり、膝周囲の筋肉が細くなりやすいと言われております。
また文献によれば、
滑膜炎の程度は軟骨変形の程度とは必ずしも一致せず、むしろ早期 の変形性膝関節症で滑膜炎の程度が強い傾向にある
と報告されております。
ここまでをまとめると、
- 加齢や体重増加などで関節軟骨に傷がつくと、その破片が滑膜炎を引き起こしてしまいます。
- 滑膜炎は変形性膝関節症のグレード1や2で起こりやすい現象のことです。
- 滑膜炎がおきてしまうと膝に水がたまりやすくなります。
- さらには膝周囲の筋肉が落ちやすくなったり、膝の曲げ伸ばしなどで痛みが出やすくなるんです。
変形性膝関節症で痛くなる理由➂:半月板にも血管や神経が侵入
変形性膝関節症になると痛みが出てしまう理由の3つ目が半月板にも血管や知覚神経が侵入してしまうからです。
実は変形性膝関節症の方の半月板を調べてみると、関節の軟骨の時と同じく、神経や血管が通るトンネルができていたという報告があります。
また最近では内側の半月板の後ろ側で損傷がおきると、変形性膝関節症を進行させる要因になってしまうと言われております。
そもそも膝は、平地を歩いているだけでも、体重の約3倍ほどの負担がかかっております。
これが、階段や坂道になると、膝には体重の9倍ほどの負担がかかってしまいます。
特に内側半月板の後ろ側は、階段をおりる時など、膝が軽く曲がった状態で強い衝撃を受ける事で損傷が起こりやすいとされております。
これが階段だけでなく、平地を歩く時も、膝が伸びきらなかったらどうなるでしょうか?
常に半月板の後ろ側に負担がかかって、半月板を傷つけてしまう原因となってしまうんです。
ここまでをまとめると、
- 半月板に傷がつけば、先ほども解説したように、神経や血管が潜り込みます。
- 半月板は体重がかかる部分には神経がないので、正常なら痛みを感じません。
- 体重がかかる部分にも知覚神経が潜り込んでしまったら、歩く時や階段の昇り降りで痛みを感じやすくなってしまいます。
- 最終的に変形性膝関節症になってしまうと膝に痛みがでやすくなるんです。
※変形性膝関節症を引き起こしてしまう原因をご存じでしょうか?実は三つの大きな原因によって変形性膝関節症が起きてしまいます。その3大原因をこちらの記事にて詳しく解説しておりますので是非ご参考にしてください。
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どうして変形性膝関節症になってしまうのか?
ここまで、変形性膝関節症になると痛みが出てしまう理由を3つ解説しましたが、そもそもどうして変形性膝関節症になってしまうのでしょうか?
色々な文献の知識と私の現場での経験を踏まえて、推論を述べていきます。
あくまで、私の個人的な考えなのでご参考までにとどめておいてください。
変形性膝関節症になってしまう理由としては、以下の流れが考えられます。
➀内側広筋の筋力低下がおきるから
まず運動不足や加齢などによって、内側広筋と呼ばれる筋肉が細くなってしまいます。
内側広筋は膝が伸びる為に必要な筋肉です。
つまり、内側広筋が細くなると膝が伸びなくなってしまいます。
膝が伸びないと構造上、膝は内側に入ってしまうんです。
この段階までがグレード1までの過程と考えられます。
➁膝が内側に入りやすくなり半月板に負担がかかるから
膝が内側に入ってしまうと膝の内側の筋肉や靭帯などで、膝を支えます。
ここで着目したいのが、
- 膝が軽く曲がっていること
- 膝の内側の筋肉で膝を支えている状態
という事です。
半月板の章でも解説しましたが、膝が伸びなければ半月板の後ろ側に負担がかかり傷がついてしまいます。
それだけでなく、膝の関節軟骨にも負担がかかるんです。
また膝が内側にはいるのを防ぐ筋肉には鵞足の筋肉や半膜様筋と呼ばれる筋肉が存在しております。
特に半膜様筋は半月板の後ろ側につく筋肉となります。
つまり、膝が内側に入るのを防ぐ筋肉である半膜様筋に負担がかかってしまうと、半月板にも傷がつきやすくなるのです。
これらのことから、半月板や膝の軟骨に負担がかかり、血管や神経が潜り込んでいきます。
そして、膝に痛みを出しやすくしてしまうんです。
➂膝の軟骨や半月板に穴が空いてしまうから
上記に加えて、膝の軟骨のかけらが滑膜に入り込んで滑膜炎も起きてしまいます。
滑膜炎が起きれば、膝の中に水が溜まります。
水が溜まれば、さらに内側広筋が細くなりやすいです。
そして、どんどん膝が伸びなくなり膝の痛みが強くなると考えられます。
この状態が進行していくと今度は変形性膝関節症グレード3から起きるO脚変形がでてきます。
なぜなら、膝の軟骨や半月板に血管や神経が通るための穴が空いているからです。
例えば、スポンジって無数の穴があいてますよね?
