ボールを投げる時に『肩の前方』が痛くなる原因は『上腕二頭筋長頭腱炎』だ!

投稿日:2020年4月27日 更新日:

上腕二頭筋長頭腱炎野球肩

肩の痛み

この記事で分かる3つの事

  1. 野球をされていて肩の前方が痛い人。
  2. 投擲種目(とうてきしゅもく)などでボールを投げると『上腕二頭筋』が痛くなる人。
  3. 日常生活で肩の前方が痛くなってしまった人。

今回の記事では『YouTube』のコメント欄からいただいた『野球でボール投げる時に肩の前方に痛みが出てしまう。』というご相談に対してお応えしている記事となる。

もし野球等で同じお悩みをお持ちの方がいらっしゃれば是非ご参考にしていただきたい。

ちなみにご相談内容は以下の通りとなる。

ボールを投げると痛みが出て筋肉痛と共に腕を動かすのもしんどいくらいになります。一週間もすると痛みはなくなりますが動きが悪いです。投げて痛くないときもあります。調べてもらっても特に目立ったところはないと言われます。

引用:【インピンジメント症候群#1】インピンジメント症候群とは?肩を痛めてしまうメカニズムを解説

この方(A様)と何回かやり取りを行い、詳しく問診を行った。

結論から言うと『上腕二頭筋長頭腱炎』もしくは『上腕二頭筋長頭腱の損傷』が考えられる。

『上腕二頭筋長頭腱炎』というのは野球をはじめとしたボールを投げる種目をされている方に多く発症する。

どうしてA様の『野球でボール投げる時に肩の前方に痛みが出てしまう。』という訴えが『上腕二頭筋長頭腱炎』と判断されるのか?

またどのようにボールを投げると肩の前方が痛くなる『上腕二頭筋長頭腱炎』を改善していくのか?

これらの「理由」と「改善方法」について詳しく解説していく。

※限られた情報で考察をしております。また、実際に触っておりませんので、この考えで確実に改善していくという保証はございませんのでその点だけはご了承ください。ですが、改善の為の一つの考えとしてお役に立つはずですのでよろしくお願いいたします。

※柔YAWARAがこちらの動画内でボールを投げた時に肩の前方が痛くなってしまう『上腕二頭筋長頭腱炎』の原因について詳しく解説しております。

YouTubeアイキャッチ

YouTubeからいただいたA様のご症状について

YouTubeからコメントをいただいたA様と何度かやりとりを行い、問診しながら得られた情報が以下の通りだ。

A様のご症状

  • 野球でボール投げる時に肩の前方に痛みが出てしまう。
  • 腕が加速する時にガツっとした意味が出る。
  • 投げ終わったあとは腕が上がらないのでシャンプーがない、シートベルトが取れなくなる。
  • 痛みは1週間ほど続いて改善する。
  • レントゲン・MRIを撮っても軽い炎症程度で目立った損傷はない。。
  • 過去に分離症・左足の捻挫を経験されている。

A様の『既往歴(過去に経験されたケガ)』としては、「腰椎分離症」と過去に「左足首のひどい捻挫」がある。

A様の希望としては「毎回痛みがなく、ボールを投げられるようになりたい」とのことだ。

ボールを投げると肩前方の痛みがでる原因は『上腕二頭筋長頭腱炎』だ

A様の肩の前方痛の原因について

A様のボールを投げる時の肩の前方痛の原因は、「投球動作」で腕が加速する時に痛みが強くなるという事から、「上腕二頭筋の長頭腱炎」が考えられる。

上腕二頭筋長頭腱
※写真は上腕二頭筋長頭腱を示しています。

この理由について

  1. 肩の骨と筋肉の構造。
  2. 野球の投球動作によって負担がかかる場所。
  3. 問診より予想できる損傷部位。

の観点から解説していく。

『肩の骨と筋肉の構造』から考えられるボールを投げると肩前方の痛みがでる原因について

ではなぜ『上腕二頭筋長頭腱炎』がA様に起きているかというと、それは『上腕骨の構造』にある。

上腕骨には『結節間溝(けっせつかんこう)』と呼ばれる『上腕二頭筋長頭腱』が通る溝がある。

結節間溝

実は投球動作の加速する時期は、この『結節間溝』と『上腕二頭筋の長頭腱』が非常に擦れやすくなっている。

上腕二頭筋長頭腱が擦れる

そして、この『結節間溝』は肩の前方にあることから、A様が訴えられているボールを投げる時の肩前方痛と場所が同じだと予想できるので『上腕二頭筋長頭腱炎』の可能性が高い。

