四十肩・五十肩を治す為に行うストレッチは『超』やめたほうが良い!

投稿日:2016年12月15日 更新日:

四十肩・五十肩

現在、四十肩・五十肩で苦しんでいる人は200~300万人にも及ぶ。

日本では40代や50代の方に多いことから、俗称として四十肩・五十肩と呼ばれているだけであり、正式には肩関節周囲炎という病名がつけられている。

四十肩・五十肩になってしまうと肩が動かない、夜中痛みが出るなどの症状が現れる。

また服が着づらい、洗濯物が干しづらいなどの日常生活の動作にも支障が出てしまう。

そんな四十肩・五十肩について、なぜ四十肩・五十肩にストレッチを行ってはいけないのか?という理由を詳しく解説していく。

※柔YAWARAが動画内にて「なぜ四十肩・五十肩に対してストレッチをしてはいけないのか」について詳しく解説しております。また、YouTubeでは柔YAWARAによく寄せられるお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズを定期的に紹介しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。

四十肩・五十肩の症状

四十肩や五十肩の症状として、代表的なのが『夜間痛』と『動作時痛』である。

これらは日常生活の動作を妨げてしまう要因となってしまう。

詳しくは下記に主な例を列挙した。

四十肩・五十肩の主な症状

  • 夜中の痛みで起きてしまう
  • 肩が挙がらない
  • 手が後ろに回せない
  • ズボンをあげづらい
  • ベルトを後ろに通せない
  • 服の袖に手を通すのがつらい
  • 洗濯物が干しづらい

最初は軽い痛みだけだが、徐々に痛みが強くなっていくとともに、肩の動きが悪くなり、日常生活の動作にも支障をきたしてしまう。

特に四十肩・五十肩の初期は夜中の痛みが、そして数ヶ月経ってから肩の動きが固まったかのように動かなくなることが最大の特徴的である。

四十肩・五十肩になってしまう原因はどのようなものがあるだろうか?

四十肩の主な原因としては大きく2つ挙げられる。

四十肩・五十肩の主な原因

  1. 組織の劣化
  2. 不意な動作時に生じた肩の損傷

以下にこれらの事について詳しく解説する。

原因①:肩の組織が『劣化』するから

肩の組織は多くの靭帯、筋肉などで出来ている。しかし人間は加齢に伴い、そのような組織がだんだんと劣化してしまう。

ゴムの劣化を想像して頂ければ分かり易い。

長年日光や空気にさらしたゴムは切れやすい。これはゴム自体が劣化し、耐久性が落ちてしまうからだ。同じように人間の身体も年を重ねれば、靭帯や筋肉が劣化し、壊れやすくなる。その為、四十肩や五十肩が発生してしまうのだ。

原因②:不意に動かした時に肩の内部が損傷してしまう

現代の人はスマホやパソコン作業で、身体が硬くなっている。その為、自分が思っている以上に年々肩が動かなくなっている。そのような状態の中で不意に手を伸ばした動きが自分の現在の身体の動く範囲を超えてしまうことがある。その事によって、肩の内部が損傷してしまうのだ。

肩の内部の損傷は次のような動作で起こる。

肩の内部が損傷しやすい動作

  • 後部座席の物を取ろうとした時
  • 上の物に手を伸ばした時
  • 無理やりストレッチした時
  • 重たいものを持ち上げた時

その他にも肩の内部の組織を傷つけてしまう原因が、日常生活にたくさん潜んでいる。

※四十肩や五十肩の原因部位となる上腕二頭筋長頭腱などの筋肉を可視化して解説しております。肩の痛みでお困りの方は是非ご参考にしてください。

アイキャッチ
四十肩と五十肩の痛みの原因部位を可視化して詳しく解説

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※「四十肩」と同じような肩の痛みを出してしまうのが「腱板損傷」です。こちらの記事にて「四十肩」と「腱板損傷」との違いについて詳しく解説しております。肩の痛みで原因が知りたい方はぜひご参考にしてください。

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四十肩・五十肩の3つの時期

四十肩や五十肩は目には見えないが、実は肩の内部の傷によるものだ。

その為、擦り傷や切り傷が治る過程と同様に四十肩や五十肩にも治る過程がある。

大きく3つに分けられるので解説していく。

四十肩・五十肩の3つの時期

  1. 痙縮期(炎症期)
  2. 凍結期(拘縮期)
  3. 緩解期

この3つの時期について下記に詳しく解説した。

痙縮期(炎症期)

この時期の主な期間と症状が以下のとおりだ。

期間

痛みが生じてから2週間が最も痛みが強く、0~2ヶ月の期間を指す。

症状

痛みが非常に強い時期であり、夜間痛や激しい痛みで肩が動かせないのが特徴である。

この時期の注意点

運動やストレッチ、牽引などえ痛みが酷くなることがある。その為、安静を保つことが第一だ!