だから、すぐに潰れてくれますよね?
それと同じで膝の軟骨や半月板に穴が空いていると潰れやすくなります。
つまり、内側の軟骨や半月板が潰れやすくなっているのでO脚変形をおこしてしまいます。
そしてますます膝の変形が進んでいくと考えられます。
これらの変形の流れはあくまでも私の個人的な考えであるため、ご参考までにとどめておいてください。
変形性膝の痛みが出たらどうしたら良いのか?
変形性膝関節症の痛みが出たら、どうしたらよいのか?という質問をよくいただきます。
膝に痛みがでてしまったら、マッサージやストレッチを行う前に、まずはサポーターで固定をしましょう。
このようにお伝えすると、膝の筋肉が落ちるから使いたくないという風におっしゃる方がいます。
ですが、先ほども解説しましたが、変形性膝関節症で痛くなってしまう理由は、関節の軟骨や半月板に血管や神経が潜り込んでしまうからです。
膝に負担がかかるとさらに軟骨や半月板に傷がついてしまい、さらに血管や神経が増えてしまいます。
終いには滑膜炎をおこし、膝に水が溜まりやすくなるんです。
膝に水が溜まれば、筋肉も細くなってしまいます。
つまり、何もしなくても筋肉は細くなってしまうのです。
そのため、まず最初にやらなければいけないことは、サポーターで固定をして膝への負担を減らすことです。
ちなみに変形性膝関節症で痛い時はこのようなサポーターがおすすめです。
こちらのサポーターは膝の両側に柔らかいコイルバネがあります。
そのことによって、膝の横揺れを防いでくれます。
また、このベルクロやパテラキャップにより膝を安定させてくれます。
さらには、通気性が良い構造のため、長時間着用でき使い勝手が良いサポーターとなります。
※膝のサポーターの詳細はこちらに記載しておりますので是非ご覧下さい。


理学療法士イチオシ!軽度な変形性膝関節症や膝の痛みにオススメの「膝サポーター」
理学療法士イチオシ!軽度な変形性膝関節症や膝の痛みにオススメの「膝サポーター」
参考
- 軟骨が減ると何故、痛い?(変形性関節症は、どうして痛い?)
- Increased vascular penetration and nerve growth in the meniscus: a potential source of pain in osteoarthritis
- 関節軟骨の変性を特徴とする変形性膝関節症(膝Osteoarthritis
- 変形性膝関節症と骨代謝
まとめ
今回は変形性膝関節症になるとなぜ痛みが出てしまうのか?について詳しく解説しました。
POINT
変形性膝関節症で痛みが出てしまう理由は次の通りです。
- 関節の軟骨に神経や血管が侵入するから
- 滑膜に炎症が起きてしまうから
- 半月板に神経や血管が潜り込んでしまうから
関節軟骨や半月板に神経が侵入すると膝の曲げ伸ばしの時に痛みが出てしまいます。
さらには軟骨や半月板に穴かが空いてしまうため、潰れやすくなります。
その事でO脚変形が進行していくのです。
また関節軟骨の破片は滑膜に吸収され、滑膜炎を引き起こします。
さらには膝に水が溜まりやすくなるので、膝の筋肉が細くなってしまうのです。
そのことで膝の痛みをより強くしてしまいます。
このような負の連鎖を無くしていくためにも、まずは膝のサポーターで固定して負担を減らしていくことが大切になっていくので覚えておきましょう。