- 腸脛靭帯炎(ランナーズニー)で痛みが出ている人。
- 腸脛靭帯炎(ランナーズニー)の原因を知りたい人。
- 膝の外側の痛みでお困りの人。
- 自分の膝の痛みが本当に腸脛靭帯炎(ランナーズニー)によるものなのか?検査したい人。
走ったり、自転車をこいだり、登山をしたりする際に膝の外側が痛くなる方が非常に多くいらっしゃる。
その膝の外側の痛みのほとんどが腸脛靭帯炎(ランナーズニー)である場合が多い。
なぜ腸脛靭帯炎が引き起こされてしまうのか?
その原因がわからないまま、治療やケアを行っても改善が難しい事が多々ある。
原因のほとんどが腸脛靭帯と大腿骨の外側上顆の部分で擦れてしまうからだと言われている。
「この原因がなぜ起きるのか?」
今回はその疑問を解決するような腸脛靭帯炎を引き起こす原因となる身体のメカニズムについて詳しく解説していくとともに本当に腸脛靭帯炎を引き起こしているのか?を検査する方法をお伝えしていく。
この原因に対するメカニズムが分かり、実際に検査をして腸脛靭帯炎であるのならば、改善までがスムーズになるので是非最後まで目を通していただきたい。
※柔YAWARAが動画の中で腸脛靭帯炎(ランナーズニー)の詳しい原因について詳しく解説しております。YouTubeでは柔YAWARAによく寄せられるお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズを定期的に紹介しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。
走ると膝の外側が痛くなってしまう腸脛靭帯炎(ランナーズニー)の原因について解説
マラソンランナーや自転車競技をされている方、また登山をされている方の多くに腸脛靭帯炎(ランナーズニー)が生じてしまう。
この腸脛靭帯炎を改善していく為には、どうしてその痛みが出てしまうのか?
その原因はなんなのか?
について知らなければ、より良いケアを行う事ができない。
今回の項では、
- 腸脛靭帯炎で痛くなってしまう場所
- 腸脛靭帯の解剖学的な構造について
- どうして腸脛靭帯炎が起きてしまうのか?その原因を解説
- 腸脛靭帯炎を引き起こしてしまうメカニズムとは?
の順で解説している。
腸脛靭帯炎で膝に痛みを出してしまう場所とは?
走るという繰り返しの動作によって大腿骨と腸脛靭帯が擦れてしまうことで膝の外側に痛みが出てしまう。
特に長期間ランニングやマラソンを繰り返すことで膝の外側で炎症を起こし、膝の外側に痛みが出てしまう。
多くの人が下記の写真の場所で痛みを出す。
腸脛靭帯の解剖学的な構造について
まず腸脛靭帯の解剖学的な位置をご紹介する。
停止部位:大腿筋膜から脛骨の外側顆に付着する。
上から見て実際に腸脛靭帯をトレースした写真
横から見て実際に腸脛靭帯をトレースした写真
3D解剖図ではこのように見える。
腸脛靭帯について簡単に説明すると、太ももの外側に位置している大きな靭帯である。
またこの腸脛靭帯は、膝関節の安定性を向上させる機能がある。
腸脛靭帯の構造についてこのような文献があったのでご紹介する。
専門家向けで、一般の方にとっては少し小難しい内容となるのでご了承ください。
ITT を構成する中殿筋・大腿筋膜張筋・大殿筋の影響を容易に受ける。三浦らによると大殿筋深層線維は ITT の後部線維を構成し大腿骨外側上顆の後方を通過し大腿外側筋間中隔とも連結を持つ。
引用:外傷を起因とした膝関節外側支持機構の拘縮により階段降段時痛を生じた症例 大殿筋拘縮との関係
このように腸脛靭帯は中殿筋や大腿筋膜張筋、大殿筋の影響を強く受ける事になる。
つまり、これらの3つの筋肉のいずれかもしくは全部が硬くなってしまうと腸脛靭帯を介して膝に痛みが出てしまうのだ。
このような腸脛靭帯の構造を踏まえて、腸脛靭帯炎になってしまう原因について解説していく。
腸脛靭帯炎がなぜ起きてしまうのか?その原因を徹底解説
前述したように腸脛靭帯炎は別名ランナーズニーとも呼ばれるほどて、マラソンランナーに多い症状である。
それだけでなく、自転車競技をされている方や、登山をされている方にも非常に多く生じてしまう。
なぜこのような方々に多く生じてしまうのか?