『野球の投球動作』から考えられるボールを投げると肩前方の痛みがでる原因について

投球動作の加速する時期だけでは、一般の方には分かりづらいと思う。

そこで野球の投球動作を一般の方にも分かりやすいように『3つのフェーズ』に分けてみた。

  1. 構えてから片足立ちになリ、片足立ちになってからボールを投げる準備をするフェーズ(コッキング期)。※1。
  2. ボールをリリースするまでに加速するフェーズ(アクセレレーション期)。※2
  3. ボールをリリースした後に勢いを弱めるフェーズ(フォロースルー期)。※3

※1:コッキング期

コッキング期

※2:アクセレレーション期

アクセレレーション期

※3:フォロースルー期

フォロースルー期

A様に訴えから、2つ目の腕を加速させるアクセレレーション期にトラブルが生じているという事になる。

このフェーズに多いトラブルが、実は『肩のインピンジメント症候群』で腱板とよばれる筋肉の腱を損傷すること。

そして、『上腕二頭筋の長頭腱』を損傷することだ。

A様からの問診では、「投げる時に肩の前方が痛い」、「かつっとした鋭い痛みでる」という情報を得られている。

このことから「上腕二頭筋長頭腱」の損傷が予想できる。

なぜなら、ボールを投げる時の『アクセレレーション期』に「肩の回旋動作」が発生する。

「肩の回旋動作」によって結節間溝と上腕二頭筋長頭腱がこすれ、摩擦が生じることで痛みを誘発してしまう原因となるのだ。

もし仮に『インピンジメント症候群で腱板が損傷している』のが原因であれば、肩の外側(腱板が上腕骨についている側)に痛みが出る。

そのため、『インピンジメント症候群で腱板が損傷している』可能性は低いと予想できる。

『問診』から考えられるボールを投げると肩前方の痛みがでる原因について

またA様との問診にて得られたキーワードがある。

A様の問診

  • ボールを投げ終わった後は腕を動かせない。
  • シャンプーやシートベルトも取れない。

このような訴えから、「肘を曲げ伸ばしする動作」や「肩を外に回旋させる動作」を行う筋肉にトラブルが考えられる。

「上腕二頭筋」の筋肉の作用として「肘を曲げる」「肩の動きを補助する」という役割がある。

つまり、「上腕二頭筋」を使う動作で痛みが出ていることになる。

その為、『上腕二頭筋長頭腱炎』の損症がかなり濃厚だと考えられる。

この『上腕二頭筋長頭腱炎』もしくは『上腕二頭筋長頭腱の損傷』のケースで最悪なのが『上腕二頭筋長頭腱の断裂』です。

確認方法としては、力こぶを左右比較して痛めている方が下がっていれば、断裂している可能性が非常に高い。

A様に確認した所、この現象が起きていなかった。

もしこの記事を読まれている方で力こぶが下がっているようでしたら、この続きを読まずにすぐ整形外科への受診をお勧めする。

A様に『上腕二頭筋長頭腱炎』が起きている理由

では、なぜA様はボールを投げる時に「上腕二頭筋の長頭腱」が痛くなってしまうのだろうか?

結論は『ボールを投げるという動作が円滑に行えず『手投げ』になっているので「上腕二頭筋の長頭腱」に負担がかかってしまう』という事だ。

肩の痛みに関しては時間をおけば、「自然治癒力」にて改善してくる。

しかし、上記の問題を解決しないと投球を再開すればすぐに痛みが再発してしまう。

今から、なぜ「上腕二頭筋の長頭腱」が痛くなるのか?という原因について、身体のメカニズムを熟知している「理学療法士」としての見解を記載していく。

身体のメカニズムから考えると投球動作を見る上で重要なポイントが2点ある。

投球動作のPOINT

  1. 土台である「足の機能」。
  2. 身体の回旋を生み出す「体幹の機能」。

もし上記の2つの機能がうまく働いていなければ、腕で投げようとして、肩に負担がかかってくるようになる。(いわゆる腕投げと呼ばれる投げ方。)

