肩インピンジメント症候群の第2期は愛護的に動かす事が改善の近道!

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インピンジメント症候群第2期の改善方法アイキャッチ

肩の痛み

肩を挙げると痛みが出てしまう。

そのような方に多いのが、インピンジメント症候群である。

この肩のトラブルは症状の時期に応じた改善方法をとっていく事が大切である。

特に今回の記事でご紹介するインピンジメント症候群の第2期:線維化と肥厚の時期は『愛護的』に肩を動かす事が大切になってくるのだ。

多くの方が、この時期に痛みは引いたけれど肩の動きが悪くなったと心配されて無理矢理に動かし、症状を悪化させてしまっている。

それもそのはずである。

修復途中の肩に対して無理矢理動かそうとすれば組織は再損傷を起こし痛めてしまうのは目に見えている。

その為、今回はインピンジメント症候群の第2期:線維化と肥厚の時期にどのような改善方法をとっていかなければならないのか?について解説していく。

肩のインピンジメント症候群はどのような症状か?

英語ではインピンジメントとは、衝突・挟み込みという意味がある。

肩のインピンジメント症候群とは、肩甲骨の肩峰と上腕骨の間にある「腱板」や「滑液包」と呼ばれる組織が挟み込まれ損傷してしまうものを指している。

また前述したように「腱板」や「滑液包」が挟み込まれるものをエクスターナルインピンジメントと呼び、肩甲骨に付着する「関節唇」と呼ばれるものが挟み込まれるものをインターナルインピンジメントと呼んでいるそうだ。

参考:肩インピンジメント症候群

また特定の原因が判明していない為、「症候群」という名前が付けられている。

筆者の臨床経験ではインピンジメント症候群の主な原因は『体幹の柔軟性』および『肩関節の組織の劣化』による肩関節の動きの不具合によるものが多いと考えられる。

加えて、痛みが出てからの対処の仕方が暴力的であると症状がより一層悪化する方が多いように感じる。

以前こちらの『インピンジメントとは?どのような症状を呈するのか?』という記事にて詳しく解説しているので是非ご参考までにご覧になっていただきたい。

インピンジメント症候群とは?アイキャッチ
肩のインピンジメント症候群とは?腱板の劣化と体幹の硬さが原因!?

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肩のインピンジメント症候群の第2期『線維化と肥厚』の時期の改善方法

Neerは肩の『インピンジメント症候群』をこのように言っている。

肩のインピンジメント症候群とは、肩を挙げていく過程で引っ掛かる感じや痛みが生じてしまう症状である。

また以下のような3つの時期に分類をしている。

  • 第1期:腱板の浮腫と出血
  • 第2期:線維化と肥厚
  • 第3期:腱板断裂と骨変化

参考:肩診療マニュアル 第3版 著者 橋本淳 信原 克哉 発行所 医歯薬出版株式会社 p29ー32、p95

まずは『第2期:線維化と肥厚』の時期について簡単に解説していく。

インピンジメント症候群によって肩の内部が損傷してしてしまうと、炎症が生じる。

これは、第1期:腱板の浮腫と出血の時期に相当する。

分かりやすく『紙』を組織に例えると、紙が破れてしまう時期である。

組織の損傷

人間には自然治癒力があるので傷ついた組織は修復をしようとする。

この時、傷ついた組織が重なり合い修復をする。

これが線維化と肥厚と呼ばれる時期である。

紙で例えれば、のりしろ部分が出来て紙同士がくっつく時期である。

のりしろ部分ができる

破れる前の紙とのりしろ部分が出来た紙を比べてみよう。

明らかにのりしろ部分によって、長さが短くなっていることが分かるはずだ。

のりしろ分組織が短くなる

これは組織でも同じ事が言える。

つまり、第2期:線維化と肥厚の時期の組織は傷を修復しようとして、組織自体が短くなっている状態になっているのだ。

言い換えれば、関節が必然的に硬くなってしまう時期でもある。

時期的には痛みが出てから1〜2ヶ月以上経過した状態である

もし痛みが半年以上続いている方は、痛みが終息してからの時期に相当する。

この時期のPOINTとしては、『愛護的に動かして組織を元の長さに戻す』という事である。

硬くなったのだから、柔らかくしなければならないと、勘違いをし暴力的に動かしてしまう方がいるのだが、これはかえって症状が悪化してしまうので決してやってはいけない行為である。

再度お伝えする。

この時期は

  • 痛みがない範囲で動かす。
  • 突っ張り感が出ない範囲で動かす。

といったように愛護的に動かして組織を元の長さに戻していかなければならない。

上記の点を注意していただき、以下に解説している改善方法を行なっていこう。

改善方法は

  1. 肩が90°以下しか挙がらない方向け
  2. 肩が90°以上挙がる方向け

に分けてご紹介しているので状態に応じて試していただきたい。

※記事を読む時間が取れない方には以下の動画もオススメです。 柔YAWARAが動画の中でインピンジメント症候群の第2期:線維化と肥厚の時期の改善方法を解説しております。YouTubeでは柔YAWARAによく寄せられるお身体のトラブルについて、それを解消するためのエクササイズを定期的に紹介しておりますので、是非チャンネル登録もよろしくお願いします。



※もし痛みがまだ続いているようなら、こちらの記事で紹介しているエクササイズよりも前回解説したインピンジメント症候群炎症期の改善方法を実践していただいた方が有効的だ。下記の記事をご参考にしてください。

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インピンジメント症候群で肩が90°以下しか挙がらない方向けの改善方法

