肩・背中のこり

「肩甲骨の内側」が痛くて息苦しくなる3つの原因を解説

日本人の多くが首こりや肩こり、背中の痛みで悩んでいる。

特に

  • 肩甲骨の内側が痛い。
  • 息苦しい感じが出る。

などの訴えをされる方もいる。

年齢を重ねていくと不思議と肩甲骨の内側が痛くなってしまう傾向がある。

特に30代を皮切りにそのような訴えをされる方が増加してくる。

年々身体は衰えていく。

それに加え、便利な世の中になったため現代人の運動量は減少するばかりだ。

今回は「肩甲骨の内側」がなぜ痛くなるのか?なぜ息苦しくなってしまうのか?

その原因について解説していく。

動画:肩甲骨の内側が痛い原因BEST3

※ 記事を読む時間が取れない方には以下の動画もオススメ。動画の中では肩甲骨の内側の痛みの原因をZen繕が詳しく解説しております。YouTubeチャンネル「柔YAWARA」ではお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズや役に立つサポーターを定期的に紹介しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。

※先に肩甲骨の内側の痛みの解消方法について知りたい方はこちらの記事をご参考にしてください。

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肩甲骨の内側の痛みの3つの原因

肩甲骨の内側が痛くなってしまったり、息苦しくなってしまう原因は、以下の3つが挙げられる。

  1. 肋横突関節(肋骨の関節)による痛み
  2. 心理的・社会的・肉体的ストレス
  3. 内臓の関連痛

一般の方にとってはいまいちピーンと来ないと思うが、これらについてまず解剖学的な構造を踏まえて分かりやすく解説していく。

肩甲骨の内側にはなにがあるのか?

解剖学的に、「肩甲骨の内側」には何があるのかをご存じだろうか?

原因をお伝えする前に身体の構造を分かりやすくお伝えする。

人の背中には『背骨』や『肩甲骨』がある。

しかし、あまり知られていないが実は「肋骨」も存在しているのだ。

一般の方には「肋骨」は前にしかないと思い込んでいる人がほとんどである。

実際に人間の肋骨を見てみよう。

肋骨を前から見るとこのような感じだ。

肋骨の関節

横から見るとこのような感じになる。

肋骨というのは前から後ろへ向かってるのが分かる。

肋骨の関節

そして下の写真が、肋骨が肩甲骨の内側にあるという証拠となるものだ。

肋骨の関節

ちなみに肋骨は呼吸に応じて前後や上下に動いている。

試しに胸や脇に手を当てて深呼吸をすると分かりやすい。

肋骨が動いていることが触知できるはずだ。

この肋骨の動きがあるので、人は呼吸をする事が出来るのだ。

肋骨の動き

息を吸う時は肋骨が膨らむ。

肋骨の動き

息を吐く時は肋骨が縮まる。

肋骨の動き

もちろん肩甲骨の内側には肋骨以外にも、その上に筋肉も多数存在している。

代表的なものが、「僧帽筋」や「菱形筋」と呼ばれる筋肉だ。

菱形筋・僧帽筋

実際の人間にその筋肉を描いた写真がこちらだ。

肩甲骨・僧帽筋

肋横突関節(肋骨の関節)のトラブルが肩甲骨内側痛や息苦しさを出す最大の原因だ!

ポイント

肋横突関節(肋骨の関節)が「動かなくなる」「傷がつく」ことで肩甲骨の内側に痛みを出してしまう。

肩甲骨の内側の痛みが出た時、多くの方は「僧帽筋」や「菱形筋」などの『筋肉』がおかしくなっているからだと考えがちだ。

しかし、それは間違いである。

前述した肋横突関節(肋骨の関節)の動きのトラブルによって痛みを出してしまうのだ。

肋横突関節

理由としては、肩甲骨の内側の痛みや息苦しさを感じている人のほとんどは『深部かつピンポイントで痛みが出る』という訴えをされるからだ。

もし、「僧帽筋」や「菱形筋」が原因であるのならば、表面かつ広範囲に痛みが出ているはずだ。

なぜなら実際の僧帽筋の厚さは平均で7.1mmであるからだ。

僧帽筋や菱形筋は比較的薄い筋肉である。
参考文献:ヒト棘腕諸筋の筋線維構成について

つまり、場所的に『深部かつピンポイントで痛みが出る』という訴えに一致しないのだ。

そう考えると、筋肉以外の組織が原因部位であると考えたほうが良い。

この事から筋肉の痛みではなく、その深部に位置している肋横突関節(肋骨の関節)の痛みと考えた方が賢明である。

運動不足・固まって仕事をしている人に肋横突関節(肋骨の関節)の痛みが出やすい。

ちなみに「肩甲骨の内側の痛み」の原因である肋横突関節(肋骨の関節)のトラブルは以下のような方に生じやすい。

痛みが出やすい人

  1. スーツやタイトな服を着ている事が多い人。
  2. デスクワークの時間が長く、背中が丸まっている人。
  3. 歩いたり、走るなどの有酸素運動をする事機会が少ない人。
  4. 同じ方向ばかり向いて寝ている人。