A様に関しては、過去に「左足のひどい捻挫」や「腰椎の分離症」という既往歴をお持ちなので、このケースが考えられる。

つまり、以下のように「上腕二頭筋の長頭腱」に負担がかかるメカニズムを考察できる。

肩前方痛を出すメカニズム

  1. 投球時に踏み込んだ際、左足が安定しない。
  2. 体幹を回旋して投げたいのに上手く体幹が回旋してくれ、肩の力に依存している。
  3. 上記の結果、上腕二頭筋の長頭腱に負担がかかり炎症が生じる。
  4. 炎症による痛みで投げれなくなる。

投球時に痛くない時もあるようだが、おそらくそのような時は左足や体幹がしっかり安定している状態だと考えられる。

参考文献:早期コッキングでの肩関節肢位は投球側肩関節可動域に影響を与えるか

上記の考察した問題を解決しなければ、ボールを投げると肩の前方が痛くなる『上腕二頭筋長頭腱炎』が改善されないと考えられる。

ボールを投げる時の肩前方痛(上腕二頭筋長頭腱炎)を改善する為の方向性について

上腕二頭筋長頭腱炎の改善方法

  1. 肩の安静による上腕二頭筋長頭腱の回復。
  2. 体幹の回旋の動きと足首の安定性の改善。

まず最優先にしなければならないのが患部である肩を安静に保つ事だ。

日常生活でも肩が痛いようなら安静に保ち、組織の修復を促していく事が再重要。

1週間程度で痛みが落ち着くという事は、そこまでひどい損傷ではないと考えられる。

しかし、まずは痛みがない状態まで持っていくことから始めなければならない。

その為、もし野球をされる際は痛みが出るような力強い投球を控えるべきである。

そして、痛みが出ないキャッチボールから開始していく事が大切だ。

次に投球に必要な『体幹の回旋の動き』や『足首の安定性』を改善していくべきである。

そのようにする事で、肩への負担を相対的に軽減させていく事ができるからだ。

※『体幹の回旋の動き』や『足首の安定性』の改善についてはこちらの記事にて詳しく解説しております。ボールを投げる時に肩の前方が痛くなってしまう方はぜひご覧ください。

アイキャッチ
『野球肩』で肩前方痛を改善させる為には患部の安静と投球動作を改善せよ!

この記事はこのような方にオススメ 野球をされていて肩が痛く改善されたい人。 投擲種目で肩が痛く改善されたい人。 日常生活 ...

続きを見る

まとめ

今回はA様の「ボールを投げる時に肩の前方が痛くなる。痛みがなく投げるようにするためにはどうすれば良いのか?」というご質問にお応えする形で記事を作成した。

POINT

  • ボールを投げる時に肩の前方痛が出る原因は『上腕二頭筋長頭腱炎』や『上腕二頭筋長頭腱の損傷』が考えられる。
  • 投球のアクセレレーションで肩に負担がかかることで『上腕二頭筋長頭腱炎』や『上腕二頭筋長頭腱の損傷』が発生する。
  • 身体の土台である『足首』や投球動作に必要な『体幹の回旋の動き』に問題があると肩への負担が過度に増加し『上腕二頭筋長頭腱炎』や『上腕二頭筋長頭腱の損傷』が発生しやすくなる。

A様のように肩の痛みで投球動作が困難になっている方は非常に多い。

多くの方が、その痛みを我慢されてボールを投げ続けたり、痛みの問題点が分からないままストレッチを行ったりしている。

だが、そのような行為は肩の内部の組織をより傷つけ、治癒を遅くしてしまう。

治癒を遅くしない為にもボールを投げる時の肩の痛みの問題をしっかり特定するべきである。

そして、ボールを投げる時の肩の痛みを出す原因に対してアプローチしていかなければならないことを覚えておこう。

長尾 龍男
この記事を書いた人 : 長尾 龍男

愛知県岡崎市在住。整体院柔YAWARAを設立した理学療法士。柔YAWARAにて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

Copyright© 健康増進メディア『柔 YAWARA』|愛知県岡崎市で理学療法士が立ち上げた整体院が運営するメディア , 2020 All Rights Reserved Powered by STINGER.