これは理学療法士の学生の時の話です。
理学療法士過程を卒業する為に、病院へ行って勉強をする『実習』と呼ばれる制度があります。
ちょうど4年生の最終実習の時に大失敗をしてしまいました。
今思い返すと、とても、とても申し訳ない出来事でした。
学生は通過点でしかない
当時の僕は理学療法士になる為なら、授業や国家試験も努力しなくても合格点さえ取れればいい!
最短ルートで行こう!的な考えをもっていました。
本当に甘っちょろい考えをしていました。
最後の実習は愛知県から遠く離れたZ県に行くことになった。
他県に行きたい!という僕の希望を考慮した上で、教授達が決めました。
愛知県から出たかった僕にとってはZ県に行くことがとても嬉しかったです。
Z県で始まった実習が試練の始まりだった。
愛知県から離れた慣れない土地。
それに加え、股関節の手術が全国有数の病院。
当時の僕にとって、それはそれはとてもハードでした。
Z県に決まった時の嬉しさは、一日で消えてしまいました。
そこの病院では8時にはリハビリ室の掃除を完了していなければいけませんでした。
しかも、帰宅するのは夜の10時過ぎ。
そこから2時間の仮眠をとって、朝までレポートと勉強。
それが月曜日~土曜日まで続く。
今思えば、舐めきって学生生活を送っていた僕に、お灸を添えるにはちょうど良かったのかもしれなません。
実習のお供にこれを持っていった
一人寂しく他県に行くということなのでこの漫画を持っていきました。
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そう!
スラムダンク!
このシーンが好きなんですよね!
あきめたらそこで試合終了だよ。
出典:スラムダンク8巻
この言葉がつらい実習を送る上で励みになりました。
バイザー(指導者)が2人という異例の事態
通常、一回の実習でバイザー(指導者)は1人です。
しかし、病院に行ったらバイザーが不在のためちがう人がバイザーにたてられていました。
なぜ、不在だったのか?
それは大人の事情(夏休み)ってやつです。
代わりのバイザーの先生も厳しく指導をしてくださいましたし、本来のバイザーの先生もそれ以上に熱を込めて指導してくださいました。
最終的には2人のバイザーからしごかれるはめに...
代わりのバイザーの厳しさといったら
代わりのバイザーの先生の名前は樋口先生(仮名)でした。
本当に指導がヤバかった…
患者様と話せば、「なんだその話し方は?」
検査をすれば、「なんだその検査の仕方は?」
知識の質問をされて答えられなければ、「勉強をもっとしてこい!」
そう。
その実習地は超絶に体育会系だったのです。
鬼コーチが僕のバイザー(指導者)になってしまったのです。
それでも僕は耐えました
スラムダンクのあの言葉のお陰で、どんなに怒られても、こころが折れず過ごすことが出来ました。
※今思えば、耐える以前にそもそも自分の社会性の低さが悪かったのかと思います。それを厳しく指導をしてくださったので今ではとても感謝しております。
そして、実習のメインイベント
症例報告会
右も左も分からない学生が患者様を検査し、考察も行い、治療プログラムを立て、それをプロの理学療法士達の前で発表をするものです。
まさにライオンの檻の中に入ったうさぎ状態です。
寝ずに作った発表原稿を読み、
発表後には、
「なんでそうなったのか?」というガゼルパンチをくらい。
他の皆様から「よくわからないんだけど」という嵐のテンプシーロールをもらい。
最後に主任から「長尾くんはさ~、結局何も分かってないんだよね」というハートブレイクショットを受け、K.O.したのを覚えています。
恐怖はまだ続いた
心身ともにボロボロになった僕にさらに追い打ちがありました。
バイザーの樋口先生(仮名)に呼ばれ、
「発表お疲れ様」
「もう色々まとまってると思うから明日までにレポート出しといてね」
と言われました。
レポート…!?
