理学療法士の長尾です。今回はは変形性膝関節症になるとなぜ膝が痛くなってしまうのか?について解説していきましょう!
変形性膝関節症になると、膝が痛くなってしまうのは「軟骨が潰れてしまうから」と多くの人が考えらています。しかし、正常な軟骨には神経や血管がないのです。もちろん、半月板にも体重がかかるところには神経や血管はありません。
つまり、軟骨自体がつぶれるだけでは、痛みがでないのです。では、なぜ変形性膝関節症になってしまうと膝が痛くなってしまうのでしょうか?理由は傷ついた軟骨に血管や知覚神経が侵入してくるからです。
そこで今回の記事を見ていただくと以下のことが分かります。
この記事を読むと分かること
- 神経のない軟骨がつぶれるとなぜ膝が痛くなるのか?その理由が詳しく理解できる。
- 膝が痛い時はどうしたらよいのか?具体的な対処法が分かる。
変形性膝関節症になるとなぜ痛みがでてしまうのかを知っておくことはとても大切です。なぜなら、痛みのメカニズムを知っておけば、どのように対処すればよいのかが理解できるからです。そのため、今回の記事では変形によって膝に痛みがでてしまう理由について詳しく解説していきますので是非最後までお付き合いください。
こちらの記事は以下の参考文献をもとに書かれています
【関連動画】変形性膝関節症➂なぜ痛くなるのか?実は丸まるが原因だった!
記事の内容はこちらの動画でも解説しておりますのでぜひご覧ください。
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膝が変形すると痛くなってしまう理由➀:神経・血管の侵入がおきるから
膝が変形すると痛みが出てしまう理由の1つ目が、関節の軟骨に血管や知覚神経が侵入してくるからです。少し難しく思うかもしれませんが、理由を簡単に説明していきます。その前に、まず膝の構造についてみていきましょう。
膝の構造は主にこの4つからできています。
- 上下の骨(上:大腿骨 下:脛骨)
- 関節軟骨
- 関節包(内側に滑膜)
- 半月板
前述した通り、正常な軟骨には神経や血管が存在しておりません。そのため、正常な膝の軟骨では痛みが出ないのです。しかし、加齢や体重増加などで関節の軟骨に負担がかかり傷がついてしまうと、知覚神経や血管が軟骨の内部に潜り込んできます。
分かりやすく解説すると、次の通りとなります。
- 加齢や体重増加などで関節の軟骨に傷がつくと、関節軟骨に血管や神経が潜り込む。(血管や神経が新たにできる)
- 関節軟骨に血管を伸ばすことで、壊れた軟骨に栄養を与え修復を促す。
- 神経をのばしてその部分に痛みが出やすくする。そして、負担をかけないようにする。
つまり、加齢や体重増加などで膝の軟骨に傷つけてしまうと、軟骨を回復させるために新たに血管や神経ができるのです。もともとなかった神経が新たにできるので、体重がかかると膝に痛みがでてしまいます。それが膝の変形による痛みの理由となります。
膝が変形すると痛くなってしまう理由➁:滑膜の炎症がおきるから
膝が変形すると痛みが出てしまう理由の2つ目が、滑膜に炎症が起きてしまうからです。前述した通り、加齢や体重増加などで関節の軟骨に負担がかかると傷がついてしまいます。壊れた関節軟骨は関節の中に飛び散るそうです。
飛び散った関節軟骨は、滑膜に吸収されてきれいに掃除されます。しかし、壊れた関節軟骨を吸収することで滑膜は炎症を引き起こしてしまうんのす。これが滑膜炎です。
滑膜炎が起きてしまうと膝の曲げ伸ばしで痛みがでやすくなります。それだけでなく、膝に水がたまり、膝の筋肉が細くなりやすいと言われております。
また文献によれば、
滑膜炎の程度は軟骨変形の程度とは必ずしも一致せず、むしろ早期の変形性膝関節症で滑膜炎の程度が強い傾向にある
と報告されております。
つまり、滑膜炎による膝の痛みは変形の初期で発生しやすいという事になります。
ここまでをまとめると、滑膜炎による膝の痛みは次の流れで発生します。
- 加齢や体重増加などで関節軟骨に傷がつく。
- 関節軟骨の破片が滑膜炎を引き起こす。
- 滑膜炎がおきてしまうと膝に水がたまりやすくなる。
- 滑膜炎は膝の筋肉を細くしてしまう。
- 膝の曲げ伸ばしで膝に痛みが出やすくなる。
膝が変形すると痛くなってしまう理由➂:半月板にも血管や神経が侵入するから
膝が変形すると痛みが出てしまう理由の3つ目が、半月板にも血管や知覚神経が侵入してしまうからです。変形性膝関節症の人の半月板を調べてみると、関節の軟骨の時と同じく、神経や血管が通るトンネルができていたという報告があります。
また最近では内側の半月板の後ろ側で損傷がおきると、変形性膝関節症を進行させる要因になってしまうと言われております。
膝は、平地を歩いているだけでも体重の約3倍ほどの負担がかかっております。階段や坂道になると、体重の9倍ほどの負担が膝にかかってしまうそうです。特に内側半月板の後ろ側は、階段をおりる時など、膝が軽く曲がった状態で強い衝撃を受ける事で損傷が起こりやすい場所です。
もし平地を歩く時に、膝が伸びなかったらどうなるでしょうか?常に半月板の後ろ側に負担がかかって、半月板を傷つけてしまう原因となります。そして、半月板の中にも神経が新たに出来て、痛みの原因となってしまうのです。
ここまでをまとめると、
- 半月板は体重がかかる部分には神経がないため、正常なら痛みを感じない場所。
- 半月板に傷がつけば、神経や血管が新たにできる。
- 体重がかかる部分にも知覚神経が潜り込むと、歩く時や階段の昇降り痛みを感じてしまう。
どうして膝が変形してしまうのか?実は○○が細くなってしまうから!