その原因としては、腸脛靭帯と大腿骨の外側上顆の部分で擦れ流事によって腸脛靭帯に傷がついてしまうからであると言われている。
この写真の部分で擦れが生じてしまうようだ。
そして腸脛靭帯の機能に関してこのような文献があったのでご紹介する。
先行研究においてITBが大腿骨外側上顆を乗り越える際の膝関節屈曲角度は約30°であると報告されている(Noble 1979)。
股関節伸展 10° での膝関節屈曲角度は 23.7 ± 3.3°、屈曲 0° で 29.1 ± 3.5°、屈曲 20° で 35.2 ± 2.1°、屈曲 40° で 43.5 ± 3.4°、屈曲 60° で 51.4 ± 4.7° となり、5 条件では全ての条件間で股関節の屈曲角度が大きくなるほど ITB が大腿骨外側上顆を乗り越える際の膝関節屈曲角度が有意に大きくなることが認められた (p<0.005=0.05/10)。
膝を屈曲する時(曲げる時)、腸脛靭帯は大腿骨の外側上顆を乗り越えると専門家の中では周知のことである。
その角度は文献にあるように股関節の屈曲角度(曲がる角度)が大きくなるにつれて、腸脛靭帯が大腿骨の外側上顆を乗り越える時の膝の屈曲角度が多くなるとのことである。
ランニングなどで股関節を屈曲させなければ(曲げなければ)、早期に腸脛靭帯が大腿骨の外側上顆を乗り越える事になる。
つまり、股関節を屈曲させて走っている人よりも、股関節を屈曲させずに走っている人の方が腸脛靭帯が大腿骨の外側上顆と擦れる確率が高くなり、腸脛靭帯炎(ランナーズニー)になってしまうリスクが高くなるとも考えられる。
これは自転車競技をされる方や登山をされる方でも共通と考えられる。
股関節屈曲つまり股関節からしっかり足をあげる事ができない方は腸脛靭帯炎のリスクは高まってしまうはずだ。
腸脛靭帯炎を引き起こしてしまう身体のメカニズムについて解説
腸脛靭帯炎になってしまう主な原因は前述したとおり、「腸脛靭帯」が大腿骨の外側上顆と擦れる事によって生じてしまうとお伝えしたが、なぜ擦れるようになるのだろうか?
そのメカニズムについて簡単に解説する。
腸脛靭帯をひとまず置いておいて、まずは「膝関節」というものはどのような関節なのかを知らなければならない。
膝関節の特徴としては、座っていれば「膝単独で屈曲伸展(曲げ伸ばし)」ができ、地面に足が接地している状態では「膝単独で屈曲伸展(曲げ伸ばし)」が難しいという事である。
文字だけでは分かりづらいため、模型を使用して解説する。
人間の膝関節はこのように座っていれば「膝単独で屈曲伸展(曲げ伸ばし)」が可能である。
しかし、足が地面に接している時は「膝単独で屈曲伸展(曲げ伸ばし)」が難しくなる。
これはかなりの筋力が必要であり、物理的には超人技となってしまう。
ここで知っていただきたいのは、足が地面に接している時は「膝単独で屈曲伸展(曲げ伸ばし)」ではなく『足関節や股関節が関与した』膝の屈曲伸展となるのだ。
つまり、日常生活や何か動作する時、ランニングなどのスポーツ中の膝の動きは100%股関節や足関節が関与している事になる。
これを言い換えると勘のいい人ならもうお気づきだと思うが、膝のトラブルは「股関節」や「足関節」のトラブルから引き起こされるとも言える。
特にこの腸脛靭帯炎(ランナーズニー)に関しても同様な事が言える。
例えば、前述したように腸脛靭帯は大腿筋膜張筋や中殿筋・大殿筋の影響を受ける。
股関節のトラブルが生じてしまえば、大腿筋膜張筋や中殿筋・大殿筋の3筋もトラブルを生じ、硬くなってしまう。
この3筋が硬くなってしまえば、必然と腸脛靭帯も硬くなってまう。
この状態に陥ってしまうと大腿骨の外側上顆と擦れやすくなり、「腸脛靭帯炎」を引き起こす原因となってしまうのだ。
また足関節でも同じ事が言える。
人間2本足で歩く時は、必ず横に傾く力がかかる。
これは走る時でも同じである。
この横に傾く力が加わった時足首で制御できなければ、体幹や股関節でその力に対抗しなければならなくなる。
つまり、股関節に負担が加わりトラブルが起きやすくなるのだ。
そうなってしまうと、前述した通り、大腿筋膜張筋や中殿筋・大殿筋の3筋もトラブルを生じ、腸脛靭帯まで硬くなり、「腸脛靭帯炎」を引き起こしてしまう事になる。
腸脛靭帯炎は膝のトラブルだと言われることが多いのだが、これらの事から股関節や足首にも着目していかなければならない。
そうしなければ、どこに真の原因が潜んでいるか分からなくなるからである。
以上の事を踏まえて腸脛靭帯炎に対する治療やケアを行なっていかなければならないという事を覚えておこう。
※その他の膝の外側の痛みの原因についてはこちらの記事にて解説しておりますのでぜひご覧ください。
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腸脛靭帯炎なのかチェックテストで確認してみよう!