上記のような特徴がある人は、共通して呼吸が浅くなっていることによって、肋横突関節(肋骨の関節)に負担をかけて痛みを引き起こしている。

理由としては人の関節は「動かなくなる」と痛みが出やすくなるという特徴があるからだ。

つまり呼吸が浅くなり、肋骨が動かなくなると、痛みの原因となってしまうのだ。
参考文献:不動に伴う痛み発生メカニズムの探索─皮膚組織に着目して─

ストレスは肋横突関節(肋骨の関節)の痛みを助長する原因となる

実は過度なストレスも「肩甲骨の内側の痛み」に深く関わっている。

このストレスとは心理的なストレスや社会的なストレス・肉体的なストレスなども含まれると思っていい。

背中や腰には交感神経が走っている。

この交感神経の活動が活発になると筋肉が硬くなる性質がある。

例えば、怒っている人を想像していただきたい。

「いかり肩」がその代表例だ。

これは「怒る」→「交感神経の活動が高まる」→「肩回りの筋肉が硬くなる」という一連の結果である。

そして厄介なことに、肩回りや背中まわりの筋肉が硬くなってしまうと、先ほど説明したように「肋横突関節(肋骨の関節)」の動きが悪くなり、肩甲骨の内側に痛みを出す原因となってしまうのだ。

つまり、ストレスによって交感神経の活動が高まり、「肩甲骨の内側に痛み」や「息苦しさ」も出てしまうのだ。

ただでさえ、デスクワークなどで肋横突関節(肋骨の関節)に負担をかけている人が、ストレスを抱えてしまうと負の連鎖が生じるので、注意が必要だ。

内臓の関連痛による肩甲骨内側の痛み

内臓の関連痛には要注意!

ごく稀に内臓のトラブルで肩甲骨の内側に痛みでる場合がある。

いわゆる『内臓の関連痛』である。

この内臓の関連痛の特徴としては、

寝ていても座っていても、何もしていなのにドーンとした鈍痛がある。ズキズキとした鋭利な痛みがある。

このような症状がある方はすぐに医療機関への受診をオススメします。

特に左の肩甲骨の内側や背中・腕にかけての痛みは心臓系のトラブルが起きている可能性があります。

また右の肩甲骨の内側周辺の痛みでは肺や気管支系のトラブルが起きているの可能性があるので注意が必要だ。

「肩甲骨内側痛」は動かして改善しよう!

内臓の関連痛でなけらば、「肩甲骨の内側痛」のほとんどの原因が肋横突関節(肋骨の関節)のトラブルである。

それを改善するためには、肋骨の動きを改善していく必要がある。

具体的には 

  • ウォーキングやランニングなどの有酸素運動で呼吸数を増やす。
  • ネクタイを締めている方は緩める時間を作り、呼吸しやすくする。
  • 肩や背中周りの体操を行い、肋骨の動きを改善する。

※具体的な肋横突関節(肋骨の関節)の改善方法に関してはこちらの記事がお役に立ちますので是非ご参考にしてください。

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参考にした文献

・SJF関節ファシリテーション第2版 編者 宇都宮初夫 発行者 池田和博 発行所 丸善出版株式会社 p314ー315
・関節内運動学 4D-CTで解き明かす 著者 片岡寿雄 発行所 株式会社南江堂 P15 l7-15
ヒト棘腕諸筋の筋線維構成について
不動に伴う痛み発生メカニズムの探索─皮膚組織に着目して─

まとめ

今回は「肩甲骨の内側の痛み」や「息苦しさ」の原因に関して解説した。

POINT

  • 肩甲骨の内側の痛みの原因は、肋横突関節(肋骨の関節)の動きのトラブルがほとんどである。
  • 心理的なストレスや社会的なストレス、肉体的なストレスは肋横突関節(肋骨の関節)のトラブルを助長し、肩甲骨の内側の痛みを悪化させる原因となる。
  • 内臓の関連痛による「肩甲骨の内側の痛み」もあるので要注意。

デスクワークされている方や工場勤務、過去に事故にあわれた肩などに「肩甲骨の内側の痛み」や「息苦しさ」が出やすい傾向だ。

これはほとんどが生活習慣に起因している。

全く動かなくなることで肋横突関節(肋骨の関節)の動きがおかしくなり、痛みを出してしまうのだ。

「肩甲骨の内側に痛みがある」「息苦しさ」がある方はぜひ肩や背中周りの体操や有酸素運動を積極的に行っていこう。

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