(当時問診・検査~治療プログラムを立案して考察するというレポートを1週間近くかけて10~20枚書くことになっていました。)
『いやいやいや、確かにある程度はまとまってるけれど、明日までにレポートを出せるほどまとまってませんけど!!』当時の僕はこのように思いました。
『むしろ発表で誠意いっぱいでレポートにしてまとめていませんけど!』
スペックの高い人なら余裕なんでしょうが、当時の僕には到底ムリな話でした。
※当時は発表をするために患者様の情報などをまとめた資料しか作っていませんでした。正式なレポートがこんなに早く提出することになるなんて思ってもいなかったのです。
でも、僕は諦めませんでした。
なぜなら、僕のバイブル本がこう言っているからです。
あきめたらそこで試合終了だよ
出典:スラムダンク8巻
そう『諦めたら、実習が終了だよ』になってしまうからです。
そして、夜10時に帰って、一睡もせずに16枚ほどのレポートを書いたのを覚えております。
死ぬほど頭を使いました。
人間やれば出来る事をその時に学びました。
※理学療法士の実習にはレポートが課せられます。完成したレポートを元に症例発表を行う施設が多いようですが、私がお世話になった施設では「発表」ができれば患者様の症状に対しての認識が深まる。その深まった状態で、文字にしてさらに考えを深めていくという目的で「症例発表」が終わってから「レポート」の作成を課せられるという指導法でした。そのため一概に私のような実習の流れとは言えませんので
ご了承ください。
そして、私はとんでもない過ちを犯してしまった…
翌朝、バイザーの樋口先生(仮名)にレポートを提出しました。
一睡もしていないので、早く帰りたかったのを覚えています。
まあ~、出来なんて最悪でしたよ。
なんせ、一日で書いたのですから。
見直しすらしてませんよ。
そして、帰りにバイザーの樋口先生(仮名)に呼ばれました。
案の定、こう言われました。
「やっぱり、レポートもよくわからないな~」
『そりゃ~そうですよ!発表ですらまとまってなかったんだから!!』
『それよりも早く帰らせてくださいよ!』という思いが当時強かったです。
そして、最後にこう言われました。
「ちょっとここ読んでみて」
!?
『えっ、なんで!?』と思いながら自分の書いたレポートを読み返しました。
それはレポートの最後に先生方と患者様の協力に対して感謝を綴った文でした。
そのレポートにはこのように書いてありました。
この度の実習に協力してくださった患者様及び関わってくださったスタッフの皆様、そしてご指導してくださった安西先生に深く感謝を申し上げます。
・・・
・・・
・・・
あ、安西先生・・・
安西先生!!!!!!!!!
そう、バイザーの先生の名前は樋口先生(仮名)だったのです。
あまりの疲労から僕は最後の最後でバイザーの名前を安西先生と間違ってしまったのです。
「これって、前の病院のバイザーの先生?」
と聞かれた時、僕は首を縦に振ることしか出来ませんでした…
その後の出来事はあまり覚えておりません。
きっと放心状態だったのでしょう。
安西先生、僕には実習への断固たる決意が無かったみたいです。
最後の最後に詰めが甘かったようでした。
断固たる決意が必要なんだ!!
出典:スラムダンク 25巻
この決意は間違いなく必要ですね!
終わりに
今思い返せば、なんという失態だったのかと深く反省しております。
当時は嫌で嫌で仕方がなかった実習。
しかし、思い返せばそれが僕の土台となっております。
そして、理学療法士という仕事の素晴らしさをその実習があったおかげで学ぶことができました。
ご指導くださった先生には大変感謝をしております。本当に名前を間違えてすみませんという気持ちでいっぱいです。
そして、ネタにしてしまって申し訳ありません。
これから理学療法士の実習を受けられる皆様へ。
どれだけ疲れていても、どれだけ眠くても、最後の最後まで頑張り続ける断固たる決意が実習には必要なんです!
これぐらいの事僕は皆様にお伝えすることができません。
ちょい足し
僕のバイブル本(マンガ)です!
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実習は大変ですが、その先には「理学療法士」という素晴らしい仕事が待っています。
諦めずに頑張ってください!