膝が変形すると痛みが出てしまう3つの理由を解説しましたが、そもそもなぜ膝が変形してしまうのでしょうか?色々な文献の知識と私の現場での経験を踏まえて、推論を述べていきます。あくまで、私の個人的な考えなのでご参考までにとどめておいてください。
変形性膝関節症になってしまう原因、以下の流れが考えられます。
➀内側広筋の筋力低下がおきるから
まず運動不足や加齢などによって、内側広筋が細くなってしまいます。内側広筋は膝を伸ばすために必要な筋肉です。つまり、内側広筋が細くなると膝が伸びなくなってしまいます。
膝が伸びないと、構造上膝は内側に入ってしまい膝に負担をかけてしまうのです。この段階が膝の変形の初期の過程と考えられます。
➁膝が内側に入りやすくなり半月板に負担がかかるから
膝が内側に入ってしまうと膝の内側の筋肉や靭帯などで、膝を支えるようになり、しまいには半月板に負担がかかってしまいます。
ここで着目したいのが、
- 膝が軽く曲がっていること
- 膝の内側の筋肉で膝を支えている状態
という事です。
半月板の章でも解説しましたが、膝が伸びなければ半月板の後ろ側に負担がかかり傷がついてしまいます。そして、膝に負担がかからないように「半膜様筋」が頑張ってしまうのです。半膜様筋は半月板の後ろ側につく筋肉です。
つまり、膝が内側に入るのを防ぐために半膜様筋に負担がかかってしまうと、半月板にも傷がつきやすくなるのです。半月板に傷がつけば、血管や神経が新たに出来てしまいます。最終的には、膝に痛みがでやすくなってしまうのです。
➂膝の関節軟骨や半月板に傷がつくと変形が進んでしまう
膝の関節軟骨や半月板に傷がつくと変形が進んでしまいます。なぜなら、関節軟骨や半月板に血管や神経が通るための穴が空いているからです。
例えば、スポンジって無数の穴があいてますよね?だから、すぐに潰れてしまいます。
それと同じで膝の軟骨や半月板に穴が空いていると潰れやすくなるのです。そして、O脚変形をおこし、さらに膝の痛みが強くなってしまいす。
膝の変形による痛みの対処法はこの2つを行え!
変形性膝関節症による膝の痛みがでてしまったら、「内側広筋の筋トレ」と「膝のサポーターによる保護」が重要です。それぞれ簡単に解説していきます。
膝の変形を進行させないために内側広筋の筋トレを行おう!
変形によって膝に痛みがでている場合は、「内側広筋の筋トレ」を行う事が大切です。なぜなら、膝を伸ばして負担がかからないようにしてくれるからです。
前述した通り、内側広筋が細くなってしまうと「膝が伸びない+膝が内側にはいる」現象が起きてしまいます。そして、負担をかけて膝に痛みがでてしまうのです。その負の循環を断ち切るためには内側広筋を筋トレしていく事が重要となります。
方法は以下の通りとなります。
方法
- 膝の下にクッションを入れる
- 膝の内側にある内側広筋を触りながら3秒間クッションをつぶす
- 回数は1日10回を目安に行おう
このような簡単なトレーニングだけでも内側広筋を鍛える事ができて、膝の痛みが改善につながります。
膝のサポーターで保護することも大切
変形によって膝に痛みがでている時は、膝のサポーターで保護することがなによりも大切です。なぜなら、膝に痛みがある時は、腫れが起きて膝が伸びなくなっているからです。
前述した通り、膝が伸びなければ負担がかかり痛みを引き起こしてしまいます。痛みが続けば、内側広筋がより細くなってしまうのです。その悪循環を断つためにも、膝のサポーターで保護をして、膝に負担がかからない環境にすることが重要となります。
そのため、変形による膝の痛みがある方はぜひ膝のサポーターをご活用ください。
まとめ
今回は膝が変形するとなぜ痛みが出てしまうのか?について詳しく解説しました。
POINT
- 膝が変形してしまうと関節の軟骨に新たに神経ができて痛みがでるようになる。
- 関節の軟骨に負担がかかると軟骨の破片が関節内に飛びちる。そして、軟骨の残骸を滑膜が吸収することで滑膜炎が起きて膝痛が起きる。
- 軟骨や半月板にできた神経や血管の穴によって、より膝の変形が進んでしまう。
膝の関節軟骨に傷ができると修復するために血管が新たに作られます。そして、その部分に負担をかけないように神経も作られるようです。
つまり、「修復させるために負担をかけないでくれ!」という反応が膝の痛みなのです。その観点で考えれば、膝に負担をかけないようにする事が最優先事項となります。
負担をかけないためにも、まずは膝のサポーターを活用することが重要です。そして、同時進行で内側広筋も鍛えていくとより膝の痛みの軽減につながるので、膝の痛みが強い方は是非実践してください。
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