腸脛靭帯炎になってしまう原因やメカニズムが分かったところで次はチェックテストで自分の膝の痛みが腸脛靭帯炎になのか確認しよう。
下記の項目の内、当てはまるものが3個以上あったら腸脛靭帯炎(ランナーズニー)が疑われる。
□ 走ると膝の外側に痛みがでる。
□ 日常生活をしていても太ももの外側が張っている感じがある。
□ 膝の外側を押すと痛みがでる。
□ 痛い方の足を前に出して、つま先を内側に向けて膝を曲げると痛みが強くなる。 (下記の方法を参照)
□ 痛い方の足を前に出して、つま先を外側に向けて膝を曲げると痛みが和らぐ。 (下記の方法を参照)
一人で出来る簡単腸脛靭帯炎検査
上記の項目で3項目にチェックが入ったら今度は一人でもできる検査で精査していこう。
下記の検査方法が全て当てはまるなら、かなりの確率で腸脛靭帯炎になっていることになる。
腸脛靭帯炎の検査1
方法
- 写真の通りに、手で膝の外側を抑える。
- 抑えたまま、膝を曲げ伸ばしする。
※痛みが出るなら腸脛靭帯炎の可能性がある。
腸脛靭帯炎の検査②
方法
- 痛い方の脚を前に出す。
- つま先を内側に向けて膝を曲げる。
※痛みが増悪するかを確認する。
これは腸脛靭帯に負担がかかる膝の曲げ方となるので、痛みが増悪すれば腸脛靭帯が悪さをしていることになる。
腸脛靭帯炎の検査③
方法
・痛い方の脚を前に出す。
・つま先を外側に向けて膝を曲げる。
※痛みが軽減するか確認する。
これは腸脛靭帯に負担がかからない膝の曲げ方となるので、痛みが出なくなれば腸脛靭帯が悪さをしていることになる。
◎上記3つのテストで痛みが誘発し、痛みが軽減するようなら腸脛靭帯炎の可能性が極めて高い。
※ランナーズニーの改善方法関してはこちらの記事に詳しく綴っておりますのでぜひご覧ください。
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腸脛靭帯炎(ランナーズニー)の原因についてのまとめ
今回はマラソンランナーや自転車競技をされる方、登山をされる方に多い腸脛靭帯炎(ランナーズニー)の原因について詳しく解説した。
- 腸脛靭帯は大腿筋膜張筋や中殿筋・大殿筋の影響を受けやすい。
- 腸脛靭帯炎になる原因は腸脛靭帯と大腿骨の外側上顆が繰り返し擦れてしまうからだ。
- 腸脛靭帯炎を引き起こすメカニズムは、股関節や足関節のトラブルによって2次的に膝へ負担がかかる事によるものである。
- 腸脛靭帯炎が疑われるようならまずは上記の検査で本当に腸脛靭帯炎なのか?を確かめよう。
腸脛靭帯炎は大腿骨の外側上顆と腸脛靭帯が接している部分の炎症が根底にある疾患である。
その為、炎症が落ち着けば痛みは改善される。
しかし、その炎症が落ち着く前にマラソンなどの練習を再会してしまえば症状が悪化してしまうことは間違いない。
加えて、大腿骨の外側上顆と腸脛靭帯が接している部分がどうして炎症が起きてしまうのか?という原因を解決しない事にはこの症状を改善することは難しい。
今回の内容が腸脛靭帯炎(ランナーズニー)で苦しまれている方のお役に立てば幸いだ。