凍結期(拘縮期)

この時期の主な期間と症状が以下のとおりだ。

期間

痛みが生じてから2~6ヶ月の期間の事を指す。厳密には2週間ほど経てば組織が修復してくる過程で肩の関節は固くなってくる。

症状

徐々に傷ついた肩の組織が治ってくる時期。それに伴い徐々に肩の内部の靭帯が硬くなってくる。この時期までにしっかり管理していれば肩の動きが比較的良くなりやすい。

この時期の注意点

肩の管理を怠ってしまうと痛みが続き、肩が動かなくなってしまう事が多い。
例えば、多くくの人はこの時期に痛いこと(痛い所まで動かしたり、過度なストレッチ)をして、肩の動きを悪くしている人が多いのでそのようなことは絶対に行ってはいけない。

緩解期

この時期の主な期間と症状が以下のとおりだ。

期間

痛みが生じてから6ヶ月〜12ヶ月以上の時期のことを指す。

もちろんこれは一つの目安であり症状が軽い方は、2ヶ月ほどでこの時期に差し掛かる。

また暴力的なリハビリを行っている人はこれよりも遅い時期になってしまう。

症状

肩の痛みは基本的に落ち着いていて、炎症期や拘縮期に比べると殆ど感じない人が多い。

拘縮期にて治る過程で肩の組織が硬くなり動きが悪くなるのだが、この時期に差し掛かれば徐々に動きが改善してくる。

この時期の注意点

動く範囲で徐々に動きを改善していく必要がある。

無理なストレッチや痛みが出るリハビリを行っている人は、この時期になっても肩が動きが改善して来ない上に、痛みがまた生じてしまうという状態に陥るので注意が必要だ。

※こちらの記事にて四十肩や五十肩の改善法やリハビリ方法を詳しく解説しております。四十肩でお悩みの方はぜひご参考にしてください。

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四十肩・五十肩になったら絶対にストレッチを行ってはいけない!

伸びた感じが気持ちいから。

伸ばすと治る気がする。

そのような事をおっしゃって無理やりストレッチをしたり、グリグリ患部を押す方が非常に多い。

しかし、これらのことは症状を悪化させる要因となるので絶対に行ってはいけない。

四十肩や五十肩にやってはいけないこと

  • 痛みが出るようなストレッチ
  • 痛いリハビリ
  • 痛みが助長される動作

四十肩・五十肩になりたての頃は、肩の組織が非常にデリケートになっているため、上記のことは絶対にやらないでいただきたい。

これらの行為は自然治癒を妨げるものとなる

痛みが出るということは身体からの危険信号であり、治すよりも破壊する行為となるからだ。

参考文献:結合組織の創傷治癒より見た肩関節周囲炎の病態と治療

ストレッチが炎症を長引かせ肩の痛みが長期化する原因となる

なぜ四十肩・五十肩の炎症期が長期間続いてしまうのか?

その原因が肩を痛いところまで我慢して動かしたり、無理矢理ストレッチを行なってしまうからである。

実際に体感していただきない。

まずは自然に動きが止まるところまで肩を動かす。

※実験の為、痛みがない肩で行ってください。

自然に止まる所まで動かす

その状態まで来たら、今度は伸びる感覚が出るところまで肩に抵抗を加えていく。

これがいわゆる『ストレッチ』だ。

ストレッチ

多くの方はこの『伸びた』感覚が良いと錯覚されている。

しかし、これにさらに抵抗を加えると『痛み』に変わるのが分かるはずだ。

痛みが出る

つまり『伸びた』感覚は痛みが出る一歩手前の防御反応なのである。

痛みの一種と言っても過言ではない。

自然に動きが止まったところで肩の『組織』的に伸びる限界を迎えている。

『伸びた』という感覚が出た時点で組織は『損傷』を起こしているのだ。

いまいちピンと来ていない人に向けて紙を用いてもっと簡単に説明していく。

この紙を引っ張ると、微細にやぶれてしまうのが分かる。

これがいわゆる『伸びた』感覚がするストレッチだ。

ストレッチ

さらに紙を引っ張ると完全に破れてしまう。

組織崩壊

これは痛みが出るところまで伸ばすことと同じで、組織の『損傷』になるのだ。

ストレッチで『伸びた』感覚は前述した通り、組織が損傷する前の警告サインもしくは軽度に損傷が起きているサインと考えた方が良い。

その為、四十肩・五十肩になったら、引っ張ったり、ストレッチをする行為は避けた方が良い。

もちろん痛いところまで動かすのもご法度である。

以上のことから、四十肩や五十肩で肩内部に傷が付いている人が、『伸びる』感覚が出るところまで伸ばすと、さらに傷が悪化する証明となる。

それに伴って、四十肩・五十肩の炎症期が延々と長引いてしまうのだ。

四十肩・五十肩にストレッチを絶対に行ってはいけない理由を模型で解説

上記でお伝えしたように自然治癒力が妨げられるのでストレッチや暴力的なリハビリは行わないほうが良い。

具体的にストレッチを行うことによってどのように組織が損傷するのか?