肩が90°以下しか挙がらない方の多くは

ひどい炎症状態が長く続いていた。
暴力的に動かして肩内部の損傷を悪化させていた。

などが考えられる。

このような方は状態にもよるが、長期的なケアが必要だと心に留めておかなければならない。

また前述したように、

  • 痛みがない範囲で動かす。
  • 突っ張り感が出ない範囲で動かす。

という事を心がけて以下のエクササイズを行なっていこう。

肘で円を描くエクササイズ

肩の可動域改善エクササイズ

方法

  • 座った状態で行う。
  • 肘で円を描くように動かす。
  • なるべく肩を軸にして動かそう。
  • 10回行おう。

POINT

  • 肩に痛みや突っ張り感が出ないように動かしていこう。
  • 痛みが出る場合は小さく円を描いていこう。

肩の回旋エクササイズ

肩の回旋可動域改善エクササイズ

方法

  • 座った状態で行う。
  • タオルの上に手を置き、軽く肩に体重をかける。
  • 肩を時期にして左右に捻っていこう。
  • 左右10回行おう。

POINT

  • 肩に痛みや突っ張り感が出ないように動かしていこう。
  • 痛みが出る場合は捻る範囲を小さくして動かそう。
  • 肘を軸にして動かさないように注意しよう。

体幹のエクササイズ

体幹の回旋エクササイズ

方法

  • 脇に物をはさみ座って行おう。
  • 顔は正面を向けたまま、体幹を軸に回旋運動を行おう。
  • 左右10回ずつ行なっていこう。

POINT

  • 肩に痛みが出ないように体幹を左右に回旋させていこう。

※この他の体幹のエクササイズは前回のインピンジメント症候群の炎症期の改善方法にて解説しておりますので是非ご覧ください。

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インピンジメント症候群で肩が90°以上挙がる方向けの改善方法

線維化と肥厚の時期に、肩が90°以上挙がる方は、第1期:腱板の浮腫と出血の時期に正しく管理されていた人が多い印象である。

90°以下しか挙がらない方に比べ改善は早い肩が多い。

しかし、90°以下しか挙がらない方向けにご紹介した改善エクササイズと同様に、

  • 痛みがない範囲で動かす。
  • 突っ張り感が出ない範囲で動かす。

という事は同じなので、無理に伸ばそうとしないように注意してエクササイズを行なっていただきたい。

手で円を描くエクササイズ

肩の可動域改善エクササイズ90°以上挙がる方向け

方法

  • 座った状態で行う。
  • 小指を上に向ける。
  • 肩を軸にして円を描くように内側から回していく。
  • 10回行おう。

POINT

  • 肩に痛みや突っ張り感が出ないように動かしていこう。
  • 痛みが出る場合は円を描く範囲を小さくして動かそう。
  • 小指から挙げ、小指から下げていこう。

肩の水平内外転改善ワイパーエクササイズ

肩の水平内外転可動域改善エクササイズ90°以上挙がる方向け

方法

  • 座った状態で行う。
  • タオルに手を置き、肩に軽く軸圧をかける。
  • 身体は正面を向けたまま、肩を軸にして左右にタオルで机を拭く。
  • 左右10回行おう。

POINT

  • 肩に痛みや突っ張り感が出ないように動かしていこう。
  • 痛みが出る場合は左右に動かす範囲を小さくしよう。

肩の回旋可動域改善エクササイズ

肩の回旋可動域改善エクササイズ90°以上挙がる方向け

方法

  • 座った状態で行う。
  • 机に対して身体を斜め45°傾ける。
  • 机に肘をのせ、腕相撲の体勢をとる。
  • 肩を軸にして左右に捻っていこう。
  • 10回行おう。

POINT

  • 肩に痛みや突っ張り感が出ないように動かしていこう。
  • 痛みが出る場合は左右に捻る範囲を小さくして動かそう。

※上記のエクササイズ以外にもインピンジメント症候群の改善方法をこちらの記事にてまとめてありますのでぜひご参考にしてください。

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インピンジメント症候群の線維化と肥厚の時期の改善方法まとめ

今回は肩のインピンジメント症候群の第2期:線維化と肥厚の時期の改善方法について解説した。

POINT

  • インピンジメント症候群の第2期:線維化と肥厚の時期は修復過程で組織が短くなってしまう時期である。
  • インピンジメント症候群の線維化と肥厚の時期は組織が短くなっているため、暴力的な動かし方をすると再度痛みを出してしまう事がある。
  • インピンジメント症候群の線維化と肥厚の時期に大切な事は『痛みがない範囲』『突っ張り感がない範囲』で愛護的に動かす事が大切となる。

日本人の気質上、頑張れば治ると勘違いをしている方が非常に多いようだ。

痛みがあるから、痛いところまで動かす。

動かないから、無理やり動かす。

このような考え方はあまり論理的では無い。

精神論ではインピンジメント症候群で痛めた方は改善されない。

大事なのは組織の修復に合わせて何をやるかである。

インピンジメント症候群の第2期:線維化と肥厚の時期は組織が短くなってはいるものの愛護的に動かす事で、徐々に元の長さに戻ってくる。

その為、焦らずじっくりと治していく事が大切であるので覚えておこう。

長尾 龍男
この記事を書いた人 : 長尾 龍男

愛知県岡崎市在住。整体院柔YAWARAを設立した理学療法士。柔YAWARAにて関節のトラブル由来の肩こりや腰痛、膝の痛みのケアを提供しております。その傍、「理学療法士」として整形外科で培った知識を活かして、『障害の原因』や『予防方法』『身体のメンテナス・ケアのやり方』をこちらのメディアにてご紹介しております。僕の想いはただ一つ。【僕の技術によって皆様の「お身体」のトラブルが改善し、より良い状態になっていただく事。】 ※より詳しいプロフィールや僕の想いは運営者情報もご覧ください。

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