次は模型を使用して解説していく。

正常な肩の動きを模型で解説

肩の組織は柔軟性があり、関節に適度な隙間があるので動くためのゆとりがある。

肩のゆとり

その為、肩を十分に動かすことが出来る。

肩が挙がる

四十肩・五十肩の動きを模型で解説

仮に肩に損傷が起きたとする。(肩を固定しているテープをハサミで切る。)

肩損傷岡崎市

損傷した組織はまず重なり合い修復しようとする。

この時期が痙縮期(炎症期)に相当する。

肩修復1岡崎市

写真の緑で塗られたマスキングテープのように、再び損傷しないように硬い組織に置き換わる。

この時期が凍結期(拘縮期)に相当する。

肩修復2岡崎市

この状態が四十肩・五十肩の肩内部の状態だ。

硬い組織に置き換わると肩の可動域が著しく低下する

普通の肩の組織よりも硬くなり、肩の関節のゆとりがなくなる。

肩修復3岡崎市

その結果、通常の肩の動きよりも動きが悪くなってしまう。

肩修復4岡崎市

もし無理やり肩を動かすとどうなるのか?

無理に動かせば、組織が再び壊れてしまう。

もちろん痛みも出てしまう。

肩再損傷岡崎市

そして、また炎症が起き、最初の痙縮期(炎症期)に逆戻りしてしまう。

結果、肩の治りが遅くなる。

四十肩や五十肩で1年以上かかってしまう人の多くは、組織が修復する前に暴力的なストレッチをされて、肩の内部を再び損傷しているのだ。

これらのことから四十肩や五十肩になった時には、絶対に無理やりストレッチを行ってはいけないのだ。

※四十肩や五十肩に合併しやすいのが胸郭出口症候群です。胸郭出口症候群について一般の方にも分かりやすいように筋肉や神経をトレースして視覚化したものを用いて解説しております。肩の痛みだけでなく、痺れや怠さがある方は是非ご参考にしてください。

四十肩や五十肩にストレッチを行ってはいけない理由についてこのような文献を参考にしました。

強い力で急に引っ張る(manipulation)より弱い力で長時間伸張(prolonged stretching)するほうが効果的であるということが判明しているが、いずれの方法によっても伸張直後に可動域を測定すると多くの場合伸張前より制限が増加している。これは伸張運動によって軟部組織に微細な損傷が起こり、瘢痕組織となって治癒することでその伸展性を失うことによる。

引用:SJF関節ファシリテーション第2版 編者 宇都宮初夫 発行者 池田和博 発行所 丸善出版株式会社 p3 l7-14

上記の内容を一般の方にもわかりやすく、噛み砕いて説明しております。

まとめ

今回は四十肩や五十肩に対してストレッチをしてはいけない理由を理学療法士である私の臨床的な経験と文献をもとに解説した。

POINT

  • 四十肩・五十肩は肩の組織の劣化が背景にあり、ふとした動作で傷つくことによって発症する。
  • 四十肩・五十肩の肩内部は非常に脆弱である為ストレッチによって組織が再び損傷してしまう。
  • ストレッチによって肩内部の自然治癒が阻害されて四十肩や五十肩の改善を遅らせる原因となる。

冒頭でも説明した通り、四十肩や五十肩は、肩の組織の劣化が背景にある。

肩を動かして何かしらの負担がかかると、肩の組織が傷ついてしまう。

その傷によって痛みが生じ、回復過程で硬くなるため動きが悪くなっていく。

でも、四十肩・五十肩になっても安心してほしい。

人には自然治癒力があるからだ。

何もしなくても、自分で修復する能力が人間には備わっている。

四十肩・五十肩の3つの時期の特徴に合わせてリハビリを行っていけばさらに自然治癒力を促すこととなる。

肩を痛めた人は受け身の治療をせず、正しい知識を身につけ、治療をする者と一緒に肩の回復を努めよう!

長尾 龍男
この記事を書いた人 : 長尾 龍男

愛知県岡崎市在住。整体院柔YAWARAを設立した理学療法士。柔YAWARAにて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

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